第五十九話 解放と新生の光
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鬼熊が無事に繭の状態になったのを確認した私は、改めて、保護した人々の診察を開始した。
数は男女合わせて10人ほど。
その中の一人の女性が、代表としておずおずと私に声をかけてきた。
「あの……助けてくださり、本当にありがとうございます。私はミラといいます」
丁寧な自己紹介に続き、彼女は震える声で核心に触れた。
「あの……失礼ですが、貴方様たちは一体何者なのですか? その姿……魔物、なのですか?」
「んー、近い存在ではあるけれど、どちらとも言えないかな。まあ、細かいことは後にして。まずは君たちの状態を確認するから、一人ずつそこに並んで」
怯える彼らに「危害を加えるつもりはないから安心して」と優しく声をかけ、一人ずつアナライズ・メガネで診察していく。
まずは奴隷紋の確認だ。
一般的に詳しく使われるのは3種類。
【罪徒紋】は重犯罪者。
【債務紋】は借金による一時的な剥奪。
【戦禍紋】は捕虜や占領地の住民に刻まれるものだ。
幸い、もっとも忌まわしい【罪徒紋】を持つ者は一人もいなかった。
それなのに、あんな残酷な扱いを受けていたのかと思うと、ふつふつと怒りが湧いてくる。
「とりあえず……その呪縛を解いてあげる」
私が術式を展開すると、淡い光が10人を包み込み、肌に刻まれた忌々しい紋章が霧散していった。
「え……?」「消えた……?」と困惑する彼らに、私は現実を突きつける。
「今、奴隷紋を解除した。君たちはもう自由だ。けれど、体の中に人工魔核が存在している限り、あの組織に狙われ続けることになる。もし、行く当てがないのなら、私ができる限り力になるけれど……どうかな?」
元の場所に戻せば、また捕まって使い潰されるのは目に見えている。
私の言葉に、彼らは顔を見合わせ身震いした。
そして、ミラが代表して叫ぶように言った。
「お願いします! 何でもしますので、ここに置いてください!」
「わかった。君たちを歓迎するよ」
こうして、彼らを拠点の新しい住人として受け入れることに決めた。
さて、次は体内の問題だ。
彼らの人工魔核は不完全で、オリジナルの魔核と干渉し合い、肉体を内側から蝕んでいる。
「不自然な干渉を和らげる工夫はされているけど……そのせいで本来の性能を殺しているね。少し、書き換えさせてもらうよ」
私は新しく開発した融合安定術式を発動した。
光が浸透し、人工魔核とオリジナル魔核が境界線を失い、均等に混ざり合っていく。
「うん、完璧だ。オリジナルの魔核とうまく馴染ませることで、拒絶反応を抑えつつ性能を大きく引き出したよ」
「……? なんだか、体の調子がいい」「力がみなぎってくる!」「長年悩んでた腰痛まで治ったぞ!?」
戸惑いながらも、自身の肉体の変化に驚喜する面々。
「人工魔核を除去するのは無理だったから、体に馴染むように調整し直しておいたよ。今の君たちなら、訓練次第で変異個体とも互角に渡り合えるはずだ」
私の言葉に、彼らは涙を流して感謝の言葉を口にした。
さて、一気に仲間が増えた。
住居を増やさなければならない。
私の合図とともに、待機していたゴーレムたちが一斉に動き出し、新たな建築作業に勤しむのであった。
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