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Fランク魔術師がゆく~才能無くても世界最強~  作者: キズキ
ポルケ村編 第1章:Fランク冒険者誕生!幼馴染とのお手伝いクエスト

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第10話 空気玉の応用と丸太運び

「アルトー!冒険者しよっ!!」


クレアが腹の上に飛び乗ってきた。


「ぐふぅ」


アルトは呻く。クレアが来るのは分かっていた。早く起きるつもりだった。だが、また、この体勢である。

昨日のゴールドボール生成失敗の魔力切れの影響か体が重い。普段から、寝ているときにファイアーボールを使うせいで、魔力切れを起こしているのだが、体への負担が全く違うようだ。

今度、変わった魔術にチャレンジするときは、気をつけようと決意する。アルトは懲りない。二度とやらないとは思わないのだ。まずはもっと安いものから、普通の魔法っぽいものからの方が良いか、他にもっとできることはないかと色々考え始めていた。


「アルト、起きないの?」


ダンは明日出発する。まずは明日までに次の依頼をこなそう。前日と同じようにパンをかじりながら、冒険者ギルドを目指す。途中、いたるところで火を起こす手伝いもした。

冒険者ギルドではメリルが立て看板を出して、待ち受けていた。ダンが留守の間、2人を色々使う計画があるようだ。


Fランク依頼、ギルド南地区10世帯の立ち退き依頼

Fランク依頼、北地区での30本の木を伐採、ギルドへの運搬


クレアがアルトの顔を覗き込む。


「アルト、どうする?」


アルトは少し考えてから、メリルに聞く。


「立ち退き依頼なんですけど、明日でもいいですか?」


「明日なら全然大丈夫よ」


普通は冒険者への依頼は早い者勝ちである。やはり、この看板は2人のお手伝い用と見て間違いないだろう。

アルトは一昨日、ダンとシアンが冒険者ギルドの近くに宿屋を建てる計画について話していたのを思い出した。立ち退き依頼と木材の準備。シアンが教えてくれた魔術のウインドカッターは木材加工のためのものなのかもしれない。


「じゃあ、木の伐採にしよう」


メリルから依頼の概要を聞く。どうやら昨日と同じように木材を集めてくれば良いらしい。ただし、昨日よりは少し細くて良いようだ。昨日の木は2人の背丈の半分くらいの太さだった。今日は2人が木に手を回して抱え込めるくらいの太さで良いとのことだった。メリルから斧を手渡される。

また、運搬先はギルドの北側にある大きな仮設テントの中とのことだ。


メリルに案内されると、一昨日まではなかったとんでもなく大きなテントができていた。

中は不気味だった。壁や天井、そこいら中に魔法陣が描かれている。昨日、シアンが準備したらしく、木材を乾燥させることができるとのこと。


そこからはクレアと2人で北の森に行く。

木に抱きついてみて、めぼしい木を見つけたところで、アルトは困惑する。一体これはアルトやクレアの力で切れるものだろうか。そして、運べるのだろうか。

そんな、アルトをよそにクレアはすぐに動く。


「じゃあ、切るねー!」


斧を一振り。


「かったーい!切れない!!」


当然、それはそうだ。しかし、斧はしっかりと木の4分の1ほど食い込んでいた。十分である。どうやらクレアは一振りで切る気だったらしい。


2回、3回と切り込んだところで、アルトが声をかける。


「ちょっと待って」


アルトは切れ目の方に回り込みその少し上の方に向けて手を掲げる。なるべく大きな空気玉を小さく圧縮して作り出し放つ。


どんっと大きな音を立てた後、木がゆっくりと倒れた。


クレアが目を輝かせる。


「アルト!すごい!!」


次にクレアが、自分の剣で複数の魔物と戦うかのごとく、枝を切り落としていく。

あっという間に丸太が完成した。


次に運搬だが、丸太のままでは明らかに昨日の木材よりも重そうだ。クレアが端を持ち上げる。


「お、もいよぉ~~」


これはアルトでは持ち上げることすらできなさそうである。

アルトはクレアが持ち上げている丸太の下にしゃがみ込み、手をかざす。さっきと同じ圧縮空気玉を丸太と地面の間に作る。今度は発射せずそこに静止。

クレアが驚いた顔でアルトを見る。


「あれぇ軽くなったぁ!!」


「クレア、離してみて」


クレアが放しても丸太は地面に落ちない。


「木がっ……浮いてる!?」


「クレア、反対側を持ち上げられる?」


クレアが反対側を持ち上げ、また圧縮空気玉を挟む。

クレアが放しても、丸太は浮いていた。アルトは集中する。全く同じ速度で圧縮空気玉を移動させる。

ずり、ずり、と音を立て、地面を削りながら、進む。確かに進んでいるが、遅い。もう一工夫必要なようだ。

アルトはさらに2つの圧縮空気玉を丸太の下に作る。重さが分散され、先ほどよりは少し早くなった。


「もう少し……」


アルトは圧縮空気玉を丸太の方向に合わせて回転させた。木が滑るように進み始める。

木が進む先に新たに圧縮空気玉を作って挟む。役割を終えた後方のものは消失させる。クレアは何が起こっているのか全く理解できなかったようだが、アルト、すごい、天才と連呼しながら、丸太の周りを走り回っている。


来た時とほぼ同じ速度で、テントまで戻ってこれた。

そして、2人はその日の内に30本の木材を運びきり、メリルに驚かれた。

Eランク冒険者になるまで、残る依頼は8個だ。翌日、万全の状態で、ダンの出発を迎えた。


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