↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Fランク魔術師がゆく~才能無くても世界最強~  作者: キズキ
ポルケ村編 第1章:Fランク冒険者誕生!幼馴染とのお手伝いクエスト

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
12/54

第12話 デッドスペースと丸太の乗り物

メリルに話を持ち帰る。

すると、メリルは吹き出した。

しかし、すぐに真面目な顔で話す。


「こんな田舎の店舗でも、さすがはバルディア商会の商人ですね」


アルトが聞く。


「バルディア商会ってそんなにすごいの?」


メリルの話によると、この国で一番大きな商会で、お金になるものであれば、ほとんど何でも取り扱っているとのことだ。

この村の物資が滞りなく供給されているのはバルディア商会のおかげと言っても過言ではない状況らしい。


また、ノーマンの要求もなかなかに面白いもののようだ。

まず、根本的に領主の依頼である宿屋建設のための立ち退きなので、ノーマンに拒否権はない。それにもかかわらず、こういった提案をしてきた。


この村は冒険者ギルドを中心にした円形をしており、8つの地区はすべて扇形になってしまっている。普通の建物を作ると、デッドスペースが生まれがちなのだ。そして扇形の中心角付近は確実にデッドスペースになる。

すでに完成された街であれば、街灯や街路樹など、景観を気にすべきなのかもしれないが、所詮はテントだらけの村。

一等地のデッドスペースを有効活用してくれるというのは村側としてもありがたい話であった。

つまり、ノーマンは断る理由のない提案をしてきたのだった。


メリルから許可がおり、アルトたちはすぐにバルディア商会に向かうと、店の外でノーマンを見かけた。すぐにメリルの回答を伝え、ついでに手伝いが必要であれば、Fランクの依頼を出してもらうようお願いもした。すると、ノーマンはそれに興味を持ったらしく、少し、質問をしてきた。


「ここでFランクの冒険者は君たちだけだよね?」


「そうだよ」


「なんで冒険者なんてしてるのかな?」


アルトは少し考えた。ノーマンとダンが知り合いであることを思い出し、正直に伝えて良いものかどうか。しかし、今はダンはいない。帰ってくるまでにEランクに上がりさえすれば、よいのだ。正直に答えよう。


「Eランクになって、村の外でやる依頼をやりたくて」


「なるほど」


今度はノーマンが少し考え、さらにアルトに聞いた。


「他のところでも、依頼を出すようにお願いをしてるのかな?」


「まぁね」


「じゃあ、きっと他の友達も冒険者に誘った方が良いよ」


アルトにはノーマンがどうしてそんなことを言い出したのか、理解できなかった。けれど、重要なアドバイスのような気がした。


アルトが商人とまともに会話をしたのは今日が初めてだ。もちろん、これまでも買い物はしたことがあった。しかし、客としてではなく話したのは初めてだった。

アルトは、商人は冒険者とは全く違う人たちだという感想を持った。この村の住人の9割は冒険者だ。だから、アルトが話すのは冒険者かメリルくらいなのだ。それゆえにアルトの目には商人の異質さが際立って映っていた。

冒険者たちが二つ返事で受け入れた立ち退き依頼にノーマンは逆らった。そのうえで、メリルを感心させてしまった。きっとこのアドバイスも重要に違いない。


ギルドへの帰り道、突然クレアが叫んだ。


「あーあーあー」


「クレア、どうしたの?」


「暇っ!!木ぃ切りに行こっ!!!」


そういえば、今日、クレアの声をほとんど聞いていない。

アルトは苦笑し答える。


「そうだね。依頼を受けに行こう」


メリルに報告する。これで、立ち退き依頼は残り4世帯だ。

ついでに木材調達の依頼を受ける旨も告げる。メリルは驚いて聞いてきた。


「ぇ、もうお昼だよ。今日中に終わらないよ」


アルトは自信満々に答える。


「大丈夫!」


困った顔をしたメリルをよそに、アルトとクレアは北の森へ向かった。

途中、昨日の木材の運搬を見かけた人が何人か興味深そうにこちらを見る。

アルトは積極的に挨拶する。


「こんにちはー!」


「おお……。しかし、お前ぇの魔法すげぇなぁ」


「ありがとー。最近、冒険者始めたんだけど、何かあれば、依頼出してくださいねー」


「あー、この村、Fランクの依頼なんてねぇもんなー。分かった、今度なんか出してやるよ!」


「よろしくー」


そんな会話を何度か繰り返し、森につく。すると、クレアが走り出した。アルトが追いかける。


「よぉぉぉぉぉし!!」


「クレアー!待ってー!!」


クレアはさっさと1本の木に半分まで切り込みを入れた。アルトが圧縮空気玉で倒す。クレアが枝を落とす。さて、ここから運搬、というところで、アルトがクレアに言う。


「もう1本行こう」


「やった!」


クレアが声を上げて飛び跳ねてから、もう1本の木に取り掛かる。


実は昨晩、寝る前、アルトは空気玉の制御を徹底的に練習した。もちろん、ブリーズステアも練習したが、やはり、直近で役立つのは空気玉だ。

昨日、4つで運べたんだから、8つあれば2本同時に運べるはず。


2本の木材をそれぞれ、圧縮空気玉の上に乗せ、まずは道までゆっくりと運ぶ。冒険者ギルドまでまっすぐ続く道だ。

ここで、アルトは圧縮空気玉を1つずつ追加する。丸太の中心に、他よりもっと大きな空気玉を圧縮した最も硬いものだ。それ以外の空気玉を左右に回転させ、丸太の方向を冒険者ギルドの方向に向ける。

ここで、アルトは1本の丸太の上にまたがった。


「クレアも乗って」


クレアが目を輝かせて、もう1本の丸太にまたがる。

圧縮空気玉が回転し、丸太が進み始める。昨日と同様、丸太が前に進んで、不要になった最後尾の圧縮空気玉を消失、丸太の前方に作成、この動作を丸太2本、圧縮空気玉の数は8つ分同時に行う。

昨日よりも集中力が必要だが、何とかなりそうだ。少しずつ、回転速度を上げていく。丸太の速度がどんどんと速くなる。クレアが楽しそうに声を上げる。


「わぁー!!」


順調に速度を上げ、2人が走る速度よりもかなり速くなった頃、クレアの丸太の前方に大きめの段差があったらしく、突然、丸太がぐっと沈み込み、圧縮空気玉の軌道を逸れ地面に落ちる。進む先を失った丸太の後方は持ち上がる。

クレアが前方上空、アルトの背よりも高いところに跳ね飛ばされる。一瞬の出来事だったのに時が止まったように感じる。クレアの濃いピンクの髪とワンピースの裾が青空に翻っている。

アルトが叫ぶ。


「クレア!!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。