表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/37

第3話 脱出 その8

ヒョウは先行して階段を降り一階に到着していた。

銃を真っ直ぐ構えて警戒しながら、周りを見渡すが人っ子ひとりいない。

片手でAN94を構えて、無線のスイッチをオンにした。

「一階に到着。ゾンビもテロリストもいないわ」

『分かった』

舞達四人はヒョウの報告を受けて、一階に降りた。

非常階段の扉の前で一度止まる。

ヒョウが扉のノブに手をかける。

「開けたら溢れ出してくるかもよ?」

「その時はヒョウがなんとかしてくれる。だろ?」

「あら。そんなに信頼されたら頑張んないとね」

翼は背後を警戒しながら悪態を吐く。

「いいから早く開けろ」

「はいはい。開けるわよ?」

「開けてくれ」

ヒョウが舞に確認してドアノブに手をかける。

扉をゆっくり開けると蝶番が軋む。

非常階段は先程と打って変わって、とても静かだった。

ヒョウは油断せず、両手でAN94を構えながら地下駐車場を目指して地下一階を目指す。

駐車場の扉を開いて中を見ても、駐車場に人影はなかった。

「敵影なし。入っていいわよ」

ヒョウが安全を確認して、舞達も駐車場に入る。

舞が翼に車の事を確認する。

「翼、車はどこだ?」

「あそこです」

翼が指差した先には、一台のSUVがある。

「さっき乗ってきた車とは違うな」

翼が指差したのは、先程乗ってきたカイエンとは違う車だった。

「カイエンはボロボロだから新しいほうがいいと思って」

新しい車は、シルバーのメルセデスベンツG36AMGだった。

車が止まっている反対側は駐輪スペースになっていて、そこには複数のバイクが置かれている。

五人はその通路を進んでいく。

「熊気。運転頼むぞ」

翼はG36AMGのキーを投げ渡す。それを熊気は片手でキャッチした。

熊気は先に車に向かって、受け取った鍵でドアのロックを外す。

その時だった。

ヘッドライトのハイビームが舞達を照らす。

白いSUVが背後から物凄い勢いで突っ込んできた。

「舞。危ない!」

ヒョウが舞を突き飛ばす。

迫る車を避けることはできたが、舞と手を繋いでいた美雨は、通路の反対側に突き飛ばされてしまう。

車、白のランドローバー・ディフェンダーが急ブレーキをかけて止まった。

同時に駐車している車の陰から、自由の翼旅団の傭兵達が現れる。

待ち伏せしていた彼らは、VZ58を舞達に向けて斉射する。

舞は咄嗟に止まっているセダンを盾にした。

車のボディに音を立てて次々と弾丸が突き刺さる。

「きゃあ!」

美雨が耳を抑える。舞は彼女をかばいながら、ヒョウ達の方を見る。

三人は、防弾加工されたG36AMGの陰で銃撃を防いでいた。

そちらに合流したくても、敵の攻撃は激しく、とても向こうに行けそうにない。

舞は後ろにバイクがあることに気づき、無線のスイッチをオンにした。

「ヒョウ。先に車で脱出しろ!」

『そっちはどうするのよ!』

「私と美雨はバイクを使って脱出する。そっちは車で突破口を開いてくれ!」

『分かったわ』

舞の指示を受けて、ヒョウ達はG36AMGに乗り込んだ。

翼は後部座席に、ヒョウは助手席に乗り込み、運転席に座った熊気はエンジンをかける。

敵の何人かがそれに気付き、G36AMGの運転席を集中砲火してくる。

しかし、銃弾は全てボディや窓ガラスに弾かれ火花が散るだけだった。

熊気がアクセルを踏んで、G36AMGが動き出し、邪魔する傭兵達を蹴散らしながら通路を突き進む。

途中バリケードのように道を塞ぐディフェンダーのリヤにぶつかって道をこじ開けた。

「舞さん。みんな行っちゃいましたよ」

置いて行かれたと思った美雨が、涙目になって尋ねる。

「私達はアレに乗るんだ」

舞はバイクに向かって指を指す。

「アレに乗るんですか?」

「そうだ」

「私。運転したことありませんよ」

「大丈夫。私が運転するから。さあこっちへ」

舞と美雨は、弾に当たらないように四つん這いになってバイクの元まで辿り着いた。

車種は、黒のBMW・S1000Rだ。

舞は後ろのラックにHK416を差し込んでからバイクに跨りると、美雨に手を伸ばす。

「さあ、後ろに乗って」

「はい」

美雨は舞に補助してもらいながら、バイクの後ろに跨った。

「しっかり掴まって」

「えっ、どこをですか?」

「私に掴まるんだ。早く!」

「は、はい失礼します!」

美雨は舞の腰に手を回ししっかりと掴まる。

武器の冷たくて硬い感触の中に、舞の柔らかさを感じて、こんな時でも美雨の心臓の鼓動が早まる。

舞はバイクに装備されたバッグからキーを取り出してエンジンを掛けた。

橙色の血が鋼鉄の心臓の隅々に行き渡り、唸りを上げる。

舞はS1000Rを駐輪スペースから発進させた。

傭兵の生き残りが、バイクのエンジン音に気付いて振り返る。

「邪魔だ」

アクセルを開けると、後輪タイヤが白煙を上げながら回り出す。

バイクを撃とうとする傭兵達の目をヘッドライトで眩ませてから突っ走る。

そのまま駐車場の出口を目指す。

視力が回復した傭兵達が、バイクを狙って発砲してくる。

舞は姿勢を低くしながら、駐車している車や柱を上手く使って、銃撃を防ぐ。

暫くすると出口が見えてきた。

ヒョウ達を乗せたG36AMGが先に外に出ていくのが見えた。

舞も脱出するため後に続く。

すると出口手前を、一台のディフェンダーが塞いできた。

「何が何でも私たちを逃したくないらしいな」

舞は速度を緩めず、更にS1000Rを加速させる。

狙いはディフェンダーのフロント付近にできた狭い空間だ。

そこを狙ってバイクを走らせ、舞は接触させずにその空間を通り抜けた。

舞は右手でバイクを操作しながら、カバンに左手を入れて、中からM67破片手投弾を取り出す。

「これでもくらえ!」

出口の坂を登りながら、安全クリップを外し、レバーを解除。

それを後ろに放り投げた。

手投弾は坂を転がり、ディフェンダーの下まで転がったところで爆発。

爆発に巻き込まれたディフェンダーは、一つしかない出口を塞ぐように横転した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ