第八十七話 無知なる者の狂宴
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追記:時系列の調整のために、少し変えてます。
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【闇組織 本部地下拠点】
カイル・ソル・レヴァントは、暗い地下拠点で歓喜に震えていた。
幾度となく試行し、そのたびに失敗に終わっていたキメラ合成が、ついに成功の兆しを見せたのだ。
資料の記述通りに進めても、これまでは人工魔核が臨界点に達し、制御不能な暴走を引き起こす寸前で頓挫するのが常だった。
もし暴走を許せば、一帯に凄まじい魔力汚染を撒き散らす大惨事となっていただろう。
カイルを救ったのは、資料の末尾に書き殴られた一筋の光明――先祖が遺したであろう魔力暴走時の対処法と、強制停止のための安全装置の覚書だった。
その装置が破滅を瀬戸際で食い止めたことで、ついに「成功」へと漕ぎ着けたのである。
「ははは! ついに、ついに成し遂げたぞ……!」
なぜ今回成功したのか、その正確な理由はカイル自身にも分かっていない。
しかし、目の前では捕らえたダークエルフの少年が、キメラ化の最終段階である「繭」へと変貌を遂げ、不気味に脈動している。
この繭が羽化すれば、『戦略物資集積区画』への扉は開かれたも同然だ。
カイルは、この唯一無二の兵器さえあれば、デポに眠る古代の英知はすべて自分のものになると確信していた。
だが、彼は知る由もなかった。
目指すデポには、自分たちが造り出したものとは比較にならない完成度を誇る4体のキメラと、当時の最高技術で造られた防衛用自動人形が鎮座していることを。
「いよいよだ。この繭が羽化すると同時に、全軍をもってデポへと進軍する!」
ワインを一気飲みし、カイルは跪く部下たちを冷徹に見下ろした。
「おい、お前たち。人工魔核を移植した検体どもを直ちに武装させろ。いいか、前回のように森へ置き去りにするなどという無能を晒してみろ。その時は貴様らの首が飛ぶと知れ」
以前の失態を、カイルは決して忘れていない。
「今回の実験には吐き気がするほどの費用がかかっている。無駄にすることは断じて許さん。これは帝国復興の礎だ。私の覇道を邪魔する者は、部下であろうと検体であろうと、一切容赦はしない……」
「はっ、直ちに!」
血相を変えて散っていく部下たち。それは、自らが招く破滅へと向かう、無知なる秒読み《カウントダウン》の始まりであった。
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