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異世界召喚された俺、エルフの賢者と融合して究極のキメラになる〜禁忌魔術で、滅びた帝国を勝手に復興させてもらいます〜  作者: 神蛇紫苑


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第七十二話 ヘリックス村:一ヶ月の歩みと、解き放たれる真価

ご来訪ありがとうございます。ゆっくり楽しんでいってください。



来訪への準備を整え始めてから、二週間。


北の国・蒼氷そうひょうの国カームへと続く街道の整備は、残すところあとわずかという距離まで順調に進んでいた。


一週間の死地をこれほどの短期間で繋ぎ直せたのは、疲れを知らないゴーレム部隊がいたからこそだ。


途中、魔物による妨害も受けたが、それらはすべて旧帝国の技術を惜しみなく注ぎ込んで製造された自律兵器である。


無傷で返り討ちにする様を見て、当初は好戦的だった魔物たちも、今ではすっかり手出しをしてこなくなっていた。


一方、その頃の私は、ノエルに念話の魔術を教えていた。


大型の獣型である彼女の声帯では、人の言葉を器用に発するのが難しいからだ。


『ユエ、どう? 聞こえる……?』


可愛らしい声が直接、私の頭の中に響く。


「うん、完璧だよノエル。よくできました」


褒められたノエルは、大きな口元を両手で抑えながら「えへへ」と照れくさそうに笑う。


その姿は、見ているだけでこちらの心が洗われるような癒やしだった。


念話を習得したノエルは、今では元奴隷のみんなとも積極的に交流を持つようになっている。


最初の頃こそ、その巨躯きょくおびえていた彼らだったが、心の傷も少しずつ癒えてきたのか、今ではノエルと楽しそうに世間話をするほどになっていた。


特にミラとは本当の姉妹のように仲良くなり、色とりどりの花で作った飾りをノエルの頭に乗せてあげたりと、実に微笑ましい光景が広がっている。


一方、セドリックは新食材の吟味とレシピ研究に余念がない。


元奴隷の女性グループも彼と一緒に連日料理の研究に励んでおり、村の食卓は以前にも増してにぎやかになっていた。


また、ノアも大きな変化を見せていた。


品種改良の魔術だけでなく、実戦に向けた戦闘魔術の訓練を自ら始めたのだ。


理由は言うまでもない。


緊急事態のたびに、守られるだけの自分でいたくないからだという。


「父さんのように強くなりたい」と願う彼の決意を尊重し、今は私が定期的に魔術での戦闘術を教えている。


そしてラウは、相変わらずの武術オタクぶりを発揮していた。


シェリルから教わった前世の格闘理論を自分の武術へと昇華させるべく、魔猿マナ・プライメイトたち、さらには元奴隷の男性陣をも引き連れて日々鍛錬に明け暮れている。


魔猿たちだけでなく、男性陣の目からも光が消えかかっている気がするけれど……そこは見なかったことにしよう。


そんな仲間たちの成長を横目に、私は自身の能力の確認を行っていた。


キメラとしてのもう一つの姿――獣化だ。


ラウは自然にぬえの姿になれるが、私は以前の窮地で一度変身して以来、その力を制御できずにいた。


自身の真のスペックがどれほどなのか、私自身も知らないでいたのだ。


全身に魔力を巡らせるが、最初は上手くいかない。


私はあの時、ラウが傷つき死にかけていた時の感情を強く呼び起こした。


すると、体に劇的な変化が起きた。


みるみる姿が変わっていき、三メートルほどの巨躯を持つキメラへと変貌する。


尻尾は猛毒を想起させるコブラ、頭部からは黄金色の立派な角。


ライオンのようなたてがみを備えた豹の体は、一部がノエルのような鎧状のうろこで覆われている。


(うわ、意外とかっこいいな……。以前の変身した時より、ずっと洗練されている気がする)


尻尾の蛇に自分を映して確認する。


背中には、前は二枚しかなかった白く美しい羽根が四枚になって生えていた。


物理的な羽ばたきでは浮かなかったが、魔物図鑑の「巨大な鳥や竜は翼に魔力をまとわせて飛ぶ」という記述を思い出し、羽根に魔力を込める。


すると、巨体がふわりと浮いた。そのまま空高く昇ると、帝国跡地全体が眼下に広がった。


「うわぁ……世界は、こんなに広いんだ」


しばらく飛行を楽しんでいたが、ふと下を見ると皆が騒いでいた。


いかん、驚かせすぎた。


私が慌てて地上に降り立つと、真っ先に駆け寄ってきたのはラウだった。


『なんだ、ユエか! 新手の敵かと思って肝を冷やしたぞ!』


『……それはすまん。というか、よく私だと分かったね』


『そりゃ、わかるよ!』


念話できっぱり返される。


私が苦笑していると、ミラやシェリル、そして元奴隷のみんなも目を丸くして集まってきた。


「え! ユエ様なの!?」「今の、ユエだったの!?」


どうやら、私がラウのように変身できることを誰も知らなかったらしい。


驚きが落ち着くと、今度は一転して大はしゃぎの女性陣に囲まれた。


「すごいすごい! 格好いいし、毛並みが最高……!」


「ねえ、ちょっと触ってもいい!?」


私が人間の姿に戻る間もなく、おもいきり「もふもふ」される羽目になった。


三メートルの巨体も、彼女たちにとっては巨大なぬいぐるみのようだったらしい。


(……これ、いつ元の姿に戻ればいいんだろう)


幸せそうな悲鳴を上げる彼女たちにされるがままになりながら、私は困ったように目を細めた。


こうして、慌ただしくも平和な一ヶ月が過ぎ去り。


ついに、運命の来訪日がやってきた。




最後までお読みいただき、ありがとうございます!

もし「続きが気になる!」「面白い!」と思っていただけましたら、

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今日は、これで終わります。つづきは、また明日。おやすみなさい。

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