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Fランク魔術師がゆく~才能無くても世界最強~  作者: キズキ
ポルケ村編 第2章:テント爆散から始まる魔法DIYと、領主様の夕食会

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第17話 Eランクの依頼と泥に沈むテント

ダンが帰ってくるまでにEランクの冒険者になる。この目標はダンが出発したその翌日に達成してしまった。これで、大手を振って、村の外に出られる。

日暮れまでは少し時間がある。明日のためにEランクの依頼を見ておくことにする。3日前に見た時と全く変わっていない。


Eランク依頼、ベビートレント素材の採取

Eランク依頼、薬草採集


とりあえず、両方受けて明日行うことをメリルに告げる。薬草を取りに行けば、きっとベビートレントとも遭遇するだろう。

当然、メリルは驚いた。


「えっと、ベビートレントはどんなのかとか、薬草はどこに生えているかとか……大丈夫?」


「大体……僕たちと同じくらいの背の高さの木だよね?枝をつるみたいに伸ばして攻撃してくるやつ。薬草は南東の方に結構生えてるよね?」


1歳になるよりも前から、ダンと一緒に森に入り続けているアルトは、森の主だったことはだいたい把握している。ベビートレントと薬草はアルトにとっての日常である。

メリルは呆気に取られつつ、依頼の説明をする。


「薬草は、この革袋いっぱいに取ってきて。トレントの方は、少し特殊で……なるべく傷をつけずに1体分、取ってきて」


トレントを傷つけずに倒すというのはやったことがなかった。

そもそもファイアーボールで燃やしてしまっては素材にならない。

攻撃はクレア頼みになる。まぁ、クレアならトレントくらい一撃だろうとは思っているのだが。


依頼を受け、振り返ると西側の入口からノーマンが入ってくるところだった。南側ではなく、西側から入ってきた。西地区には比較的職人が多い。何か用があったのかもしれない。

ノーマンと挨拶をかわす。


「ノーマンさん、こんにちは」


「こんにちは。今日はEランクの依頼を持ってきた。明日にでもメリルさんから聞いてくれ。」


このところ、ノーマンは本当に忙しそうだ。


明日はアルトがクレアを迎えに行くことを約束をして、クレアとはそこで別れた。

ブロンが明日も来るように言っていたからだ。


帰り道はまた穴埋めだ。

今朝、アースボールで作り出した土は随分踏み固められていた。さらに細かい凹みを埋めながら歩く。すると、あちこちから、夕飯のための焚火に火をつけてくれという声がかかる。ファイアーボールで火をつけながら、今度はEランクの依頼を出してもらえるようにお願いして回る。

Fランクと比べると依頼料は高額になる。今度も同じように依頼は集まるのだろうか。


アルトは今日一日を振り返る。クレアの稽古に参加し、武器のメンテナンス、引っ越し、村の子供たちへの勧誘、そして、名も知らぬ冒険者の死、正直疲れた。

後はモックとご飯を食べて、魔術の練習をして寝るだけ。そう思った矢先、自宅のテントで異様な光景をみる。自分のテントの裏側に何か大きなものがある。

近づくとそれは大きな土の山だった。いつからあったのだろうか。今朝はテントを出てまっすぐクレアのところへ向かったから、後ろは振り返らなかった。もしかしたら、朝にはすでにあったのかもしれない。

土の山の裾はアルトのテントを4分の1ほど飲み込んでいる。


少しして、それが自分のアースボールの練習の結果だと思い当たる。アルトは唖然とした。

そういえばテントの中の泥もまだ片付けていない。

土魔術はヤバイ。明日からはこの土で道を埋めようかな。手間がかかるなぁ。


ダンが帰ってくるまで、まだ3週間ある。

アルトはそこで思考を放棄した。いったん忘れることにし、モックのいる詰所へ行く。


「アルト、おかえり。……ところであの山どうすんだ?」


一瞬で思い出さされた。アルトはため息をついて答える。


「考えてない」


モックが頭を掻きながら言う。


「そっか、あれ……ダンが帰ってくるまでに何とかしないと……多分、俺も怒られる」


モックが頭のてっぺんを押さえる。


「だよね……」


結論が出ないまま会話は終了した。モックが気を取り直して言う。


「まぁ、3週間あるからな!よし、飯にしよう!!」


モックと食事を取り、その後、寝床へ行く。弱いライトボールを浮かせ、ブリーズステアの練習をするもやはり出ない。


今日のテーマは素早く大きなウォーターボールを作り出す訓練だ。前日、保留にした件だ。これができれば、落下してくる人も受け止められるかもしれない。目標は人がすっぽりとつつみ込めるサイズ。しかも素早くだ。

さすがにこれもテントの中でやれる訓練ではない。例のテントの裂け目から手を出して行う。

幾度も幾度も繰り返す。ウォーターボールは前日の土の山を溶かす。ある瞬間、テントの裂け目から、泥水が流れ込んできた。

アルトは咄嗟に裂け目を押さえる。裂け目の左右をつかんで無理やり縛る。何とか泥水の浸水は避けられたようだ。今日はもう打ち止めだな。アルトは眠りについた。


翌朝、目を覚ますと、裂け目からの浸水は免れたものの周辺は泥だらけだった。また、夜中のうちに泥水はゆっくりと外を流れ続けていたらしく、泥は入口に回り込んで、反対側から少し浸水していた。


「3週間でなんとかしよう……」


Eランク冒険者になるという大きな目標を1日で終えたにもかかわらず、新たに、どうにも情けない目標ができた。

出かける準備をし、外に出てテントを見返す。テントは完全に泥に埋もれていた。



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