第十三話 燕尾服を着たイケ猫(見た目は、豹)従者
ご来訪ありがとうございます。ゆっくり楽しんでいってください。
そうこうしているうちに、薪を山のように集めたセドリックが音もなく帰還した。
豹のようなしなやかな四肢を持つ彼は、どれほど重い荷を背負っていても、驚くほど足音がしない。
「ただいま戻りました、ユエ様」
素早く薪をまとめ、私の次の指示を待つセドリック。ちょうどいいタイミンだ。
私は仕上がったばかりの燕尾服を彼に示し、「さあ、着てみてください」と声をかけた。
セドリックは燕尾服を目にした瞬間、ぱぁっと目を輝かせ、吸い寄せられるように手を伸ばした。
……ですが、あと数センチというところで、ふっとその動きを止めた。
彼は自分の逞しい身体と大きな手を交互に見つめ、急にシュンとして項垂れてしまった。
「……どうしました? 何か気に入らないところでも? 貴方が着るものですから、遠慮なく言っていいのですよ」
せっかく本人のために作ったものだ。
本人の意見も尊重しようと問いかけると、セドリックは慌てて首を振った。
「いえ、違います! そうではなくて……大変素晴らしい出来で、私は、その、とても嬉しいのです」
「では、どうして受け取らないのですか?」
私が重ねて尋ねると、彼は消え入りそうな声で答えた。
「ユエ様が、私のために……それほどまでに心血を注いでくださった服を、今の汚れた体で受け取れば汚してしまいます」
言われてみれば、薪集めの最中に跳ねた泥や土が、彼の体毛を汚していた。
「いったんお待ちください! 近くの川で水浴びをして、すぐに戻ってまいります!」
そう言い残すやいなや、セドリックは弾かれたように外へ走り去っていった。
しばらくして戻ってきた彼は、滴り落ちる水で全身びしょびしょの状態だった。
幽尾猫の特質を持つホムンクルスにとって、水浴びは決して心地よいものではないはずです。
それなのに、たかが布きれ(元布団ですが)のために嫌な水に飛び込んでくれたのかと思うと、なんだか可笑しくて、少しだけほくそ笑んでしまった。
「……すみません、ユエ様。お手数ですが、魔法で私を乾かしていただけないでしょうか?」
遠慮がちに、申し訳なさそうに上目遣いで頼んでくるセドリック。
「もう、そんなことくらい遠慮しなくていいのに」
私は苦笑しながら、乾燥の魔法を編み上げた。
温かな風が彼を包み込み、濡れて張り付いていた毛並みが、一気にふさふさ、もふもふとした輝きを取り戻していく。
準備の整ったセドリックは、恭しく袖を通した。
……さすが私。サイズは完璧にジャストフィットだ。
セドリックは自身の姿を何度も見回し、子供のように目をキラキラさせていた。
180センチという長身に、燕尾服の流麗なラインが恐ろしいほど映えている。
人型の獣という特殊な体型をいかに美しく見せるか――地球であらゆるケモナー作品の洗礼を受けてきた私の知識とこだわりを詰め込んだ一品だ。
似合わないわけがありません。
私は腕組みをしながら、満足げに、そして舐めるように、完成された執事風セドリックを眺め倒すのだった。
休憩中、いそいで仕事中に考えた。ストーリーを投稿^^;覚えてるうちに書かないとね・・・。




