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黒き弾丸と白き学園の守り巫女  作者: 藤原ミヤビ
第4篇 転校したらトラブル続きだった件
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第70話 転校生、証言と拠点侵攻

 その日、英稜高校のとある教室はいつも以上に騒がしかった。


「ねえ、今日転校生が来るらしいよ!」

「転校生!?マジかよ!男か!?女か!?」

「男の子だって!」

「男の子!?本当!?絶対彼氏にしてやる!」

「マジかよ、男か。女かと思った。」


 このようにたった一人の転校生だけで一喜一憂。正直恥ずかしい。


「それでは隊長、じゃなかった。藤堂君。案内します。」

「これからよろしくお願いしますよ?堂島先生。」


 僕は知り合いであるという建前で堂島のクラスに入ることになった。本音は独立武装大隊の隊長と隊員で事件解決の為に連携しやすいからだ。


「お前達、席に着け。ってもう席着いてるし。」


 いつも通り挨拶が行われる。その挨拶もテンション高めだった事は言うまでもない。


「じゃあ、もう分かってると思うが、今日は転校生を紹介する。」


 テンション一気に上がる。歓声も上がっている。こんな中で出て行きたいとは誰も思わない。


「このテンションで入って来るのは少々無茶だろうが入って来てくれ。」


 いや、無茶を通り越して無謀だよ!と思いながら教室に入っていく。


「結構イケメンじゃない!?」

「なんか紳士っぽい・・・。」

「あの、制服は?」


 執事はやったことありますよ?なんて思いながら教壇に立つ。


「それじゃあ自己紹介を。」


 僕は黒板に名前を書き、ついでにふりがなも書いてやった。


「藤堂雅です。あ、これは前いた学校の制服です。ネクタイとか、新しい制服が届くまでこの制服で生活します。まだ右も左も分からない自分ですがよろしくお願いします。」


 歓声とともに拍手が巻き起こった。僕は堂島先生に促されて空いてる席へと座り、授業が始まった。堂島が社会の先生だとは思わなかったと言っておく。


「こっちに来る前は何処の学校だったの?」

「桜林学園だよ。同じ私立のね。」

「桜林学園!?最近テロリストとかの襲撃があったり、そこの生徒会がどっかの国の王様を護衛したっていうあの!?」


 放課中、僕は案の定質問責めを喰らった。桜林学園や生徒会の事は結構有名になっているらしく、それが質問量を多くさせていた。まあ、僕がその桜林学園の生徒会副会長だとは思わないだろうが。


「藤堂君。」


 放課後、質問責めに合ってる僕に声をかけてきたのは綾音だった。冷ややかな声であるのだが、いつもの声からは想像できないほど少年っぽい声だった。まるでアニメの主人公みたいに。僕は少々驚いた。


「おぉ出た出た。桜庭の変声術!」

「本当どんな技術だよ。まるで()()だな。」


 桜庭はギクッと言わんばかりに肩を一瞬震わせた。


「せ、生徒会室に来て。」


 全ての荷物を持って(まあ、荷物と言っても弁当とノート、筆記具しかないんだが。)逃げるように生徒会室に向かう綾音に付いて行った。


「来たわね。藤堂君。」


 中に入ると氷川会長と一人の女子生徒がいた。


「あの、そちらの方は?」

「藤堂雅君。今日転校してきた子なんだけど、ゾンビ事件解決に協力してくれるのよ。」

「・・・本当ですか!?」


 女子生徒は涙をポロポロと流し始めた。綾音がそっとハンカチを差し出す。


「えっと、それじゃあ当時の状況を話してください。ゆっくりでいいです。話したくなければ無理強いもしません。」


 女子生徒はゾンビ事件で被害を受けながらも意識不明にならなかった子らしかった。

 何故意識不明にならなかったかと言うと、共に下校していた男子生徒に助けられたからだ。その男子生徒は命に別条はないが昏睡状態らしい。そのゾンビの事を聞いたら


「まるで人間じゃないみたいでした・・・。人間の皮膚を再現したかのようで、何か皮膚がプラスチックみたいに固くてその上に樹脂っぽいゴムの膜があって。」

「待って、掴んだの?」

「ええ。掴まれた掴み返して振り払おうとしたんです。そしたらあの男の子が・・・。」


 僕は女子生徒の話を手で制した。彼女の言った感触は僕も覚えがある。


「・・・間違いない。ゾーンだ。新しい材質のようだが。」

「そのゾーンがゾンビの正体・・・!」


 綾音が拳を握りしめる。氷川会長が顔をしかめる。二人は並々ならぬ憎しみをゾーンへと向けていた。ふと、スマホが震える。珍しく雪菜からの着信だった。


「もしもし?」

『隊長、私です。偵察に出ていた者の一人が傷だらけで帰ってきました。今、シェリエ・ドルチェにいます。』

「即座に手当をして、得た情報を聞いとけ。そのかわり無理だけはさせるな。」

『了解。』


 さらに着信。今度は玲からだ。


「何だ?」

『マスター、現在シェリエ・ドルチェが完全に包囲されています。』

「援軍は頼めそうか?」

『ほぼ不可能でしょう。いくら桜林学園から近いとはいえ山を下りるハメになります。そんなことしているうちに制圧されてしまうでしょう。』

「一人でやれそうか?」

『腕にもよりますが、数的に苦戦を強いられるでしょう。』


 いつかこんなふうに包囲されるとは思っていたが、やけに早いな?まあ対策がないわけじゃない。少々危険だがやるしかない。


「即座に大隊本部に連絡。大隊経由で警察に周辺一帯の通行止めを要請。・・・バトルロイドの使用を許可する。情報は搾り出せ。それ以外は任せる。やれ。」

『イエス、マイマスター。』


 僕は電話を切り、後ろにいた会長達を見ると二人とも軽く引いていた。


「・・・会長、何とかして生徒会メンバーを集めてください。」


 氷川会長は全速力で愛美先輩を探しに行った。

 数分後、生徒会メンバーを連れて氷川会長が戻ってきたが


「ダメです、斑鳩さんが何処にもいないわ!」


 僕は紅眼を発動させた。この眼は最近、他の動物を視界経由で操れる事が可能になっていた。


「居ました。丁度今から行くところに居ますね。」


 僕らは急いでカフェ・シェリエ・ドルチェに向かった。





 マスターは私にこれを使う事を許してくれた。制圧戦闘モードの試運転だけど、余程の事がない限り使わないって言っていたのに。私はスイッチを入れる。


「拠点防衛型制圧ユニット、バトルロイド01バルキリー。起動確認しました。ユーザー認証、東條玲。副ユーザー。使用許諾確認。起動します。」


 私は身震いしそうな無機質な起動音声の後に彼から送信された緊急コードをロボットの目の前に提示した。バルキリーから電子音が鳴り、目の色が血と同じ色に変わる。


「緊急コード。ユーザー、藤堂雅様の緊急コードを確認。拠点の周辺一帯に敵を感知。」

「情報は搾り出してください。マスターからのご命令です。」

「了解。ユーザー藤堂雅のご命令と判断。これより制圧を開始します。」


 私は正直、これがどんな機能かも、どんな結果を及ぼすのかも分からない。しかし、マスターは拠点に群がる敵は排除する。もしかしたら、このロボットもそんな目的で作ったのかも知れない。そう思わざるを得なかった。






「ここだな。」


 あまり太陽の光も届かない裏路地を進む集団がいた。

 とあるテロリストの実行部隊だ。その部隊のリーダーは足音を立てないように注意を払いながら内心で疑いもせずに歓喜に湧いていたのだ。


(このカフェに押し入り、金や武器を頂けば、組織から150万という大金が貰えるなんて、何て太っ腹なんだ。)


 目標地点は最近開店した喫茶店。下見で入ってみたが、コーヒーがやたらと美味い。メイド服だが、彼女の笑顔に落ちない男はいない。下見がてら何度も店に入っては美味いコーヒーを飲んでいる。そんなカフェを襲撃、抵抗してきたら殺害。なおかつ家の中を隈なく調べて武器などを回収せよだなんて・・・。


(俺、ここのコーヒー好きなんだけどな・・・。まあ組織の下っ端である俺が霧夏様の命令に背いたら殺されちまう。これが終わったら組織も復活するんだから。俺も組織辞めて喫茶店巡りでも行こうかな・・・。)


 呑気にそんなことを思うリーダーの男。しかし、噂では、組織を壊滅にまで追い込んだコードネーム――ブラックバレットの従者が喫茶店の店主だと言うのだ。リーダーの男の友達など、激昂したブラックバレットに一瞬で頭を吹き飛ばされたという。自分よりも戦闘力が高く、組織の戦闘訓練で彼に一撃を与えるだけでも名誉と言われていた男なのに。目的地に近づくほどに緊張感と警戒感を高めさせる。目的地近くの物陰に潜んでいた男達にリーダーはハンドシグナルで攻撃を指示しようとした瞬間だった。


「お待ちしておりました。」


 冷ややかにかけられた声に全員が硬直する。その眼前にいたのは


「バトルロイド01、パーソナルネーム、バルキリー。」

「め、メイド?」


 メイド服姿の人間だった。しかし、所々からキュイーンなどの機械音が聞こえて来るのはなぜだろうと誰しもが疑問を抱いていた。。


「敵を確認。これより排除を開始します。」

「撃てっ!」


 リーダーの男が引き金を引くと同時に叫ぶ。ハッと我に返った部隊員達もすかさず引き金を引き、メイドバルキリーに銃弾を浴びせる。もはや隠す必要もないのか辺りに発砲音を響かせながら。しかし、バルキリーは


「くっ、そう簡単に倒れんか。アルタイル4、グレネード!ファイア!」


 アサルトライフルに装着されていたグレネードランチャーからギュッポンと独特の発射音が鳴る。途端に轟音と爆音、そして爆炎がバルキリーを包む。さらに畳み掛けるように再び銃弾を浴びせる。ハンドシグナルで射撃一時停止を指示する男。煙から姿を現したメイドは


「何、だと・・・!?」


 無傷だった。あれだけの攻撃に傷一つ付かなかったのだ。それどころか


「これで終わりですか?では私の反撃と参りましょうか。」


 バルキリーの背中と服が変形し、ガトリングガンが姿を現す。さらに脚や腕、腹や胸に至るまでの服が変形し、体が展開する。展開した体にはショットガンやアサルトライフル、サブマシンガン、機関銃などのありとあらゆる射撃武器が装備されていた。


「ユーザーから殺害は避け、情報を搾り取れ、と申し付けられておりますので、ご安心下さい。これより反攻を開始します。射撃開始。」


 バルキリーの蹂躙という名の戦闘が始まった。

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