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偽りの鏡  作者: あとかん
6/8

運鈍根①

 跳躍で遊んでたら遠吠えが聞こえたんで、木をつたって来てみたら


「当たりだったみたいだなぁ!」


重力加速を乗せた初撃は躱されたが、さしたる問題ではない。俺は直ぐに日が差す場所に移動する。見えないということは影に潜っている……あれ柴犬?…居ぬ?犬で名前が「居ぬ」?んだそりゃ。敵意は無さそうだ…あのマヌケ面で敵意があるのもおかしな話だが。さて、やることやるか。

俺は近くの木をおもむろに手に持った剣で斬り始める。

━━━来たか、最初だけは賭けだ。狼…影を使ってくるので影狼と便宜上呼ぶことにする。影狼が使う影に潜る技は、影に潜ったまま姿を見せずに影を伝って移動することが出来るが、移動中はいる場所の影に水面にできる波のようなものが視認できる。しかし、土煙で移動先をうまく確認できなかった。移動先に影狼がいて下から食べられる可能性…故に賭けだった。この世界は命を賭けのチップとして払いやすくて助かるな。さて、また影に潜ってもらおう。


「【なぎ払い】!」


影が波のような状態になってある場所を確認した後、その方向に体の向きを変え剣を横に薙ぐ。攻撃は影から体を出している途中の影狼の頭に命中したが大したダメージにはなっていなかった。

……っ!硬ぇ!…俺を殺した奴と体躯が一回り違う!?━━━まずっ

攻撃を食らいながら体を出して来た影狼に俺はバックステップで距離を取ろうと計るが繰り出された爪による一撃が俺の体を裂き、吹っ飛ばす。俺は背後の木に衝突し、木が衝突時に大きな音を出しながら共に倒れる。

ギリギリ耐えたぁ!!木をインベントリに!〈跳躍〉は後もうちょい!追撃は横に転がって躱すしかない!…あ?

状況を確認しスキルのCTを確認して、剣を手放し右に転がろうとする。…が俺は寸前に転がろうとした方向の反対に転がり追撃を躱す。転がる勢いのまま立ち上がり二度目の追撃を【跳躍】で真上に跳んで躱す。そのまま片手で木の枝を掴みんでぶら下がり、空いた片手で回復ポーションを経口摂取しながら考える。

 俺がさっき転がって回避しようとした時、俺のいる位置の少し右に追撃したよな?俺はまだ回避行動をしていないにもかかわらず回避読みの攻撃…なんちゅうAI搭載してんだ。〈跳躍〉に対応しなかったってことはスキルには…?…いや何も断定できないな、決めつけるにはまだ早い。それよりも根本的なステータスがまずい。残して置いた50SP…1レベル5SP、それが種族レベルと職業レベルで別々に貰える…つまり5レベル分ある。…これを今割り振る。STRかVITかAGL、VITは一撃耐えられているから振らなくてもいい、アレが耐えられないかもだが。STRかAGL…半分づつ?いや、AGLぶっぱだな。今STRに振ったところで劇的に何か改善されるわけではない。━━!咆哮…さてそろそろ移動しなきゃだな。

両手で木の枝を掴み、体を振って降りる。俺のいたところには黒い槍が通っていっていた。

はい、着地!100点!さて、剣は拾いに行ってもいいが攻撃を当てても怯まず攻撃してきたことを鑑みるにリーチによる優位性はない。……結局は徒手か、…ふっ、まあ悪くない。少しの間だが今回もよろしくな、相棒。

自身の拳にキスし、腰を落として拳を構える。


「さあ、いこうか。」


待つのもいいけど早く殴りたいよなあ!!

俺は走り出す、そこを影狼の爪が待ち受ける。


「当たる理由が無いなあ!!」


当たる寸前に半身ずらし、通りすがりに影狼の横っ腹に二発叩き込み、後ろ左脚に蹴りを入れ、左脚が少し浮く。すかさず追撃を試みるが、影に潜られてしまった。

チャンス!

俺は剣が落ちている場所へ走る。後ろを見るが影に波のようなものは見えない。そのまま剣を拾い、またも剣で木を斬り始める。

これしないと最後詰むんでね、前回も色々きつかったところあったけど結局これで負けたから。…お?そのまま出てきた?俺が位置把握できてるのもうバレた?…違う!じゃあどこに…

影狼が潜った場所から場所を変えず、姿を現す。…だがその姿は…瞬間、影狼はその姿を消し俺の足下の影から現れ俺を食った。


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