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異世界召喚された俺、エルフの賢者と融合して究極のキメラになる〜禁忌魔術で、滅びた帝国を勝手に復興させてもらいます〜  作者: 神蛇紫苑


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第九十二話 揺らぐ信頼と怪物の証明

ご来訪ありがとうございます。ゆっくり楽しんでいってください。



演武を終え、ギルド【凪の観測手カーム・オブザーバー】の支部に戻った時のことだ。


ちょうど私とカームの守護者たちが一緒に会議室に入ろうとした瞬間、着信アラートが鳴り響いた。


何事かとアルヴィンとオーウェン閣下が視線を向けてきたため、これが村との連絡用通信機であることを説明した。


「村で緊急事態のようです。出てもよろしいでしょうか?」と断りを入れると、閣下は重々しくうなずいた。私は即座に通話に出た。


相手はセドリックだった。


通信越しでも伝わるほど気を引き締めた表情で、「ユエ様、お忙しいところ恐縮です。先ほど、村の西側にて不法侵入者との戦闘が発生しました」と報告してきた。


私は血の気が引くのを感じ、「皆さんは無事なんですか!? 今すぐ戻ります!」と叫んだ。


会議室の面々も「すぐに行くといい」と促してくれたが、セドリックはそれを制するように続けた。


「いえ、ご安心ください。死傷者はゼロ。リーダー格の男一名を除き、侵入者は……全員捕獲済みです」。その言葉に、私は思わず息をんだ。


セドリックは事態を詳述し始めた。


リーダーは「ソル・レヴァント魔導帝国の皇族末裔まつえい」を自称するカイル・ソル・レヴァント。


その場にいた人々は驚愕きょうがくし、オーウェン閣下も「闇組織ソル・インヴィクタス首魁しゅかいが、自ら動いたというのか」と戦慄せんりつしていた。


さらにセドリックは、人工魔核アーティファクト・コアを移植されたダークエルフの奴隷部隊について報告したが、そこである一点について不自然に言葉を濁した。


「それから……実は、ユエ様やノエルさんと……その、『同族』と思われる少年が一名……今、周りにどなたか居られるのですか?」


セドリックは、私やノエルがキメラであるという事実を部外者に悟られないよう、必死に配慮してくれているのだ。


その心遣いに感謝しつつも、私は通信機に向かってはっきりと告げた。


「セドリック、私の周りにいる人たちには、すでに私がキメラだということは話してあります。隠さなくて大丈夫ですよ」


その言葉を聞き、セドリックは驚きつつも「……承知いたしました」と安堵あんどしたように息を吐き、詳細を切り出した。


「では、改めて報告いたします。カイルが連れていた、キメラらしき少年との戦闘が発生しました」


その報告に、会議室は「すでにキメラが実働兵器として生まれていたのか!」と大きな騒動になった。


セドリックは冷静に分析結果を付け加える。


「ダークエルフたちは、体内の二つの魔核マナ・コアが反発し合っていたため本来の性能を出せておらず、私が無力化しました。キメラの少年は、ノエルさんの圧倒的な再生能力とパワーに気圧けおされ、最終的には正面からの羽交はがい締めによって気絶・捕獲に至りました」


しかし、リーダーのカイルだけは追い詰められた際、閃光弾せんこうだんを使用。


視界が真っ白に染まった刹那せつな、何らかの転移手段を用いたようで、跡形もなく消えてしまったという。


捕虜ほりょは計21名。現在、ノエルさんが新たに習得した重力魔法で拠点まで運び込み、見張りについています。人工魔核アーティファクト・コアを移植されたダークエルフが15人、キメラの少年が1人、そして闇組織ソル・インヴィクタスの残党が5人です」


「カイルを取り逃がしたのは痛いですが、君たちが無事で本当に良かった。よくやってくれました」


私は安堵あんどし、できるだけ早く戻ると約束して通信を切った。


オーウェン閣下たちは「仲間が無事で良かった」とねぎらってくれたが、一方でカイルたちがなぜ危険を冒してまで帝国跡地に向かったのかを深くいぶかしんでいた。


私は、カイルが私たちの存在や村の詳細を知らなかったであろうことを踏まえ、思考を巡らせた。


「……おそらく、彼らの狙いは最初から私たちではありません。カイルが侵入した方角から目的地を予測し、消去法で考えていくと……思い当たるのは『デポ(戦略物資集積区画)』しかありません」


「デポだと……? それは何だ?」と問いかける閣下に対し、私は言葉を続けた。


「帝国時代の遺産である、遺失技術ロストテクノロジーの研究資料や物資が集積された保管庫です。あの男は帝国の末裔まつえい……一族に伝わる古文書か何かで、その存在を知っていたのでしょう。闇組織ソル・インヴィクタスのリーダー自らが足を運ぶほどの価値がある場所。そう考えれば、目的地はそこ以外にありえません」


今後の同盟関係も見据え、私は多少のリスクを承知の上で、拠点付近にそのデポが存在することを明かした。


その上で、「そこは私以外には立ち入り不可能であり、今の時代の技術では私以外に扱うことはできない」と断言し、ギルドの魔道具でその真実を証明した。


閣下たちが複雑な表情を見せ、その技術が将来的に侵略に使われる可能性を危惧きぐしたため、私は再び魔道具に触れながら誓った。


「害をなされない限り、私たちから侵略行為を行うことは決してありません」


魔道具は一点の曇りもない真実の光を放った。


オーウェン閣下たちは確かに得心したようだった。


しかし、その瞳の奥には、真実だと理解したからこそ拭い去れない「生理的な恐怖」が色濃く残っているのを私は察した。


「(彼らにとって、私たちは善意を持っていても、いつ牙をくか分からない巨大な怪物のように見えているのかもしれない……)」


この隔たりを埋めるには、まだ長い時間が必要なのだと痛感した。


最後に、捕獲した人々について相談した。


ダークエルフとキメラの少年は闇組織ソル・インヴィクタスの被害者であり、また彼らの制御は私以外には困難であるため、こちらで預かるのが最善であると提案した。


すると、騎士団長バルトロメウスから重要な情報がもたらされた。


「閣下、南のエルフが統治する聖樹王国アイナ・サリアより、帝国跡地周辺にある集落が闇組織ソル・インヴィクタスらしき集団に襲撃され、一部の住民が行方不明になっているとの報告が入っております」


オーウェン閣下も「ふむ、その者たちである可能性が極めて高いな」と同意した。


後ほど身元確認のためにカームの衛兵を村へ派遣する約束を取り付け、私たちは急ぎ仲間たちの待つ拠点へと向かった。




最後までお読みいただき、ありがとうございます!

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のこり1話21時までに、投稿予定。

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