第三十四話 決戦の時!【前編】
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【ラウ視点】
ユエに息子を託し、俺はただひたすらに走り続けた。
夜の静寂を切り裂き、木々を跳ね、かつて俺が守り、暮らしていた場所を目指して。
一刻も早く、一歩でも先へ。
走る振動と共に、走馬灯のように妻と仲間たちの顔が脳裏を駆け巡る。
妻は、誰よりも気遣いができる優しい女だった。
困っている仲間がいれば真っ先に駆けつけ、手を差し伸べる。
その温かさに俺は惚れたんだ。
なのに……。
(……俺が、あいつの本性をもっと早くに見抜いていれば!)
拳を握る手に血が滲む。皆、本当にすまない。妻よ、本当に……すまない!
無我夢中で走り続け、森を抜けた先――そこには、かつての故郷の無惨な光景が広がっていた。
地面の至る所に、見知った仲間たちの亡骸が転がっている。
それを見た瞬間、堪えていた涙が溢れ出した。止まらない。
後悔と自責の念で、震える指先の制御が効かない。
ふと、背後でうごめく蛇の尾が、動かない一人の姿を捉えた。
俺は弾かれたように振り返り、倒れている妻のもとへ駆け寄った。
冷たくなったその体を抱き上げる。
突きつけられる残酷な現実に、俺は天を仰ぎ、獣のような雄叫びを上げた。
その時だ。背後から、どろりとした不快な気配が漂ってきた。
振り返ると、そこに「奴」がいた。
息子の言った通り、その姿は醜く変貌している。
体のあちらこちらから鋭い魔晶石の破片が突き出し、体躯は以前の2倍ほどにも膨れ上がっている。
もはや猿の面影などない、化け物の姿だ。
奴は、忌々しそうに念話を飛ばしてきた。
『何だ貴様は?……ん? 見た目は違うが、あの間抜けな前長と同じ気配がするな。まさか……老いぼれジジイか?』
俺はそっと、妻の亡骸を地面に横たえた。
涙を拭い、静かな殺意を瞳に宿して念話を返す。
『久しぶりだな。……そうだ。今はある御方のおかげで姿が変わっているが、お前の思っている男で間違いない』
奴は下卑た声で豪快に笑い始めた。
『そうか! 貴様か! ぶははは! 姿が変わっても弱そうだな!』
馬鹿にしたように笑い飛ばした後、奴は急に冷たい目をして言い放った。
『何しに戻ってきた。ここはもうお前の場所じゃない。俺様の場所だ! 消え失せろ、殺されたいのか?』
俺は逃げ場のない怒りで奴を睨みつけた。
『……なぜ、長としての義務を果たさなかった? 仲間を虐げ、あまつさえ敵が襲撃してきた時に仲間を見捨てて逃げようとしただと? そのせいで妻は死んだ! 己の失態を棚に上げ、仲間や息子まで傷つけた貴様に、長の資格などない! 俺と戦え!』
まくしたてる俺を、奴は鼻で笑った。
『なんだ、お前の息子、生きていたのか。……ちっ、ちゃんと死んだか確認すればよかったな。くくく……』
その言葉を聞いた瞬間、頭の中が、真っ赤になった。そんな俺を挑発するように、奴は凶悪な笑みを浮かべて身構える。
『いいだろう、相手をしてやる。……お前を殺した後、そのガキも探し出してぶち殺してやるよ』
戦いの火蓋は、切って落とされた。
ちょっと、このシーンをまとめるのに時間かかりました。今日は、これでおしまいです。おやすみなさい。また、明日投稿します。戦闘シーン書けるかな・・・w




