↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
3/8

3.温室でデート

 王妃のお茶会から数日後、王宮の温室では緊張した面持ちのコーデリアと爽やかなライアン王子が揃って歩いていた。


 ライアン王子がコーデリアに微笑む。

「今日のドレスも素敵ですね。リボンが‥アクセントですか?」


 コーデリアは緊張で一言返すのがやっとだ。

「はい!あ、ありがとうございます。」


 コーデリアの今日の装いは手持ちのドレスにリボンを付けたものだ。先日、リボンを褒められたので侍女達が工夫して作ってくれたのだ。前回の3つが5つに増えている。正直こんなにリボンをつけた事は今までない。


 温室はガラス越しに柔らかい日が差している。珍しい花々や草木が植えられ、ライアン王子が案内してくれた。コーデリアは植物が大好きだったので、やがて緊張よりも好奇心が上回り、目を輝かせて案内を聞いた。温室から庭園へ移り、今度は樹々が並ぶ小道を歩いた。


 コーデリアは木の前で足を止めた。

「これは林檎の木ですね。」


「そうですね。この辺りには果物の木が植えられています。そういえばエルパーカー領は果物の産地でしたね。」


「はい!林檎、梨、桃、葡萄と色々作っていますが、代表的なのは林檎です。私の名の付いた林檎もあります。手をかけて育てるので収穫時は感動です。畑で食べるもぎたての林檎は皮付きでかじると最高ですよ!」

コーデリアは満面の笑顔で言った後、ハッとして口を押さえた。顔が赤くなる。

「‥‥すみません、つい興奮して。」


ライアン王子は笑いを堪えた。その顔も眩しい。

「いえ。それはとても興味深いです。私も経験してみたいです。」


「は、はい。機会があれば是非案内させて下さい。」


「楽しみです。」

そう言った後、静かにコーデリアを見つめた。目が合うと優しく微笑んだ。


「コーデリア嬢、私と付き合っていただけませんか?貴方にとても興味があります。」


信じられない言葉に体が硬直する。

「え、あ、その。付き合うというのはその‥。」


「婚約未満といった所でしょうか。まずは貴方とデートがしたいです。」

 

コーデリアは高鳴る胸を両手で押さえ頷いた。

「はい、宜しくお願いします。」


*****


 ライアン王子はデートとして、コーデリアが経験していないという、観劇や芸術、音楽鑑賞をしましょうと誘った。コーデリアは鑑賞マナーを学んだり、芸術についても最低限の事は学ぶ事になった。そしてドレスを用意しなければならなかった。元々倹約家で王都に出る事もほとんど無かったので、ドレスは最低限しか持っていなかったのだ。なので兄サイラスが新しいドレスを二着プレゼントしてくれた。鑑賞用と舞踏会用だ。モルガナが選んでくれたというそのドレスは、どちらもピンクを基調とし、フリルが多く付いた派手なものだった。


 別邸にモルガナが訪れた時、コーデリアはドレスを選んでくれたお礼を伝えた。

「モルガナ嬢、ドレスを選んで下さってありがとうございます。可愛いフリルが多くて、この私に着こなせるか不安ですが。」


「大丈夫ですわ。王妃様のお茶会でもリボンのドレスが評判でしたもの。コーデリア嬢は背が高くて凛々しいのですから、その分可愛らしく着飾った方が良いですわ。」


「そうですか。お茶会でのドレスも似合うか不安でしたけど、確かにリボンをライアン殿下が褒めて下さりました。ありがとうございます。」

思い出すと頬が赤くなる。


モルガナはチラリと怪訝な顔を見せるがすぐに微笑む。

「そう。殿下が。最近はリボンの付いたドレスが売っていないのよね。そうだわ、今回のドレスにリボンを付け加えたら良いわ。フリルにリボンは合うもの。そうして頂戴。」


「リボンをですか?分かりました。アドバイスありがとうございます。」

コーデリアは素直に頷く。


「そういえば、ライアン殿下とお付き合いなさる‥‥とか?」

モルガナはニッコリと笑み静かに尋ねた。


「はい。観劇など誘って頂いてます。」


「ライアン殿下は素敵ですもんね。‥ここ数年、何人かと付き合われても婚約には至らずとは聞いています。このドレスで是非殿下の心を掴んで下さいね。」


「心を掴むなんて、私がそんな。隣にいるだけで緊張してしまって。」

コーデリアの顔がまた赤くなる。


モルガナは照れて下を向く様子を見て、一瞬だけ眉根を寄せた。


 ノックをしてサイラスがニコニコしながら野菜の入った籠を持って入ってきた。

「領から野菜が届いたよ。芋類がこんなにある。お菓子でも作ってもらおうか?」


コーデリアは喜んだ。

「蒸しただけでも美味しいわよ。でもお菓子も良いわね。」


サイラスが籠を抱えたままモルガナに近づく。

「好きな野菜はあるかい?君にも栄養のあるものを食べてもらいたい。」


モルガナが少し後ずさり、ニッコリと笑みを作った。

「ありがとうございます。私、お野菜に詳しくないので、お任せしますわ。」


「そうかい?この紫芋は焼くと黄金色になって甘いよ。おやつに食べよう。」

サイラスが張り切るとコーデリアも「パイもいいかも!」とノリノリだ。モルガナはただ静かに笑みを浮かべていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。