善神アフ①
「引き続きまして本日のニュースです」
「先日から続く謎の失踪事件について――
アフに説明責任が求められていますが、現在も所在は不明のままです」
「まったく、自覚がないのですよ 彼女は あんなのを支持している連中の気がしれない 情弱はすぐに流される 中途半端に力を持ち、己で考える力のないものを引き連れて天狗になる彼女もまた 私は危険な存在だとここに警告をする」
アフへの批判家はここぞとばかりに彼女を糾弾した
喫茶店で、冬はそのニュースを聞き流していた
「……こいつらも消すか」
「やめなって」
すぐさま冬真が突っ込む。
「さすがに一般人はアウトだよ」
「ちっ……」
舌打ち
だが、苛立ちは消えない
財閥の膿は、ほぼ処理した
だが今度は――ノルマが、アニマ排斥に動き始めている
円柱世界の建設を急がなければならない
そのためには――
「……アフが見つからねぇ どこにいんだよ」
行方が掴めない
神の家は野次馬とブンヤだらけで近づけず、本人も戻った痕跡がない
残る可能性は、アニマ側の六財閥が保護してるかだが…
「クソ……どこに隠れてやがる」
街を歩き回る
何度も、何度も
それでも――見つからない
「冬、落ち着きなよ……」
「落ち着けるかっての!」
時間がねんだよ
苛立ちが、声に滲む
――そのときだった
「アフになんの用なのよ〜」
ぴたり、と足が止まる
振り向く
そこには、小さな少女がいた
飴を舐めながら、じとっとした目でこちらを見ている
「……アフ」
その名を、呟く
「そうなのよ〜 アフなのよ〜」
間延びした声
だが、わずかに警戒が混じっている
「お前、最近この聖都で妙な動きしてる奴なのよ 何が目的なのよ〜?」
冬は、一歩踏み出す
「冬?」
反応はない
もう一歩
そして――
ゆっくりと、顔を上げた
「……見ぃ〜つけた♡」
口元が裂けるほどほころび
その表情は狂気に歪む
その顔は、明らかに正気ではなかった
その瞬間
「――ひっ」
アフの顔が引きつった
彼女は駆け出す
「アヒャアヒャアヒャッ!アヒヒ!イィ〜ヒヒヒ!!」
「ぎゃあ〜!!!」
その姿はまるで、落ちてる未使用のタバコを見つけたヤニカスみたいなはしゃぎようだった
見てられなかった
『ちょちょ… 冬さ〜ん…』
冬真の声は虚しく響く 相手には届かない
悲鳴と絶叫の中、追いかけっこが始まる
逃げるアフ
追う俺
――数秒後
「やめてください冬さん! アフ様が怖がっております!」
女性の声が響く
「邪魔すんなよ 今いいとこなんだよ!」
冬は足を止めた
「何がいいとこですか! アフ様が嫌がっておられるでしょう? この痴漢!」
冬はゆっくりと自分を指差して
ME?
かぶりを大きく振る2人
視線の先で一人の女性がアフを庇うように立っていた
「大丈夫ですよ、アフ様」
彼女に抱きつくアフ
「陽菜ぁ……怖かったのよ〜……うっうっ…!」
その名に、冬の目が細まる
「……陽菜さんじゃ〜ん」
記憶と目の前の姿を照らし合わせる 以前見た時よりも若いが その姿は間違いなく、彼女だった
読みやすくなるように調整してみました
いつもより少し短めですが、楽しんでいただけたら嬉しいです




