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Fランク魔術師がゆく~才能無くても世界最強~  作者: キズキ
ポルケ村編 第1章:Fランク冒険者誕生!幼馴染とのお手伝いクエスト

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第16話 Eランク昇格!

西の出口から冒険者ギルドを出た。まずは荷車を返しに行かなければならない。しかし、その前にこの依頼をどうするかだ。

Fランク冒険者10名の勧誘。アルトがクレアに聞く。アルトには元気がない。


「なぁ、クレアって友達いる?」


クレアの返事は元気だ。


「いるよ!アルト!!その次はこれ!!」


クレアが子供用の剣を掲げる。

アルトはため息をつく。どうやらクレアも友達が少ないらしい。

これは2人に問題があるわけではない。この村の人口の分布に問題がある。

クレアの住む東地区はもっとも迷宮に近く、迷宮探索に心血を注ぐ、ガチ勢が多く住む地域である。子供のいる世帯は壊滅的に少ない。

アルトの住む西地区は最寄りの街に近い側であり、鍛冶屋や行商人など、街からの物資を必要とする者たちに人気がある。子供もいないわけではないが、アルトが父とともにいることが多いため、やはりあまり接点はない。

北地区は冒険者ギルドの入口もなく、村の出口もないため、一番パッとしない土地で、賃料の安さが魅力である。

そして、子供がいる世帯はというと、南地区に集まっているのだ。


仕方なく、アルトは空っぽの荷車を引きながら歩き出した。

まずは、荷車を返さなければならない。南東地区のバルディア商会を目指し、冒険者ギルドの南へ回り込む。その途中、予想だにしなかった光景を見る。


南西地区の北の端、あの三角形の狭い土地にたくさんの子供たちが集まっていたのだ。

何が起こっているのか。アルトはその中心を見る。そこには小さな露店ができており、バルディア商会の制服を着た女性が立っていた。扱っている商品は飴玉などの駄菓子、粗末ではあるが簡単に刺繡の入った女の子用の服などだ。小銅貨1枚から10枚の範囲で買えるものが大半である。

子供たちが物欲しそうに商品を見ている。


これはチャンスだ。アルトは元気を取り戻す。どうやって声をかけたものかと考える。

クレアは他の子どもたちと同様に物欲しそうに商品を眺めていたが、それがこれまでにこなした依頼の報酬、3枚の小銅貨で買えるものだということに気付く。


「それ頂戴!!」


左手で、小銅貨1枚と書かれた飴玉の箱を指さし、右手で小銅貨を掲げる。何だか、神々しい。周りの子供たちが一斉に振り返り、クレアのための場所が開かれた。

受け取った飴玉を口に放り込み周りを見回す。堂々たるものだ。そして、言った。


「私は買えるよ。冒険者だもん!」


アルトはすかさず割って入る。


「冒険者になって、依頼っていうお手伝いみたいなのをやれば、お金をもらえるんだ。あそこで冒険者になれるよ!」


冒険者ギルドを指さす。何人かの子供たちが顔を見合わせ、そちらへ駆け出す。こうなったら、荷車は後回しだ。アルトは急いで、荷車を冒険者ギルドの入口に置き、子供たちをメリルのところに案内する。

露店と冒険者ギルドを2往復した段階で、メリルの前に並ぶ列が10人以上になったことを確認する。メリルは忙しそうだ。だが、アルトに向かって笑いかけ親指を立てた。


クレアは荷車の端に座っていた。


「アルト、おつかれっ!飴玉おいしいよっ!」


クレアは上機嫌だ。クレアのおかげで、勧誘が一瞬で終わったのだが、きっと狙ってやったわけではない。アルトはクレアを乗せたまま、荷車を引き始める。クレアは、一瞬驚いたようだが、すぐに明るい声を出した。


「アルトー、もっと急げー」


アルトが答える。


「昨日みたいに、また落っこちるよ。昨日みたいに」


クレアが少しふくれっ面で言う。


「むぅ、じゃあ、このままでいい」


バルディア商会の裏に荷車を返し、冒険者ギルドに戻る。まだ少し、まだまだ子供の列が残っているが、半分はもう1つのテーブルの列に移っていた。

メリルの列で、少し待つ。順番が来ると、まずはメリルにお礼を言われた。


「今日はありがとう!」


そもそもはアルトが原因なのだが、そこは気にしていないようだ。

アルトは5枚の依頼書を手渡す。報酬はすべて小銅貨1枚だった。勧誘の依頼と合わせて、報酬は小銅貨10枚。クレアと5枚ずつ分ける。アルトが確認する。


「これでEランクまであと1つ。立ち退き依頼が上手くいけば、Eランクだよね」


メリルの表情が曇った。アルトは、本当は自分たちをEランクには上げないつもりだったためだろうと思った。しかし、メリルの回答は全く予想外のものだった。


「今日、残りの1組のパーティーが迷宮2階層で全滅していることが確認されたわ。そのため、この依頼は完了となります」


メリルはさらに小銅貨2枚を手渡してくれる。

アルトは戸惑った。そして、ダンから幾度となく聞かされた言葉を思い出す。


「冒険者はいつ死んでもおかしくない仕事だ」


立ち退き依頼、最後の1組の冒険者とは交流があったわけではない。会ったこともない相手だ。それでも、気持ちの良いものではなかった。冒険者をしているものは日々、誰かが死んでいくのだ。

アルトの暗い表情を察したのか、メリルが努めて少し明るい声を出す。


「ともあれ、2人ともEランク昇格おめでとう!」


クレアが叫ぶ。


「やったー!!」


メリルが困った顔で付け加える。


「ホントにもう、やれやれだわ」


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