表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界召喚された俺、エルフの賢者と融合して究極のキメラになる〜禁忌魔術で、滅びた帝国を勝手に復興させてもらいます〜  作者: 神蛇紫苑


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/70

第三十二話 ラウの驚くべき才能と決戦の下準備

ご来訪ありがとうございます。ゆっくり楽しんでいってください。



ラウに外で待ってろと頼まれてから半刻ほど経った頃、彼が部屋から出てきた。


その眼光には凄まじい怒りが宿っており、険しい表情は、息子から聞いた話の凄絶せいぜつさを無言で物語っていた。


何があったのかと事情を尋ねると、ラウは少し黙って天を仰ぎ、深い沈黙に落ちた。


あふれ出しそうな感情を懸命に整理し、決意を固めているのだろう。


やがて、彼は真っ直ぐに私の目を見た。


「ゴメン、ユエ。オレノ群レノ、問題。今、イエナイ……」


カタコトながら、今の精一杯の意志を伝えてくる。


その揺るぎない眼差しを見て、私はそれ以上の追及をやめた。


「わかった」


一言だけそう答える。


心配ではあるが、無理に聞き出すことが彼のためになるとは限らないからだ。


すると、ラウはさらに言葉を継いだ。


「ユエ、マエ、武術ノ本……オレニ、オシエル! オネガイ……オネガイ、シマス!」


彼は私の目の前で、地面に額を擦り付けるように土下座をしてきた。


その必死な姿に、私は確信した。


技術のすべてを注いで、彼を強くしなければならないと。


「いいでしょう。私の持てる技術のすべてで、あなたを強くしてあげましょう」

 

そう伝えると、彼はガバッと勢いよく顔を上げた。


そこから昼過ぎまで、私はラウに特訓を施した。


まずは「武術の本」に載っていた基本的な型を教え、同時にその動作が持つ物理的な意味を解説していく。


なぜその型をとるのか、どのような力学的結果が起こるのか。


現代科学の視点から、論理的に、丁寧に。


「もっと重心を低くしてください。そうです。その体勢なら軸が安定し、衝撃を受けた際に力が効率よく分散されます。……そう、その調子!」


理論の後は実践だ。


「私が攻撃します。受け止めてください。――いきますよ!」


私は身体強化をかけ、ラウに向けて鋭いかかと落としを繰り出した。


ズドン!


地面にヒビが入るほどの衝撃。


私たちはキメラであり、高い再生能力を持っている。


多少の負傷はすぐに治るだろうと判断し、あえて手加減を抑えて打ち込んだのだが、ラウはそれを余裕で耐えてみせた。


「今の感覚を忘れないでください。全身を使って衝撃を緩和するのです。正面から来る圧力を逃がす防御姿勢は……」


一通り防御を叩き込んだ後、次は「体内の魔力を使った身体強化」の指導に移る。


だが、ラウは魔力の扱いに関してはあまりピンと来ていないようだった。


もともと魔法を使わない種族ゆえ、魔力を使う技術が未発達なのだろう。


「ラウ、私の両手を取って。……そう、そのまま目をつぶって」


私はラウの手に自分の魔力を流し込み、彼の体内を強制的に巡らせた。


直接体験させるのが一番早い。ラウの体がピクッと反応する。


「ワカッタ! ヤル!」


そう叫ぶなり、彼は今の感覚を即座に再現してみせた。


やはり、こうした野生的なセンスは天性のものであるらしい。


私はアナライズ・メガネを調整し、彼の体内の魔力循環を視覚化してみる。


すると、驚くべきデータが映し出された。


「……あれ? なんだ、これ……魔力の他に、エレメントの反応が……」


それは火の属性反応だった。


どうやらラウは、無意識にエレメント系の魔力を引き込んでいる。


私が以前使った雷や氷の属性魔法は、本来高度な制御が必要な技術だ。


それを指導もなしに自然に扱えるということは、彼には火の属性に対して圧倒的な適性があるのだろう。


それどころか、彼は外部から魔力を効率よく吸収し、淀みなく全身に巡らせている。


次の瞬間、彼の拳に強烈なエレメントが凝縮された。


ラウはそのまま、その拳を近くの巨岩に叩きつけた。


ドカン!!


轟音と共に、岩が粉々に砕け散る。


「ええっ……!?」


私が驚愕きょうがくしていると、ラウは平然とした顔でこちらを向き、催促してきた。


「マリョク、ツカイカタ、ワカッタ! ツギ!」


……恐ろしい戦闘センスだ。


伊達に過酷な森で魔猿マナ・プライメイトのボスを張ってきたわけではないということか。


私は、目の前で覚醒しつつあるキメラの才能に、ただただ圧倒されるばかりだった。



あと、2話は、21時までに、まとめ中しばらくお待ち下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ