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ザインクラフト  作者: 白黒灰無
第四章

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善神アフ②



「お久しぶりです、冬さん」


 

穏やかな声だった


 

「記憶、あるんですね」



冬は陽菜さんの瞳からそれを感じ取った 



時間という事象すら吹き飛ばしても虚無化の影響は残ったか…



彼女の顔を観ながら、俺は別のことに想いを引きずられそうになり、そこで思考を打ち切った

 


「はい 事情はある程度」


 

話が早い



冬は小さく息を吐いた


 


「なら助かります アフに話があるんです」


 


「はい」


 


陽菜は頷き、アフの背を軽く押した


 



「陽菜から、これから起こることについては聞いているのよ〜」



「ならなんで俺に会いにこねぇんだよ」

不満をぶつける



「…お前が姿を隠すから、見つけられなかったのよ〜」



ジトっと白い眼を向けられる



どうやら彼女のほうもこちらを探していたようだ




お互いにパンピーに見つかると面倒だから存在認識を阻害して町を探し回っていたのだ




すれ違いだな



さーせん…


 


「……戦争が起きるのね」


 


アフは小さく呟いた


 


「わかってるなら話は早い 円柱世界を進めるんだ」



 

だが――


 


「今は無理なのよ〜」


 


首を横に振る


 


「それじゃダメなのよ〜 今大々的にそんな話を進めれば、彼ら(ノルマ)の機嫌を損ねるのよ 彼らは自分達が切り捨てられた、見捨てられたって感じるはずなのよ」




「? 別に構わねぇだろ 金輪際関わることのなくなる相手だ」 



一緒にいるのが、問題になるのならこちらから出ていけばいい話




「…お前は、単細胞なのよ〜」




「んだとこら」




アフの声は、静かに続ける




「一緒にいれば、時間をかけて、彼らもアニマとして進化していくのよ〜 それを」



「ならねぇよ」



ビクリと、アフは震えた



人間ってのは、多種多様だ



全員が全員、同じ方向を向けるわけじゃない



必ず、そこから外れる者が出てくる




アニマになれる資質のある者と、強制的にアニマになる者では、意味が違う




心からアニマと協調したい者、アニマになりたいと願う者ならまだしも、アニマに悪感情を向ける者は、必ず問題を起こす



一度切り離し、それから融和でも何でもすればいい




距離を適切に保てば、いざ問題が起こっても被害を最小限に抑えられる 




仕事、住む場所、思想、価値観――生じる摩擦に人の心はついていけない



種としての優位性は確実に出始める 

その危機感は種の存続という大義名分すげ替えられ、迫害、弾圧が始まる




実際に自分たちの生活が脅かされる状況下ではなおさら



アフはそれでも下を向き、提案にイエスとは言わなかった


困った子だな


優しすぎる



背負いすぎるやつは、無駄な荷物まで持とうとする



優しくて、真面目で、そして、壊れやすい……



矛盾だな…



だから、俺が言わないといけない



「人はな、“自分より上”を隣に置けねぇんだよ、アフ…」

俺は見てきた そういう奴らを

たくさん振り回されてきたのだ



『冬…』


冬真は、冬を心配そうに呟いた



「……それでも」


 

顔を上げる


 

「それでも……」



「一緒に生きる道を探すのが、“上に立つ者”なのよ」


 

その目は、揺れていなかった

 


冬は、しばらく黙る 

まるで眩しいものをみるかのように



その気持ちは立派だと思う




だが、素直に感心はできなかった

彼女を“上に置く”ことを快く思わない者もいることを知っているからだ




自分が上にいたい者にとって、彼女の存在は目障りだろう


 

そして――



 

「あなたの気持ちが整うのを待ちます ただし、期日は決めさせてもらう」



短く言った


 

「勝手なのよ〜」


 

「文句は聞かねぇよ」



「アニマ達を全員死なせるつもりはねぇから、俺」



アフは押し黙る


 


視線を外す



アフは何も言わなかった


 

ただ、小さく息を吐いた




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