第八十九話 暴君の誤算と破滅への序曲
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追記:85話あたりの時系列ちょっといじりました。演武の開催日程を、翌日っと記載してた部分を4日に変更しました。理由は、王都からカームの守護者達が来るのが早すぎる感じがしたのと、その後、ストーリーに影響しそうだったからです。なんども調整してすみません。
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【カイル・ソル・レヴァント視点】
完成した人工魔核を搭載した強化ダークエルフ軍団、そしてついに羽化を遂げたキメラの小僧。
これら最高級の配下を率いて帝国跡地の森へ足を踏み入れてから、進軍はこれ以上ないほど順調だった。
「ははは! 素晴らしい、実に素晴らしいぞ!」
森の深部に潜む獰猛な魔物どもが次々と襲いかかってくるが、キメラの小僧が動くたびに、それらは一瞬で物言わぬ肉塊へと変わる。
詠唱も予兆もなく、ただ圧倒的な暴力が森を蹂躙していく。
予想以上の出来だ。
この力さえあれば、デポの英知も、かつての帝国の栄光も、すべてはこの掌の中にある。
そう確信しながら森を突き進み、四日が経過した。
帝国跡地の中心部が目前に迫ったその時、前方から「ズドン! ズドン!」と、巨大な何かが木々を破壊しながら直進してくる轟音が響き渡った。
「何事だ!? 敵襲か!」
警戒し前方を確認した私の目に飛び込んできたのは、信じがたい光景だった。
現れたのは、山のような巨体を誇る白銀の鬼熊。だが、異常なのはその姿ではない。
獰猛で知られるはずの鬼熊の背に、燕尾服を着こなした猫型の獣人が、事も無げに乗っているのだ。
「どういう状況だ……? なぜ、あの魔物を獣人が御している?」
困惑する私を余所に、燕尾服の獣人が鬼熊の背から軽やかに飛び降り、鋭い声を張り上げた。
「止まりなさい! ここより先は我々の領土です。直ちに引き返しなさい!」
ふざけたことを。ここは帝国の跡地、すなわち我がソル・レヴァント一族が支配すべき土地だ。獣人風情がどの口で「縄張り」などと抜かす。
「何だ貴様らは。獣人風情がこの俺に指図するのか!? 俺はソル・レヴァント魔導帝国の皇族で、正当な血を引く男、カイル・ソル・レヴァントである! ここは俺が支配する土地だ、どかぬのなら命はないと思え!」
威圧を込めて言い放ってやった。
だが、返ってきたのは恐怖ではなく、背筋が凍るような「豹変」だった。
獣人の瞳から温厚さが消え、隣に控える鬼熊が、大気を物理的に震わせるほどの凄まじい雄叫びを上げたのだ。
「ぐ、う……ッ!」
歴戦の部下たちがその怒気に当てられ、無様に腰を抜かす。
得体の知れない嫌な予感が脳裏をかすめたが、私はそれを力でねじ伏せるように叫んだ。
「構わん、排除しろ! 帝国復興の邪魔をする者は皆殺しだ!」
私は、自慢の最高傑作を指差した。
「キメラ! 貴様の能力を見せる時だ、行け! 俺の邪魔をする者は、徹底的にねじ伏せてやれ!」
私の命令に従い、金の角を持つ少年が音もなく地を蹴った。
さあ、目にもの見せてやれ。帝国を継ぐ皇族に逆らう愚か者どもに、本物の地獄を教えてやるのだ。
――このあと、たった二人に我々の部隊が半壊させられるとは、この時の俺は知る由もなかった。
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残り1話、急いで書きます。




