第6話 川の嵐
嵐は前触れなく来た。山の麓ではよくあることだ。朝には晴れていた空が、昼には黒い雲に覆われていた。
三人が小さな依頼から戻る途中、叫び声が聞こえた。子供の、怯えた声。増水した川の岸辺からだった。
七歳ほどの少年が、荒れる流れの中で流木にしがみついていた。岸には大人たちが集まっていたが、誰も冷たい水に飛び込む決断ができずにいる。
フィンが真っ先に水へ駆け出そうとしたが、マーティンが思いがけない力で肩を掴んだ。
「待て。流れに数秒で持っていかれる」
「でも溺れてる!」
マーティンの顔が――青ざめるほどに白くなった。荒れる水を、まるで川ではなく、自分自身の悪夢の何かを見るような目で見つめている。
「マーティン」レオンが静かに呼んだ。「縄が要る。持ってるか?」
その問いがマーティンを凍りついた状態から引き戻した。手が震えたが、何千回も繰り返した動きが恐怖に勝った。彼はリュックから縄を取り出し、フィンの腰に巻きつけ、もう一方の端を近くの木に固定した。
「俺が入る」突然マーティンが言った。声が揺れていた。「結び方を知ってる。フィンが入っても、持ちこたえられない」
彼は水に踏み込んだ。レオンは彼の顔に、本物の、動物的な恐怖が広がるのを見た。だがマーティンは止まらなかった。一歩ずつ、震えながら、流れと戦いながら、流木にたどり着き、凍えきった少年を抱きしめた。
縄で二人とも岸に引き上げられたとき、マーティンは膝から崩れ落ち、体を震わせた。寒さのせいか、恐怖のせいか分からなかった。
フィンがすぐに自分のマントで彼を包み、レオンはそばに膝をついて肩に手を置いた。
「お前は水に入った」静かに言った。「あんなに怖がっていたのに」
マーティンは歯を鳴らしながら、弱々しく笑った。
「お前たち二人のためなら、俺は何でもするらしいな。こんなことでも」
濡れて凍え、嵐上がりの霧雨の中、岸に立つその瞬間――三人はただの同行者であることをやめた。互いのために危険を冒せる人間になった。




