第二十七話 無事の生還と再会
ご来訪ありがとうございます。ゆっくり楽しんでいってください。
安全な拠点へと辿り着き、ラウの時と同様に重力魔法を用いて、繭を壊れ物を扱うように慎重に運び込みました。
先に戻って準備を整えてくれていたセドリックが、心底心配そうな面持ちで迎えてくれる。
私はこれまでの経緯を簡潔に説明した。
事情を知ったセドリックの眼差しには、ラウとその息子に対する深い同情と、無事を願う色が混じっていた。
日が暮れても、ラウは繭の側から一歩も離れようとしない。
セドリックが用意した、彼の好物であるシチューを差し出しても、今は喉を通らないようだった。
流石に心配になり、セドリックがそっとラウの背を撫でながら声を掛けた。
「ラウさん、貴方が倒れてしまったら、お子さんが目覚めた時に悲しまれますよ」
私も見かねて、自らのアナライズ・メガネを外し、ラウに手渡した。
彼でも直感的に理解できるよう設定を透視モードに切り替え、繭の中を覗かせた。
そこには、赤ん坊のように丸まりながらも、トクン、トクンと力強く、確かな鼓動を刻む息子の姿がありました。
それを見て、ラウはやっと憑き物が落ちたように安堵し、セドリックが作ってくれた温かなシチューを口に運ぶことができた。
そんな彼の姿を、私たちはようやく胸を撫で下ろして見守った。
それからしばらくして――静寂の中に、ピシリと硬い音が響きわたった。
繭の内側から亀裂が走り始める。
ラウはすぐさま駆け寄り、身を乗り出した。
「コ! オレノコ! ガンバレ!」
必死に応援するラウにつられ、無事に羽化することはデータ上わかっていた私やセドリックまでも、何だかそわそわとした落ち着かない心地になってしまう。
やがて繭が割れ、そこから新たなキメラが誕生した。
現れたのは、14歳ほどの少年の姿。
ラウと同じ燃えるような赤髪に、どこか異国情緒を感じさせる褐色の肌を持つ少年だ。
少年は当初、何が起こったのか分からずキョトンとしていた。
しかし、姿形は変わっても父親のことはすぐに分かったようだった。
「アウ! アウ!」
嬉しそうに声を上げ、ラウに飛びつく少年。
ラウもまた、生還した我が子を折れんばかりの力で抱きしめた。
その後、やはりキメラ化のお約束というべきか、新しくなった身体の感覚や鋭敏すぎる五感に戸惑い、少年は少しパニックを起こした。
しかし、その震える身体を、同じ経験をした父親であるラウが優しく包み込み、なだめていた。
そんな二人を眺めながら、私はこれからの予定を頭に浮かべる。
今回のキメラ化には、地球の知識を応用した最新の術式を用いた。
そのおかげか、少年の瞳にはラウの時以上の知性の光が宿っているように見える。
肉体の変化に精神を適応させるプロセスはここからが本番ですが、この様子なら言語の習得もかなり早そうだ。
(さて……ラウと同様、彼にも一から言語を教え、文明人としてのマナーを叩き込まなければなりませんね。やるべきことがまた一つ増えてしまいましたが、この知能の高さなら教え甲斐もありそうです)
忙しくなりそうな予感に、私は少しだけ苦笑いしながら、再会を喜ぶ親子を温かな目で見守った。
後半は、21時までに書き上げます。少々おまちを。ちょっと休憩します。




