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黒き弾丸と白き学園の守り巫女  作者: 藤原ミヤビ
番外篇 この素晴らしい夏休みに思い出を
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第39話 夏休み、雅、京に行く 前編

 「夏休みですか・・・。幸い予定はありませんが、どこか行くんですか?」


 それは終業式が終わり、生徒全員が長期休暇の始まりに歓喜する声が廊下から漏れ聞こえる生徒会室での事だった。会長が僕に夏休みの予定を聞いてきたのだ。


「いや・・・どこに行くかは決めてないんだ。だが折角の夏休みだ。夏っぽい所が良いな。」

「まさか僕が決めるんですか?」


 会長は僕に要望するが何で僕がそんなの決めねばならんのだ。しかしここで断ると後々響く。桜林祭の準備もあるし。いい方法は・・・。あ、そうだ。


「考えておきます。」


 そう、今言われたばっかりだから考えられてない。こう言えばすぐに会長も引き下がってくれるはず!と思っていたが


「今考えれば良いだろう?」

「ですよねー。」


 会長はそう簡単に逃がしてはくれない。観念した僕は考えるふりをして生徒会室から脱出するタイミングを見計らっていた。一応夏っぽい所というお題の答えは出ている。言うまでもない。海だ。しかし海に行くなら冷房の効いた家か大隊本部の隊長室でのんびりした方が良い。課題も出ている訳だし。それにいつも僕は夏休みは行くところがあるのだ。


「きょ、京都?」


 思った事がつい口に出てしまった僕は、あ、これヤバい。と思ったが時すでに遅く


「京都!いいな!よし、そこにしよう!」


 会長は巷で言うところの歴史好き、所謂歴女(れきじょ)なのだ。僕自身も歴史好きな事、大隊の遠征先であることを含み、京都には毎年の事のように行っているのだが。僕は大事なことを見落としていたようだ。

僕が京都に行く理由は多々あるが、今回は遠征ではなく藤堂家の本家に行くためだ。本家の当主が話があると僕に手紙を寄越してきたのだ。さすがに会長を藤堂家の本家に連れていく訳には行かない。あの当主に会わせたくないからな。だが言ってしまった以上、会長は引き下がってはくれないだろう。


「まさかついて来るんですか?」


 呆れ気味に聞いた僕に、当然だという顔をした彼女は何だか嬉しそうだった。



 数日後。僕と玲、そして煌は京都に向かうため新幹線に乗っていた。煌は新幹線に乗った事がなかったそうだ。そのため車窓から流れる景色を誰よりも楽しんでいた。一方の僕は


「どうした雅?酔いでもしたか?」

「いや、精神的にやられただけです・・・。」


 何故かついてきた会長の話に付き合わされていた。玲に相談してやっぱり連れていく訳には行かないと思った僕は会長に嘘の出発日を教えた。僕達は教えた出発日の数日前に京都に入る予定だったが、何処から情報を得たのか駅には会長が待ち伏せしていたのだ。ご丁寧にチケットまでとって。まさかついて来るなんて、と思っていると新幹線は京都駅に到着する。

 京都駅には藤堂家の老翁が待っていた。


「お帰りなさいませ。雅様。東條様もここまでお疲れ様でございました。」

「ああ。叔母さんが用があるんだって?紹介したい人もいる。とりあえず出してくれ。」


 車に乗り込んだ僕達は一路藤堂家の屋敷に向かった。



 車に揺られる事数分後、町の中心から少し離れた所に屋敷はある。平安時代の寝殿造りをベースに作られたこの屋敷には藤堂家の現在の当主藤堂深耶が住んでいる。父の妹だ。彼女は夫を持たず独身を貫く本当の独身貴族のため、その兄で父の長男である僕は必然的に藤堂家の次代当主なのだ。そのため玄関に入ると


「藤堂家次代当主、藤堂雅様ご帰着!」

「「「「お帰りなさいませ。」」」」


 使用人達の声がユニゾンで響く。すると上から若い女性が駆け降りて来て僕に抱きつく。


「会いたかったわ~!雅!」

「相変わらず熱烈な歓迎ありがとね。姉さん。」


 姉さんと呼ばれたこの人こそが藤堂家現当主の藤堂深耶(とうどうみや)だ。妖美な雰囲気に絶世の美女と言えるほどの美しく整った顔。ただ少々我が儘で使用人や僕は少し手を焼いてる。抱きついて来るのはいつものお約束なのだ。そんな姉さんを使用人数人協力のもと、何とか引き離した。


「姉さん、今日は俺だけじゃないんだ。ここにもう一人いるだろ?」

「初めまして。藤堂君の友達で桜林学園生徒会長の九条明日香です。」


 丁寧な挨拶をする会長。すると姉さんはジッと会長の顔を見る。何かこのビジョン凄いデジャヴュなんですが。


「あなた・・・結構可愛いわね。」

「ふぇ!?」

「でも雅の方がまだ可愛いわ。」

「えぇ!?」


 驚きで変な声が出た僕に顔をすりすりとして来る。現当主は僕を溺愛しているのだ。僕にとっては迷惑極まりないんだが。拒否る事はできない。何されるか分かったものではない。確かもうアラサーのはずだ。いい加減当主らしく振る舞って欲しいものだが言っても無駄だと諦めている。



「で、姉さん。話って何だ?」


 姉さんの部屋で紅茶を飲みながら話の内容を聞く。呼ぶぐらいだから何か重要案件なんだろうと覚悟して身構えていた。


「ああ。そうね。電話でもできる話だったけど。冬にコンペティションが横浜であるんだけど、他国の干渉がある可能性があるわ。」

「まあ大体そうだろうな。でも、いつも厳重警備の中やってるはずだろ?」

「そうなんだけどね。今回は少し違うの。」


 すると姉さんは老翁を呼び、封筒を受け取るとそれの中身を机の上に広げる。その資料には重要文書等に押されるトップシークレットの判。そして危険人物の写真と謎めいた桃色の宝石の写真が一緒に入っていた。


「これは?」

「ICPOから警察庁に送られたものなんだけど、その書類を拝借したのよ。」


 僕達は驚く事しかできなかった。

ここまでお読み頂きありがとうございます。番外篇は2話に渡って季節外れの夏休み編です。本当は夏休みには出来ていたのですが、急用やそこまで物語が進んでいないこともあり、出せませんでした。本当にごめんなさい。番外篇はキャラクター紹介を含め、明後日には終わります。頑張ってクリスマスまでには再び番外篇を出したいと思います。よろしくお願いいたします。次回もお楽しみに。

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