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異世界召喚された俺、エルフの賢者と融合して究極のキメラになる〜禁忌魔術で、滅びた帝国を勝手に復興させてもらいます〜  作者: 神蛇紫苑


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第六十五話 螺旋の産声、あるいは招かれざる来訪者

ご来訪ありがとうございます。ゆっくり楽しんでいってください。


ガシャン! ガシャン! 

重厚な金属音を響かせ、ゴーレムたちがせわしなく拠点周りの整地に勤しんでいる。


それから数日。


いざという時のための宿泊棟や家畜小屋の増設、そして品種改良した野菜の量産プラントを急ピッチで建設中だ。


帝国跡地での自給自足には限界がある。


ここにはない資材や、将来的な研究機材を揃えるためには、どうしても通貨が必要だった。


ゆくゆくは、ここで生産した作物や加工食品を外部へ販売し、外貨を稼ぐつもりだ。


あいにく私には身分証がないため、販売の実務はシェリルに任せる計画を立てている。


闇組織ソル・インヴィクタスに足跡を掴まれないよう、変装用の特殊アイテムを投入する算段だ。


そんな風に、着々と未来のロードマップに思考を巡らせていると、セドリックが呼びに来てくれた。


「ユエ様。そろそろ昼食の準備が整いました。一度戻りましょう」


拠点に戻ると、香ばしい匂いが漂ってきた。


ミラたち女性陣が甲斐甲斐しく食事の用意をしてくれている一方で、一人だけ優雅に椅子に座って待っている人物がいる。……シェリルだ。


呆れた顔で視線を送ると、彼女は「ん?」と、とぼけた顔で首をかしげた。


「なに、私の顔に何か付いてる?」


「……いや。手伝いもしないで、よくそこまで堂々と待てるなと思ってさ」


「あら、私は広報と営業の担当でしょ? 体力仕事はみんなに任せてるのよ」


確信犯だ。


溜息ためいきをついて席に着くと、彼女は思い出したように身を乗り出してきた。


「それよりユエ、さっき言ってた村の名前。もう決まったんでしょ? 早く教えなさいよ」


その一言で、室内の空気が一変した。全員の期待に満ちた視線が突き刺さる。


私は一つ深呼吸をして、温めていた名を口にした。


「……『ヘリックス』にしようかと考えているよ」


「ヘリックス? ……あぁ、なるほどね」


シェリルがニヤリと口角を上げた。


螺旋らせん、つまりDNAの二重螺旋構造から取ったんでしょ。あんたらしい、理屈っぽいネーミングだわ」


「私の技術で進化し続ける村、という意味合いも込めているんだけど……そんなに理屈っぽいかな」


「うわ、自覚なしの自信満々タイプね」


セドリックやノアは「素晴らしい!」と絶賛してくれたが、他のメンバーはDNAが何なのか分かっていないようだった。


それでも「響きが格好いいですね!」と口々に賛成してくれた。


こうして、私たちの拠点は正式に『ヘリックス村』として産声を上げた。


「さて、名も決まったことだし――」


温かいうちに食事にしよう。そう思って箸を手に取った、その瞬間だった。


拠点の全域に、侵入者の接近を知らせる警報アラートが鳴り響いた。


静寂が引き裂かれ、一気に緊張が走る。私は即座にアナライズ・メガネを起動した。


「……北側、境界の町フロンティアの方角から複数の魔力反応。こちらへ一直線だ」


「どこからだ? 俺が様子をうかがいに行こうか」


隣でラウが身を乗り出したが、私はそれを手で制する。


「待って。魔眼まがんで直接確認する。――『遠視』」


数キロ先まで視界を飛ばすと、数十人の集団が見えた。


精鋭でも数日はかかるはずの死地を越えてきたとは思えないほど、統率の取れた重厚な装備の集団。


さらに『透視』に切り替え、生体反応を詳細にスキャンする。


人工魔核アーティファクト・コアも奴隷紋も……無い。操り人形じゃないね」


だが、彼らが武装してこの禁足地の深部へ真っ直ぐ踏み込んできているという事実は変わらない。


私はすぐさま立ち上がり、鋭い声で号令を下した。


「ラウ、ノエル、私と来てください。ノエルの巨躯きょくはそれだけで十分な威圧になる。ラウ、万が一の際は私と共に前線を支えて。魔猿マナ・プライメイトたちは距離を取りつつ、私たちの影に隠れて背後についてきてください」


「おう、任せとけ!」


さらに、配備していた偵察用ゴーレムたちへ意識を飛ばす。


「鴉型ゴーレム《ウォッチャー》は空からの監視を。豹型ゴーレム《サーチャー》はステルスモードで森に潜んで様子をうかがって」


的確に役割を振り分け、最後にシェルターへ向かおうとする面々へ視線を投げた。


「その他の人たちはセドリックの指示に従い、地下シェルターへ避難を。……シェリル、皆を頼みます」


ノアが不安そうにこちらを振り返ったが、シェリルが「大丈夫、皆を信じましょう」とその肩を抱き、シェルターへと促した。


食事はお預けだ。


私たちは急ぎ、死地を越えて現れた「招かれざる来訪者」を見極めるべく、現場へと向かった。




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