第4話 新人大会
月に一度、ギルドは階級も実績もまだない者たちのための大会を開いていた。命の危険なしに自分の力を試せる場だ。
フィンが参加を強く主張した。
「みんなに見せてやる、僕に何ができるか!」
その朝、彼は借りた剣――明らかに彼の腕には重すぎる剣を振り回して宣言した。
マーティンが冷ややかに一瞥する。
「持ち方すらまともに分かってないだろう」
「やりながら覚えるさ!」
大会は野次馬と歓声に沸くギルド裏の広場で行われた。フィンの相手は二つ年上のがっしりした青年。フィンは一分と持たず地面に転がされ、観客の口笛を浴びた。
彼は泣かなかった。ただ、その顔から何かが消え、内側に何かを閉じ込めて鍵をかけたように見えた。
帰り道、フィンはずっと黙って足元を見つめていた。
「メダルすらもらえなかった」二人きりになったとき、ようやく口を開いた。「みんなが見てた。僕が転ぶのを」
「それがどうした?」レオンが聞いた。
「だから、僕はまた何者でもないってことだよ」
レオンは立ち止まり、フィンをまっすぐ見つめた。
「フィン。お前の価値はメダルで測るものじゃない。今日、お前は自分より強い相手に立ち向かった。逃げずにな。それはもう『何者でもない』じゃない」
「言うのは簡単だよ。皆の前で負けたことがないなら」
「俺は毎日負けてる」レオンは静かに答えた。「ただ、観客のいる舞台の上じゃないだけだ」
フィンは驚いた顔で彼を見た。レオンがここまで率直に自分のことを語るのは珍しかった。
後ろを歩いていたマーティンは、いつもの皮肉を挟まなかった。ただ不器用に、しかし本心からフィンの肩を叩いた。
三人はまだ気づいていなかった。この小さな会話が、後にずっと大きなものを築くための一片になることを。




