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異世界召喚された俺、エルフの賢者と融合して究極のキメラになる〜禁忌魔術で、滅びた帝国を勝手に復興させてもらいます〜  作者: 神蛇紫苑


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第八十三話 疑惑の証明と、不穏な胎動

ご来訪ありがとうございます。ゆっくり楽しんでいってください。

21時にあと1話投稿予定でしたが、もう少し時間かかります。しょうしょうおまちを。




【境界の町フロンティア】


町へ足を踏み入れた瞬間、周囲の視線が一斉に私たちへと注がれた。


それもそうだろう。


頭に角をいただき、腰からは蛇の尾を覗かせる異質な容姿。


色が違うだけで酷似した特徴を持つ私とラウが並べば、人里では目立ちすぎるのは道理だった。


村での生活に慣れたとはいえ、ラウにとってはここが初めての人里だ。


彼は子供のようにあちこちへ目移りし、屋台を見つけては騒ぎ立てる。


「ユエ! あれ食べたい! あれは何だ!? 美味そう! 人間の町すげぇ!」


「ラウ、落ち着きなさい。……シェリル、貴女も黙ってないで手伝って……って、何をしているんですか」


隣で静かにしているので少しは協力してくれているのかと思えば、シェリルは「尊い……!」とつぶやきながら、ラウの見た目と行動のギャップに悶絶もんぜつしていた。


どうやら何かの扉を開けてしまったようで、萌え死にせんばかりの彼女はもはや一歩も動こうとしない。


仕方なく、私は暴れるラウの襟首えりくびを両手でガッチリとつかみ、使い物にならなくなったシェリルは腰から伸びる蛇の尾でぐるりと巻き付けて持ち上げた。


そのまま二人を強引に引き連れて歩き出す。


(頼みますから、これ以上仕事を増やさないでください……。恥ずかしいのは私なんですよ……)


周囲の奇異の視線を一身に浴びながら、ようやく辿たどり着いたギルド【凪の観測手カーム・オブザーバー】フロンティア支部の重厚な扉を開ける。


受付へ向かおうとすると、そこでは何やらめ事が起きていた。


「おい! ガキ共! これは先に俺が目をつけた依頼だ! よこせ!」と、ベテランらしき大男が新人の子供たちを威圧している。


明らかな新人イビリだ。


女性職員が身をていして止めようとしたが、男はあろうことか彼女を殴りつけようと拳を振り上げた。


その拳が届くより早く、拘束されていたはずのラウが電光石火の速さで男の腕をつかんだ。


みしみしと骨のきしむ音が響く。


「いっ、痛い! 離せ! 俺を誰だと思っている!」


漫画やアニメでしか聞かないような悪役の台詞せりふが、異世界のギルドで聞けるとは。


感心している私を余所に、蛇の尾から解放されたシェリルは再び「かっこいい……」とラウにほうけて床に沈んでいる。


(……冷静になりましょう、私)


私はラウの肩に手を置いた。


「ラウ、やめなさい。彼はもう戦意を喪失していますし、ここで騒ぎを起こすのはよくないですよ」


たしなめると、ラウは素直に「わかった」と手を離した。


そのタイミングで、ギルド長のアルヴィンが奥から姿を現した。


「何事だ! またお前か、ヴォルガ・ザンバ!」と一喝された大男は、先ほどまでの威勢が嘘のように顔を真っ青にし、他の職員たちによって個室へと取り押さえられ、連行されていった。


なぜそこまでおびえるほどなのに、何度も愚行を繰り返すのかね、君は……と、私は呆れを禁じ得なかった。


アルヴィンは私たちに気づくと、目を見開いて絶句した。


「ユエ殿? ……え? ジークから報告があったばかりだが、早すぎないか?」


困惑する彼に、私は騎士団長バルトロメウス殿と同じ説明を繰り返す。


アルヴィンもまた、「帝国の末裔まつえいなら……」と謎の納得をしてしまった。


(本当に大丈夫ですか、この人たち……)


ギルド長室へ案内される途中、先ほど助けられた子供たちと受付の女性職員がラウに駆け寄ってきた。


「ありがとうございます!」「助かりました!」と口々に感謝を述べる彼女たちの姿に、思わず頬がゆるむ。


室内にはジーク殿もいたが、彼もまた私を見て驚愕きょうがくしたので、三度目となる同じ説明を行った。


案の定、彼までもが「帝国の末裔まつえい」という魔法の言葉だけで全ての矛盾を飲み込んでしまった。


もはや何を言ってもこの納得には勝てないと悟り、私はそれ以上の追求を、穏やかな微笑みと共に受け流すことにした。


「すまないな、ユエ殿。帝国の王族が絡んでいると判明した以上、君たちも疑われてしまう結果になってしまった」


申し訳なさそうに切り出したアルヴィンに、私は首を振る。


「いえ、仕方のないことです。本当に迷惑なのは闇組織ソル・インヴィクタスの方ですから。私は平和に暮らしたいだけなのに、彼らのせいで台無しですよ」


私は前回同様の魔道具に手を置いた。尋問が始まる。


「君たちは闇組織ソル・インヴィクタスのメンバーか?」


「いいえ」


「では、闇組織ソル・インヴィクタスに帝国の王族が関わっていることは知っていたか?」


私は正直に答える。


「……はい」


「どうやってそれを知った?」


「シェリルが捕らわれていた際、王族が関わっている事実をつかみました」


魔道具は真実の反応を示す。各国での拉致らち被害についても関与を否定し、潔白が証明された。


「君たちの潔白は証明された。感謝する」


安堵あんどするアルヴィンに対し、私は身を乗り出した。


「アルヴィン殿。少し闇組織ソル・インヴィクタスの動向が気になります。力になれるかはわかりませんが、各国で今、何が起きているのか詳しい詳細をお教え願えませんか?」


私の真剣な眼差しに、アルヴィンは事件の詳細を語り始めた。


各国での住民誘拐、希少な魔物の密輸。


そして、帝国跡地周辺にある巨大な魔晶石ましょうせきの収集……。


「希少な魔物の密輸……?」


聞き出した魔物の種類を脳内で繋ぎ合わせた瞬間、私の背筋に冷たいものが走った。


特定の部位、特定の属性を持つ魔物たち。


そして、莫大なエネルギー源。それらのパーツが組み合わさった先に完成する「化け物」の姿が、最悪の形で視覚化されたのだ。


(これは、まずいことになりますよ……。もし私の予想が正しければ、彼らが造ろうとしているのは……)


もはや、自分たちの平穏を守るために黙っている段階ではない。


私は意を決し、アルヴィンを真っ直ぐに見据えた。


「アルヴィン殿。貴方を信用して……私たちの秘密である『キメラ』について、お話ししなければならないようです」




最後までお読みいただき、ありがとうございます!

もし「続きが気になる!」「面白い!」と思っていただけましたら、

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残り1話は、21時までに投稿予定。

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