逃走後に逃走
「お前のことだしどうせ断れなかったんだろうけどさぁ、俺に一人で冒険しろっていうの?ずっと一緒にやるの楽しみにしてたのに、お前いなきゃやる気でないよぉ。」
「後で埋め合わせするからさ、不敵。」
「おい不敵いうな。明日!予定空けとけよ!一日中一緒に遊ぶから!!」
ヒカリは申し訳なさそうな顔から一変、翼を羽ばたかし頭の上の輪っかを光らせて笑顔で答える。
「次会うときは、昔みたいに俺より強くなっておけ。」
「もちろん。」
俺は逃げるように街の外に向かって走り出した。
そういえば確かに一緒やろう、パーティ組もうとは言ってなかった。でもそういう流れだったじゃないか。でも明日は確定させた。もう逃がさない。
俺は走り続けた。門をくぐり、草原を駆ける。目の前は森だった。
逃げるのはやめてレベル上げするか。
森の前で足を止め、インベントリから『初心者のシャツ』『初心者のズボン』と、設定で選んだ『初心者の片手剣』を装備する。
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『初心者の片手剣』
初心者に世界から渡される片手剣
ATK+5
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ATKなんてステータスあったか?と思いステータスを確認するがそんなものは無かった。
STRの親戚?まぁこれを装備して弱くなることは無いだろ。
確認したいものを一通り確認し終えると、森の中に入る。
魔物を探して歩いていると、走る音が聞こえ〈探知〉のスキルが反応し、音が聞こえる方へ剣を構える。そして見えたのは狼だった。狼は走る勢いのまま俺に突っ込んでくる。
「【なぎ払い】!」
俺は〈剣術〉で使えるようになるアーツ【なぎ払い】を使い剣を横に薙いだ。
アーツはスキルの熟練度を上げること使えるようになり、使うとアーツによって異なる動きをシステムが自動で行う、とさっき色々確認した時にヘルプに書かれていた。
見事に命中したが、少し仰け反るだけでダメージが通っている気があまりしない。
やっべ、ここレベル1が来ていいところじゃないわ。闘うか逃げるか、とりあえずやれること全てやってから考えるかー。【なぎ払い】はCT中、じゃあCTが上がるまで耐えるか?いいや、その前に殺る!
「【アタックアップ】!」
MPを消費して、〈付与魔法〉で覚える【アタックアップ】を自分を対象に唱える。効果はATKを上げるというシンプルなものだ。最初に使え?MPの回復手段俺には無いからあまり使いたく無いんだよ!!
狼は【なぎ払い】を警戒してなのか俺の周り大きく周るだけで突っ込んで来ない。
ずっと本物の狼みたいだと思っていたが学習すんのか、カウンターも楽じゃないな。じゃあ来やすいように捨ててやるよ。
俺は剣を地面に放る。その瞬間、狼が俺に噛みつこうと飛びかかるが、身体を右に動かして避けようとする。だが完全には避けきれず、爪が肩を裂きHPが減る。が、俺は狼の後ろ足を掴むことができた。
「【巨大化】ァ!!」
飛びかかった勢いで狼に引っ張られたが、巨大化を使い瞬時に少し大きくなった後、踏ん張って抑える。そして右手でも掴み、持ち上げるようにして近くの木に叩きつける。
「もう一丁!」
俺は叩きつけた方向とは逆の方向に放るように投げて木にぶつける。俺は足元の剣を拾って走り、木にぶつかって怯んでいる狼に剣を突き立てようとするが、
ゴッ!!
「はぁ!?」
刺さらなかった。直後狼が起き上がる。俺はCTの上がった【なぎ払い】をすぐさま使うが逃げる様に避けられる。避けた後、狼はこちらを睨み威嚇してから森の奥へと逃げていった。
俺のAGLじゃ追いつけない、追うだけ無駄か。
「逃げんのか。」
リアルだな。行動も、思考も。
逃げられ、HPもMPもそれなりに失ったが得たものもある。この体の動かし方、各スキルの使用感。そして、狼の動き。これだけで次は仕留め切れる。
「行くか。」
《戦闘に勝利した》
《種族レベルが上昇!SPを獲得した》
《種族レベルが上昇!SPを獲得した》
《職業レベルが上昇!SPを獲得した》
《職業レベルが上昇!SPを獲得した》
狼が光の粒子になるのを見届ける。
カウンターは最強の戦法だ。格上相手でも全然やれる。やっぱりこっちから攻めるより相手を待つ方が楽だな。…剣今回盾としてしか使わなかったな。
ログを確認する。
2レベルも上がってる!?俺のレベルが1だったのも関係しているとは思うが、それにしたって経験値おいしいな。SP割り振って死ぬまで闘うか。…あ、HPとMP全回復してる。レベルアップの影響かな?これなら連戦出来るな。
狼の群れキツすぎ!!数が多すぎて捌ききれなかったし、群れのボスらしき個体は姿消してくるせいでカウンターのタイミング合わせられないし!もっとレベルを上げて楽に立ち回りたいな。いや、先に装備整えてからだな。特に剣、剣術スキルが腐ってしかたない。
…で、死んでからずっと真っ暗なんだけどいつになったら生き返るんだろうか。
ん?身体が動くぞ?
ガコッ
身体を起こすと音がなり、視界に光が入る。
「眩しっ!…これは棺か?」
「おや、目が覚めましたか。」
「ここはいったい?あなたは誰ですか?」
「私はこの教会の神父です。プレイヤーは亡くなるとここで生き返るのです。」
NPCはプレイヤーの意味を分かって言っているのか?
「お疲れ様です。」
「神の御加護があらんことを。」
カウンターは最強(過言)




