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第十五話 星の魔力粒子・スターティア・ファリア

第十四話の続きとなります!


 クレセルイとルーナリアは、ベルセリールが常識外れの“魔力体質者”であるという驚愕の真実を知ってしまった。


 屋敷にあった測定器「ファリア君」で、ベルセリールのファリア数値を計ろうとしたが──針は微動だにしなかった。


「……想定外数値すぎて、測定不能ってことね」


「魔力量が高すぎると、僕たちの技術レベルじゃその人のファリアを感知すらできない。……とんでもない真実だ」


 ベルセリールは不安そうな面持ちを見せながらも、二人を心配させまいと無理に笑顔を作った。


「ファリア定性もやっぱり、生属性の粒子しか観測できないわね?」


「うーん……私、自身も、生属性のファリアしか持ってないと思ってた。だからクーちゃんに教わった通り、生属性を魔石に吹き込んでるつもりだったの。でも光や火が混ざってしまうなんて……」


 ベルセリールは俯いて肩を落とした。


「……いや、逆なんだよ!」


「クー?逆って?」


「ベールちゃんの本来の適性は、赤グループの火と光なんだ。そして(じゃく)ながら緑グループの生属性も持っている。でも高すぎる魔力量のせいで、機械では一番弱い生属性しか観測できなかった。だから“生属性適性”って誤認されてたんだよ」


「つまり……実際は火・光が本来の適性で、生属性は観測上で唯一見えてただけ……!?」


「外と同じく、多分闇属性ファリア粒子の量も同じくらいの強いんだと思う!」


 クレセルイは説明を続ける。


「これしか考えられない!しかも、ベールちゃんの中で複数の属性がすでに適合し、魔石で合わせたんじゃなく、最初から融合している可能性すらある!」


「!?四つの属性が最初からひとつになってるってことなの?クー!」


「うん……あり得ないはずのファリアが、ベールちゃんの中では自然に結合している。身体の神秘で、本来なら拒絶しあう属性が……まさか!」


 クレセルイは思わず拳を握り、仮説を口にした。


「ベールちゃんの中では、光と相反するはずの闇も含めて、粒子が拒絶するどころか融合している。むしろ、ベールちゃんの体自体がファリア粒子を変質させ、新しい形に作り替えてる……これは……!」


「クー、それってつまり……?」


「ベールちゃんのファリアは、一種のデスファリアに似ている……けど全く逆だ。通常ならデスファリアはすべてを腐敗させてしまうのに、ベールちゃんのファリアはきれいに結合し、安定した力に変えている!」


「え!?それって私のファリアって危ないんじゃないの!?」


「いや、逆だよ。これはむしろ“浄化のデスファリア”とでも呼ぶべきものだ。……いや、新しいファリアだ!」


 ルーナリアは夢中でノートに書き込みながら、瞳を輝かせた。


「結合ファリア……いや、“融合型ファリア”!四属性が反発するどころか安定化して新しい粒子として存在してる。もし本当なら、この現象はベールちゃんの体でしか起こせない……!」


「しかも、デスファリアと似た性質を持つなら、他のファリアに“侵食”を起こすかも……でもそれが破壊ではなく安定を生むなら……!ただ、魔力式配列が既に形成された魔石だと、配列式のファリアを侵食して書き換えちゃうから……その場合は砕ける恐れも」


 クレセルイはしばらく考えた後に再び口を開いた。


「ベールちゃん、もう一度魔石に魔力を吹き込んでみてくれないかな?研究のために……もしデスファリアにならず別の粒子が現れたら……」


 ルーナリアも興奮した様子で続けた。


「まさか……これが伝説の賢者の魔石に関係しているのかも……!」


「ルーナ、思い出したね?パルケルスの記述を……」


「ええ!パルケルスは私も尊敬する存在ですもの」


──アトラ時代、とある種族は本来結合しないファリア粒子を自在に組み合わせる技術を持っていた。アトラ超文明はその力で繁栄を遂げ、生成法は不明だが謎のファリアを使っていた。私は思う、アトラの人々自身も、そね原理を理解していなかったのではないか?

 偶然か、誰かの特異な体質による神秘か……しかしそのファリアによって生み出された魔石は確かに存在した。

 私はこの現象による魔石を“ルークメントクリスタル”と名付け、星の輝きを生む矛盾性反物質型(むじゅんせいはんぶっしつがた)ファリア「スターティア・ファリア」と呼ぶこととする。


──パルケルス・ファリア「ファリア論・第八十四号」


「星の粒子……?」


「うん。僕たちが夜空を見上げると、星が光っている。あれは宇宙に無数のエネルギーが混ざり合っている証だと言われている。パルケルスは五百年前にそれを見抜き、“星のファリア”と呼んだんだよ」


「決まったわけじゃないけれど……もしベールちゃんが“スターティア・ファリア”を作り出しているのだとしたら……私、なんて幸運なのかしら!お姉様!」


 興奮する二人に、ベルセリールはただきょとんとした顔で首を傾げるばかりだった。あまりにスケールが大きく、話についていけなかったのだ。


※※※


 その後、ルーナリアはベルセリールを屋外へ連れ出した。


「お姉様が魔法を使えるかの実験……始めるわよ?」


「ルーナちゃん……本当にやるの?」


 ベルセリールは光を灯す魔石魔法以外、魔法を使ったことがない。緊張で体がこわばる。以前もクレセルイと練習してみた時は魔石を全部砕いてしまった。


「大丈夫。この宝石で作られた魔石なら、多少魔力を込めるのが下手でも砕けないから!」


「いや、ルーナ?僕はそこを心配してるんじゃなくてね……」


 後から家を出てきたクレセルイは、何かを察したような顔で二人を見つめていた。


※※※


「うぅ……私のダイヤモンドがぁ……!」


 ルーナリアは泣いていた。ベルセリールが魔石に魔力を流し込んだ瞬間、それは粉々に砕けてしまったのだ。


「どうして!?ダイヤの魔石が砕けるなんて……そんな前例、聞いたことないのに……!」


 あの冷静なルーナリアが、まるで子どものように泣きじゃくっている。


「ルーナちゃん、ごめんね……私が下手だったせいで……」


「いや、ルーナ……さっき調べたベールちゃんのファリアの性質を思い出して」


「……クー、まさか?」


「そう。ベールちゃんのファリアは他のファリアを侵食してしまう性質がやっぱりあるみたいだね。魔石の中の魔力配列が、ベールちゃんのファリアに侵食されて魔力配列式が崩壊して砕けた。……だから止めようとしたんだよ?」


「ねぇ……つまり結論として……私って、魔石魔法は絶対に使えないってことだよね?」


「正確には、ベールちゃん自身のファリアで作った魔石以外は、百パーセント砕ける……が正解だね」


 そして、ルーナリアは泣きながら日誌にペンを走らせた。

 お姉様のファリアは特殊で、他の魔石を絶対に砕くガールである。

 大切なダイヤの魔石が……。

——ルーナリア・クアトル——


 これは、その時ルーナリアが書いた研究日誌の一節だった。


ここまで、本当にありがとうございます♪

まだまだ続きます!1日 1〜2話出せたらなと

思っております!

第一部は

は30話くらいで完結できたらな!とおもっております!

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