第三十三話 ラウが決戦に行くようです。
ご来訪ありがとうございます。ゆっくり楽しんでいってください。
一通り学んだラウは、すぐに黙々と自己鍛錬を始めた。
正直なところ、私にはもう教えられるストックがない。
私の武術の知識なんて、ルナだった頃にシェリルに無理やり連れ回されて見た兵隊の訓練風景や、あとは悠月時代に嗜んだ創作物のうろ覚えな知識ばかりなのだから。
それでも、多少なりとも参考になったのなら良かった。
自主練に励むラウを横目で見守るが、あの突き刺すような真剣な眼差しを見るに、やはり彼には許せない相手がいるのだろう。
そして、おそらく一人で決着をつけるつもりだ。
(心配ですね……。こっそりトリニティ・アイズを1つ、彼に憑けておこうか。……いえ、今の鋭い彼ならすぐに気づかれてしまうかもしれない)
うーん、と唸りながら思考を巡らせていた時、ふと思い出した。
……すっかり失念していた。
私にはもう一つの力、魔眼があったことを。
高性能なトリニティ・アイズの利便性に頼り切りだったせいで、使う機会を失い、完全に意識から抜け落ちていたのだ。
しばらくして、イメージトレーニングを終えたラウがこちらへ戻ってきた。
「ユエ。今夜、息子……頼む」
一言そう告げると、彼は迷いのない足取りで森の奥へと消えていった。
頼ってくれないのは少し寂しいが、これはラウが決めたことだ。
私が安易に手を貸すのは、彼の覚悟を汚すことにもなりかねない。
私は、彼が五体満足で戻ってくることを心から祈りながら、その背中を静かに見送った。
ちょっと、短くてすみません。21時までにのこり1話投稿




