第四十八話 まさかの事実2回目
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食事を終えたあと、私は改めてシェリルに仲間たちを紹介した。
「最初に、あなたが一番気になっているだろうラウ。彼は私がこの時代で目覚めて最初に出会った友だ。実は色々あって、元は魔猿だったんだが、今は私と同じ種族に生まれ変わっている」
「――は? 猿……? え、ちょっと待ってルナ、今なんて言ったの? サ、サル!?」
シェリルは、ラウと私の顔を何度も往復するように見つめ、絶句して口をパクパクさせる。
「この、どこからどう見てもワイルドでたくましいイケメンお兄さんの極みみたいな殿方が、お猿さんだったっていうの……!? ルナ、あなたの合成キメラ技術、帝国時代よりさらに変態的……いえ、天才的になってるじゃないの!」
対して、当のラウは「サル、サル」と連呼されても特に気にする様子もなく、ただ不思議そうに首を傾げている。
シェリルが自分を見て騒いでいるのを、どこか達観したような目で見守る姿は、実に堂々としたものだった。
だが、シェリルはすぐにハッと我に返り、真顔で拳を握りしめた。
「……いや、待って。元が猿だろうが何だろうが、今のこの野性味あふれるたくましい筋肉美は本物よ。そうよ、細かいことはいいわ! 結果として私のド真ん中なんだからオールオッケーよ!」
「(……凄まじい順応力だな)」
私は内心で引きつつ、紹介を続ける。
「同じく、その隣にいるラウの息子のノア。彼も同じ理由で、今は私と同じ種族になっている」
だが、ノアがラウの息子だと知った瞬間、彼女は再び「っえ……!」と困惑の声を漏らした。
「……こ、子持ち!? ということは、あちらのワイルドでたくましい殿方には、奥様がいらっしゃるの……!? ああ、なんてこと……私の恋は実る前に散れというの……?」
ガックリと椅子に沈み込み、目に見えて膝から崩れ落ちるシェリル。
「(……いや、だからそこまでショック受けることか?)」
私は呆れつつも、私の生み出したホムンクルスのセドリック、そしてラウの仲間である魔猿たちを紹介した。
「この子たちはまだ名前をつけてあげていないけれど、数が多いから後日ちゃんと考えるつもりだ」
ノアがその事を念話で伝えると、魔猿たちは自分たちも家族として名前をもらえるのかと理解したようで、嬉しそうにキャッキャと騒ぎだした。
「……さて。ここからは、少し重い私の話をしよう。その前に、シェリル。帝国時代のことは覚えているだろうか?」
彼女が「もちろん」と頷いたので、私は言葉を紡ぎはじめた。
無理な術式の影響でまだ記憶が完全ではないこと。
そして、ルナであった私が術式稼働直前、何者かに魔法陣へ突き落とされたことが、今の姿の原因であること。
隣でシェリルが驚愕と怒りの入り混じった形相を浮かべたが、私は手で制して先を続けた。
「その魔法陣には、事前に素体として異世界から召喚された、日本人の神嶌悠月という人物がいたんだ」
その名を出した瞬間、シェリルは顔面蒼白になり、椅子を鳴らして立ち上がる。
「神嶌悠月……? 今、悠月って言った!? その子、どうなったの!?」
「え……? 知り合いなのか?」
「いいから答えて! 悠月はどうなったの!?」
あまりの剣幕に私は圧倒されながらも、魂の融合術式を使ったこと、そして数百年を経て今のユエとして目覚めた経緯を話した。
シェリルは口をワナワナと震わせながら、私がルナと悠月の混ざり合った人格であることを確認するように見つめてきた。
「……神嶌悠月と同姓同名かどうかは分からない。けれど、もしあなたに彼の記憶があるなら――あなたの家族に、神嶌優里と神嶌優希という双子の姉はいなかった? たぶん、東京に住んでいたと思うんだけれど……」
「え……? 何故それを……?」
私は絶句した。
その二つの名前は、間違いなく私が悠月だった頃の姉たちの名前だったからだ。
なぜ、彼女がその名を知っているのか。
「神嶌優希は、あなたが中学一年生の時に亡くなっているよね?」
何故彼女は、優希姉さんが亡くなったことまで知っているんだ? シェリルは涙を流しながら、衝撃の事実を告げた。
「私がこの姿に、いえ……帝国時代のシェリルとして生まれ変わる前。日本にいた時の名前は、神嶌優希だったの」
沈黙が部屋を支配した。
目の前にいる親友であり、今世で再会した人物は――私がかつて失った、自慢の姉だったのだ。
話ながくなってすみません。ちょっとまだつづきます。あと、何回か修正もやるかもしれません。残り2話は、今日の21時までに投稿予定です。




