第九十四話 再会の予感と魔核の救済
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【ヘリックス村】
私たちは、あの後すぐさまヘリックス村に帰還した。
村に到着すると、私は捕縛していた闇組織の幹部たちの身柄をカームの衛兵へと引き渡した。
「この者たちは、誘拐拉致事件及び人工魔核の実験に関与していた重要人物です。厳重な尋問を頼みます」
そう告げると、衛兵たちは神妙な面持ちで幹部たちを連行していった。
その日のうちに彼らへの徹底的な尋問が行われ、吐き出された情報を元に、潜伏先と思われる西の隣国バリス王国へ緊急の連絡が飛んだ。
それを受け、バリス王国からは精鋭部隊が緊急出動し、闇組織の本拠地に向けて即座に進軍を開始したという。
一方で、救出したダークエルフたちの身柄については、前回の提案通りに進められた。
彼らは闇組織による非道な実験の被害者であり、体内に埋め込まれた人工魔核の制御は私以外には困難だ。
今のカームでは万が一の暴走に対処できないため、私が責任を持って預かるのが最善であるという私の提案を、騎士団側も正式に受け入れた形だ。
「聖樹王国アイナ・サリアへは、こちらから連絡を入れておきます。女王陛下も自国の民が拉致されている事実は把握しておいででしょうが、無事に保護されたこと、そして実験の影響で今すぐの帰還が困難であることは早急に伝えるべきでしょう。何より、唯一対処が可能な信頼できる術者として、ユエ殿が身柄を預かっているという経緯も合わせて報告しておきます」
衛兵がそう申し出てくれた。
だが、今の女王にとって私は「名も知らぬ一介の術者」に過ぎない。
この異常な身体状況と、彼らが抱えるリスクを正確に理解してもらうには、私が直接出向いて説明するのが一番だろう。
いずれ女王への謁見の日取りが決まるはずだ。
「……ちなみに、現在の女王陛下はどなたなのですか?」
何気なく尋ねた私の問いに、衛兵は当然のことのように答えた。
「1000年以上前から変わらず、メルティナ・アイナ・サリア陛下が統治しておられますよ」
「……あぁ、情報をありがとうございます」
私は平静を装って礼を言い、彼らが去った後に頭を抱えた。
帝国が滅んで800年。
もし現女王が変わっていないとすれば、それは私がルナだった頃の叔母上その人だ。
叔母上が無事で、今も現役で女王を務めていることは素直に嬉しいが、今の私の姿で再会して、一体どう説明すればいいというのか……。
私は一旦思考を切り替え、預かることになったダークエルフたちの検査に集中することにした。
彼らから事情を聞くと、闇組織が突如として集落を襲撃し、若者だけを生け捕りにして実験台にしたのだという。
彼らの体内にあった人工魔核を解析した結果、以前の個体よりも明らかに性能が向上していた。
その精度は帝国時代の真作とほぼ同等だ。
「……やはり私の推測通りだ。彼らは人工魔核の製造法、キメラの生成手順、そしてデポの詳細が載った資料を手に入れたんだろうね」
尋問は衛兵に任せたが、やはり引き渡す前に直接資料の在り処を聞き出しておくべきだったと少し後悔した。
私は集められた15人のダークエルフたちに、現在の彼らの体が抱える厳しい現実を告げた。二つの魔核が反発し合っている今のままでは、余命は1年も持たない。
「私たちは……死ぬのですか?」
震える声で問いかけてきた彼らに対し、私は真っ直ぐに視線を返した。
「大丈夫だ。私ならなんとかできる。……私を信じてほしい」
私の真剣な眼差しに、彼らは迷いながらも頷いてくれた。
人工魔核はすでに組織へ深く定着しており、無理に摘出すれば魔力暴走を引き起こす。
以前、ミラたちの魔核を合成して安定させた時と同様に、二つの核を一つにする「魔核合成」が必要だ。
ダークエルフ特有の「高い魔術抵抗」に苦労しながらも、「解析眼鏡」で細部を確認し、一人ひとりに合わせた術式を練り上げていく。
かなり時間はかかったが、15人全員の合成を完了させた頃には、私はどっと疲れ果てていた。
だが、驚いたことに彼らの魔核は「闇属性」へと変質し、希少な空間系統の適性まで追加されていた。
「これは……思わぬ誤算だ。まぁ、悪いことではないから良いか」
一息ついていると、セドリックが呼びに来てくれた。
「ユエ様、少年が目を覚ましました」
私はダークエルフたちを休ませるようセドリックに任せると、いまだ謎の多いキメラの少年が待つ部屋へと向かった。
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今日は、ちょっと話を作るのに手こずってるので、21時すぎるかもです。あと2話投稿予定




