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黒き弾丸と白き学園の守り巫女  作者: 藤原ミヤビ
第4篇 転校したらトラブル続きだった件
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第71話 蹂躙、地獄のバトルロイド

「散開!物陰に隠れろっ!」


 瞬間、全ての武器が火を吹き、弾丸の雨が男達に降り注ぐ。先程男達が撃った弾丸の数よりも遥かに多い。さらにこの弾丸は一つ一つが徹甲弾になっているため


「ぐわぁっ!」

「がぁっ!」

「こちらアルタイル5!物陰に隠れてた4と6がロスト!物陰に隠れても意味がぁっ!」


 例え物陰に隠れても、意味がないのだ。


「くっ!連中のロボットは化け物かっ!アルタイル7~10は足止めしろ!」


 部下を足止めに、本隊は目標達成に動く。倒した、倒せないに関係なく、このアルタイル隊が大きな損害を被る事は目に見えて分かっていた。だからこその部下を犠牲に任務を達成するという決断だ。そのリーダーの決断に、部隊員が不満を抱くはずもなく、行動は迅速に取られる・・・はずだった。


「? どうした、応答しろ!」


 返事はなかった。男は焦った。足止め役がいなければ自分達は死ぬ以外の選択肢がなくなる。


「こちらアルタイル3、7~10をロスト!」

「っ!13!そっちに敵でも居るのか!」


 男は一番若手の隊員に無線を飛ばす。


「いえっ、見当たりません!11、12共にロストっ!さっきまで生きていたのに――」


 声が消え、無線には砂嵐の音だけが無情に響く。リーダーの男はガクガクと震え、冷や汗が滝のようにダラダラと吹き出る。指示を出す前に、周囲にいた2と戻ってきた3が陣形を変えて互いをカバーできるようにした。しかし、


「え?」


 プシュッという音と同時に先程まで頭があった部分から血が吹き出る。


「な、なるほどな。あんたは囮だったってわけか。」

「正解だ。」


 答えたのはバルキリーではなかった。背後から聞こえてきたのはバルキリーよりも冷めきった声だった。影から現れたのは新たなメイド。


「バトルロイド02、パーソナルネーム、イカロス。」

「イカロス?ギリシャ神話の蝋天使か・・・?」

「確かに蝋で羽を作り、飛べるようにはなったがな。まあそんなことはどうでもいい。」


 クールで人を寄せつけないオーラを持つこのメイドも雅が秘密裏に作ったもう一体のロボットなのだ。イカロスなので羽を展開して空を飛ぶこともできる。


「貴様の仲間は既に逝った。それでもまだ足掻くのか?」


 改めて口を開いたイカロスに、リーダーは答えられない。前方には全てを破壊して、無へと変える殺戮のメイド。真横にはバルキリーに苦戦を強いられている間に残りの部隊員を音もなくあの世に送ったメイド。このまま全滅するよりはとリーダーは銃口を降ろした。


「それでは貴方は拘束させていただきます。」


 その後男は武器を全て取り上げられて、とてもいい厚遇を受けながら情報を全て引き出された。


「うわ。これまた派手にやったな。」


 戦闘があった現場は凄惨なことになっていた。死体が至るところにあり、血が一面を覆っていた。中には頭のない死体もあった。


「うっ・・・」


 生徒会メンバーが吐き気を催すのも無理はない。僕はさりげなく保健室から拝借した嘔吐物を吐き出すビニール袋を開いて綾音達に差し出した。


「硝煙の臭いが凄いわね。」


 愛美先輩を追いかけて来たのだが、当の本人は玲に保護されているらしい。


「あっ!遥香ー!綾音ちゃーん!」


 元気に手を振る愛美先輩。この現場を見て正気を保っていられるのは凄い。ふと死体の一つが動いて見えた。するとそいつは、ゆっくりだったが起き上がり、銃口を愛美先輩に向けた。最期の力を振り絞って。普通の人なら間に合わない。


「バルキリー!ガバメントを!」

「イエス、マイロード。」


 瞬間、窓から僕の愛銃、コルトガバメントが飛んできた。僕は紅眼を発動させながら高速で移動し、ガバメントをキャッチしてそのまま発砲した。銃弾は銃口を向けていた男の脳天を貫き、男は絶命した。


「あ、貴方は・・・?」


 氷川会長が絶句していた中から絞り出した言葉は生徒会メンバー全員が思っていることを代弁していた。


「答える義務はないはずだ。普通ならな。」


 紅眼を見たメンバーは怯んだ。僕は一先ず紅眼を解除して微笑んだ。


「詳しい事は、中で話します。」


 とだけ言って僕はカフェに入って行った。これ以上ここに居ると誰かがまたダウンしかねない。死体は全て警察に任せる予定だ。こっちは被害者だからな。


「話されるのですか?マスターの秘密を。」

「あんな事を見せてしまった以上、話さないわけにも行かないだろう?」

「しかし・・・。」

「ああ。堂島と雪菜を呼び出してくれ。この際だ。全てを話そう。」


 静かに頷いた玲は二人に電話をかけた。現時点で僕の秘密を知ってるのは明日香先輩達、桜林学園生徒会役員と理事長のみだ。僕はこれ以上秘密を知る者を多くして良いのかと思いながらも、確実に事が起こってからでは遅いと言い聞かせ、二人の到着を待つのだった。

 なお、情報を引き出しされたリーダーの男は僕と玲の手引きで死を偽装し、どこか見知らぬ土地へと逃がしてやった。

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