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ママチャリライダー。
その代名詞とも言うべきママチャリ。
暁太郎は其の愛機と共に激戦を潜り抜けてきた。
有るときは不死の王とも言うべきファラオ怪人と対決した時。
或いは此の世界のあらゆる毒物を操るドクターラビ怪人と戦い。
魔道を極めた怪人と勝負した。
愛機にして武器。
武器にして相棒。
「其れが此の愛機なんだ」
……。
「うん分かったからママチャリを下ろそうか御父さん」
「きゅう~~」
持ち上げていたママチャリを下すように促す僕。
御父さんの足元には気絶した怪人が寝込んでいた。
うん。
カオスだ。
あの後庭でママチャリを点検していた時の事だ。
家に怪人が襲撃してきました。
普通お約束では家に襲撃しないんだが……。
襲撃してきたから仕方がない。
うん。
仕方ないのは分かる。
分かるんだけど。
「御父さん」
「うん?」
此方を見るお父さん。
「ママチャリを鈍器代わりにして怪人を撃退しないでください」
「ゑ?」
ポカンとするお父さん。
「何で予想外の言葉に驚いた顔をしてるんですか?」
「いやそんなツッコミが来るとは思わなかったから」
「いや言いますよ」
有ろうことか御父さんは怪人を変身せずに撃退しました。
ママチャリを振り回して。
愛機はどうした?
等と言いたい。
愛機を鈍器代わり渾身の力で殴り倒す。
怪人は此れで気絶した。
其れを僕は遠い目で見てましたよ。
ええ。
変身ヒーローて一体……。
「ヒーローなら変身してください常識です」
「いや面倒だし」
おい。
「面倒で愛機を乱暴に扱わないでください」
「え~~」
「本当に変身ヒーローなんですか」
「そうだよ」
「……」
変身しないヒーロー。
変身する意味あるの?
「其れはそうと何で此の家の場所が分かったんだろう?」
「ああ~~其れ御父さんの所為だ」
「え?」
はて?
「以前悪の組織に所属してた時履歴書を書いてたから」
「履歴書いるんかいっ! 悪の組織っ!?」
びっくりだよ。
「当たり前だろ? 常識だぞ」
「え~~」
何だ其の嫌な常識は。
頭が痛い。
「う……うん」
気絶していた怪人が目を覚まし始めた。
「起きた」
「いやあああああああっ!」
怪人は御父さんを見るなり這って逃げ出そうとする。
だが御父さん其のまま逃げられない様に怪人の背中を踏む。
「御父さんママチャリを担いで何するんですか?」
「頭をミンチにしようかと……」
サラリと残酷な事を言うお父さん。
発言がサイコパスだ。
「止めろおおおっ!」
怪人は御父さんのヤバイ発言に顔を青くする。
ワニ顔なのに色が分かるって新鮮だな。
「止めて下さい」
「そ……そうだ息子さんの言う通りだっ!」
僕の言葉に便乗する怪人。
思わぬ援軍を得たと思っているみたいだ。
違うんだが。
「家の庭に嫌なシミが出来て住めない様にするのは止めてください」
「気にするところ其処っ!」
僕のぶっとんだ発言に驚愕の声を上げる怪人。
何を今更。
「撲殺すること自体は止めないんだ」
「当たり前です」
当然だろう?
「当たり前じゃねえええええっ!」
僕の発言に絶叫する怪人。
はて?
「ワニ怪人さん」
僕は姿勢を低くし怪人の顔を見る。
「貴方は何で此処に来たんですか?」
「其れは当然……」
「当然?」
何処か得意げな怪人を見る。
「我らが宿敵ママチャリライダーを倒すために来た」
はい。
ギルティ。
「御父さんスコップを持ってきますので車の準備をしてください」
「まてえええええっ! 何をする気だっ!」
僕の言葉にぎよっとする怪人。
「裏山に宝さがしに行きます」
「埋める気だろっ! そうだなっ!」
僕の戯言を看破する怪人。
何を言ってるやら。
「いえいえ徳川埋蔵金を探すだけですよ」
「其れ絶対無いやつじゃんっ!」
いえいえ。
有るはずですよ。
きっと。
何処かに。
「そのさい掘った土を戻した時に土饅頭が出来るのは御約束ですね」
「埋める気だよ此奴っ!」
顔面を蒼白にする怪人。
何を言ってるやら。
当然だろう?
「害虫は一匹見つけたら沢山いると思えと言いますし」
「怪人は害虫ではないっ!」
「人に害をなしてるので大差は無いですよ」
「違うだろ色々っ!」
うん。
何言ってるやら。
はっはっは~~。
「人の家族を殺そうとしてるんです仕返しされても文句言えないよね」
「御免なさいいいいっ! 心を入れ替えますので許してくださいっ!」
僕の黒い発言にとうとう泣きが入る怪人。
というか股間が濡れてますが……。
改造人間としてのプライドはどうした?
「我が子なんだよな……怪人を泣かしてるけど」
「そうですけど?」
「我が子ながら……エグイ性格してるな~~」
御父さん貴方が言いますか?




