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5話 死の配達人 後編

理恵の家に電話が鳴った…


「はい、もしもし」


その電話の相手は龍二だった。


「理恵…お前に頼みがある」


「頼み?」


「俺は今日の朝一番でお前が怨念を感じたっていう家に調査に行こうと思う」


「で?頼みって?」


「だから…今日俺は学校を欠席すると伝えておいてくれ…頼んだぞ」


そこで電話が強引に切られた。


「えっ?ちょっ…ちょっと!?龍二!?」


理恵は少し不機嫌そうな顔をした。


「もぉ!昔っから全然変わってないんだから!」


だが理恵は口ではそう言っても心の中ではちょっぴり嬉しかった。

龍二がまだ幼かった頃と変わらずあの゛龍二゛である事が嬉しかったのだ。

理恵は支度を済ませて高校へと向かった。









龍二は理恵から怨念が感じ取れたという家に調査に来ていた…

勿論、勝手に入ってはいけないのでこっそり忍び込む。

部屋に入ると微かに怨念のようなものが感じ取れる。

しかし普通悪霊が人間を殺した現場ならばもっと強力な怨念が残っていても良いはずだ。

龍二は部屋を徹底的に調べた。

そして部屋の片隅で一枚の紙を見つけた。


「ん?」


手にとって見てみるとその紙切れには「ここに願い事を書いてください」と書いてある。

その紙からは凄まじい怨念が感じ取られた。

そしてその紙はまるで焼かれたかのように黒焦げになって龍二の手から消えた。


「これは!?…」


龍二はこの紙からある魔物の仕業だと考えた。

だがまだ確信は持てない。

とりあえず龍二は一旦自宅に戻る事にした。







その頃、高校では…


何故だか美咲の元気がない。

授業中にも身が入っていない様子だ。

そして昼休みになり美咲は普段から人が殆どいない屋上に上がった。

心配になった理恵も美咲を追いかけて屋上に上った。

美咲は屋上から街を眺めるように遠くを見つめている。

そんな美咲に理恵が声をかけた。

こう見えて美咲と理恵は幼稚園、小学校、中学校、そして高校と同じであり結構仲が良いのだ。


「美咲どうしたの?元気なさそうだけど?」


すると美咲がため息をつきながら話した。


「辰巳君が休みなのって私のせいかもしれない」


「何でそう思うの?」


「あんな酷い事言っちゃったし…」


「酷い事?」


美咲は下を俯きながら言った。


「理恵ちゃんは獣騎士って知ってる?」


理恵は美咲が七不思議の悪霊に襲われた時の事がトラウマになっているのだろうと考えた。


「知ってるよ」


美咲はまだ俯いたままだ。


「信じてもらえないかもしれないけど実はケンちゃんは獣騎士に殺されたの…」


「えっ!?」


理恵は驚いた。

美咲の彼氏が獣騎士に殺されたなんて事は無論初耳である。


「辰巳君が殺したって言う証拠はないのに人殺しみたいに言っちゃって…」


「美咲…落ち着いて聞いてほしいの」


美咲が理恵の方を見る。


「実はね私もその獣騎士なの」


「理恵ちゃんが…そんなの嘘だよ…」


理恵は取り乱しそうな美咲の肩を抑えた。

そして美咲の目を見つめた。


「美咲ちゃん…私の目をよく見て!私が川井君を殺したと思う?」


美咲は目を真っ赤に腫らしながら言った。


「思ってないよ!思うわけないじゃん!」


理恵は優しく微笑んだ。


「私を信じてくれるんなら龍二も信じてあげて」


「えっ!?」


「龍二は無愛想で冷たい奴に見えるけど本当は根は優しくて傷つきやすい奴なんだよ…それに実は龍二とはまだ私が小さかった頃に何度も会った事があるの…龍二は絶対に人を殺したりはしない!だから龍二を信じてあげて」


美咲は俯いたまま軽く頷いた。

理恵はそんな美咲と肩を組んだ。


「さっ!教室に戻ろ」


二人は教室に戻った。


席に座ると美咲が理恵に思いついたように言った。


「今日ね駄目もとでケンちゃんを生き返らせようと思うの」


「美咲何言ってるの?」


理恵は美咲が言っている意味がわからなかった。


「この前ね夢を叶えようプロジェクトって言う人が来てね紙に願いを書くだけで叶っちゃうんだって!」


「何か胡散臭い…宗教の勧誘とかじゃなくて?」


その時理恵はまだこの時美咲の言葉を真剣に捉えてはいなかった。







そして今日の授業も終わり理恵は自分の家に帰った。

時刻は七時三十分…

龍二がコーヒーを飲みながら理恵の部屋で待っていた。


「遅かったな…随分待ったんだぞ」


龍二が素っ気無く言った。


「あのねぇ…龍二…今度の期末試験いつあるか知ってるの?」


龍二はコーヒーを飲み干し言った。


「試験?何とかなるだろ…それより例の事件の犯人がわかった」


理恵の表情が真剣になった。


「犯人の正体は天邪鬼だ」


天邪鬼とは仏教では人間の煩悩を表す象徴として、四天王や執金剛神に踏みつけられている悪鬼である。


「調べたところによると最近「夢を叶えようプロジェクト」とか言う怪しい奴がうろついていたらしい」


理恵の頭の中に美咲の言葉が過ぎった。


{この前ね夢を叶えようプロジェクトって言う人が来てね紙に願いを書くだけで叶っちゃうんだって!}


「龍二!美咲が危ない!」


「何だと?」


「今日その「夢を叶えようプロジェクト」の人から紙もらたって言ってた…それに今日ケンちゃんを生き返らすんだって言ってた!」


龍二の目が見開く…


「あのバカッ!おい!理恵!あいつの家に急ぐぞ!」


「うん!」


龍二と理恵は家を飛び出した。









「美咲…会いたかったよ…」


「私も会いたかったよ…ケンちゃん…」


人通りのない公園のベンチで肩を寄せ合う二人…


「これからはずっと私の側にいてくれるよね?」


「あぁ…勿論さ」


どこからか声が聞こえた。

それは龍二の声だ。


「いい雰囲気のところ悪いな」


そこに龍二と理恵が現われた。


美咲と健太は立ち上がった。


龍二が鋭い目つきで言った。


「美咲…悪い事は言わん…そいつから離れろ…」


美咲は龍二に言い返した。


「私からまた彼を奪うの!?もう離れない!離れたくないの!」


今度は理恵が諭すように言った。


「美咲!本物の川井君が悲しんでるよ!」


「えっ!?」


理恵は正気に戻った。


「ケンちゃんじゃない!あなたいったい誰なの!?」


「何言ってるんだよ?僕は川井健太だよ」


美咲は龍二と理恵の顔を交互に見た。

まだ迷っているようだ。


龍二は美咲を一喝した。


「目を覚ませ!そいつはお前が愛した男じゃない!そいつの顔を良く見てみろ!」


美咲が再び健太の顔を見た。

もう…そこにいたのは健太ではなかった…

頭には角が生え髪は白髪で顔は全体が皺くちゃで黒く黄色い目が光っている化け物だった。


「イヤァ!!」


美咲は龍二と理恵の方へ逃げた。


「アト…モウスコシダッタノニ…」


龍二の手に剣が出現した。


その剣を美咲に見せた。


「この剣はこの世に蔓延る悪霊や妖怪、魔物を斬る為の物だ…決して人を斬る道具ではない」


「えっ?」


わかりづらかったのか美咲が困惑した表情を浮かべた。

それを理恵がフォローする。


「要するに龍二は美咲の彼氏を殺してないって言いたいわけよ」


理恵は俯いた。


「天邪鬼!人の夢を弄んだお前を許すわけにはいかない!」


龍二は目を瞑り剣に気を集中させた。

すると剣から青い炎が出た。

その炎は龍二を包み込んだ。

龍二は龍騎士に姿を変えた。


「オマエノボンノウはナンダ?」


「俺に煩悩などない!」


龍騎士の剣は青い炎に包まれた。

龍騎士は天邪鬼に向かっていった

天邪鬼は黒い邪気の塊のようなものを龍騎士に放つが剣で防がれてしまう。

最後の邪気を放ち終わったとき既にもう龍騎士は目の前にいた。

龍騎士の剣が天邪鬼の体を切り裂いた。


「ジュウキシ…オソルベシ…」


天邪鬼の体は真っ二つになりそして煙のように消えていった。


そして龍騎士の体は青い炎に再び包まれた。

炎が消えると龍二の姿が現れた。


龍二と美咲は暫くお互いの顔を見つめあった…






古より人間の心を読み悪戯を仕掛けると言われる天邪鬼…

もしかしたらあなたにも近くにもいるかもしれませんのでご注意を…




































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