第8話 農夫の仕事
次の依頼は拍子抜けするほど単純だった。町外れの農夫のもとで、初霜が来る前にカブの収穫を手伝うこと。
「これは冒険じゃない」フィンは不満げに凍った土から次々とカブを引き抜きながらぼやいた。「ただの汚れ仕事だ」
「金がもらえる仕事だぞ」マーティンがすかさず言い返した。稼いだ硬貨を見ると、彼はいつも機嫌が良くなる。
がっしりした体格の温和な農夫は、しきりに三人をからかった。
「土いじりを嫌がる冒険者を見たのは初めてだな」
「怖がってなんかない!」フィンがすぐさま反論し、意地になって畝に食らいつき、頭からつま先まで泥まみれになった。
昼までに三人は沼から這い出てきたような有様だった。農夫の妻が笑いながら、パンとチーズと大きな牛乳の水差しを運んでくる。
「お食べ、働き者さんたち。よく働いたわね」
三人は畑の端の地面に直接座って、柔らかい秋の日差しを浴びながら昼食をとった。マーティンは久々に肩の力を抜いてパンをかじりながら、稼いだ金の使い道について気楽に話していた。
「このまま順調にいけば、冬までにはあの隙間だらけの部屋よりましなところに住めるかもしれん」
「僕はちゃんとした剣が欲しいな」フィンがすぐに口を挟む。
「まずは棒きれをまともに構えられるようになってからだ」マーティンが軽口を叩く。
フィンは拗ねたように黙り込んだが、口論にはならなかった。畝の合間の、この単純で気だるい昼下がりが、あまりに心地よかったからだ。
レオンは二人を眺め、雲間から差す日を眺め、爪の間に食い込んだ正直な泥を見つめていた。明日の危険を一度も考えなかった一日は、久しぶりだった。ただの仕事、ただの笑い、畑の中の三人の少年。
こうした日々の積み重ねから、時に「家」という感覚が生まれることがある。




