第十五話 斬利
「……俺は」
死んだ。核を潰されたのだ。斬利の擬似的な不死、その原因が無くなった今、死ぬのは当然だろう。
でもよかったでは無いか。オマエは復讐を成した。生涯の目標を果たしたのだ。命を捨ててまで、その宿命に奔ったのなら、後悔はないだろう?
「……かもな。でも──」
それでも、生きていたい?
「昔な、約束したんだ。研究所で、死んだ友達と」
「おれの分まで生きろって、おれの代わりに色んな場所に行けって」
おかしな話だ。オマエの行動は、その真逆だ。父を、妹を、思い出を殺した男への復讐に走り、若く死んで、何処にも行けず。約束を一つも果たせてないでは無いか。
「ああ、そうだよチクショー。だからさ、俺はまだ死ぬわけにはいかない……身勝手だろ?」
身勝手だな。死にたくない、とは少し違う。死ねない、か。
例え、ここで生きたとて、オマエは復讐からは逃げられない。オマエはこの道に足を使った。力を借りた。なれば、その報いは必ず訪れる。死神の様に付き纏うだろう。
そしてそれは、いつしか大切な人を奪う。
「分かってる。分かっててて、その道を選んだ。選んだ上で、俺は──」
オマエは?
「自分の未来を、切り拓いていきたいんだ」
──そうか。だったら、止めれないな。
その覚悟を信じよう。
その決意を認めよう。
その道に、その先に、祝福があることを祈ろう。
「ありがとう、モヤの人。えっと……」
冬夜だ。……覚えておく必要はない。きっと、覚えられないからな。
「ありがとう、トウヤ。2度と会うことは無いだろうけど」
さようなら、未来を征く者。
いつか、救いを得ますように。




