第10話 マーティンが消えた
マーティンは夜明けに一言も残さず姿を消し、一日中戻らなかった。
夕方になる頃には、フィンはもうじっとしていられなくなっていた。
「もし襲われてたら? もし何かトラブルに巻き込まれてたら? もし……」
「フィン」レオンはなだめようとしたが、彼自身も不安になり始めていた。「マーティンは俺たち二人合わせたより、自分の面倒を見るのがうまい」
「今回もそうとは限らないだろ!?」
レオンは黙り込んだ。この単純で恐ろしい理屈に、反論の言葉が見つからなかったからだ。
マーティンが戻ったのはすっかり日が暮れてからだった。疲れた顔で、脇に重い包みを抱えている。そして、これまでで一番険しい二対の視線に迎えられた。
「どこに行ってたんだよ!?」フィンが立ち上がりながら怒鳴った。「殺されたと思っただろ!」
「用事があった」マーティンは短く答え、包みを背中に隠そうとしたが、それはあからさまに失敗していた。
「何の用事?」
マーティンは弁解しても無駄だと悟り、諦めたように包みを開いた。中には厚手の冬用毛布が三枚と、急ごしらえながらしっかり縫われた暖かい外套が入っていた。
「安い羊毛を探して三つの村を回ってた」ぼそぼそと、目をそらしながら言った。「もうすぐ冬だ。前みたいにお前らを凍えさせたくなかった」
フィンは口を開けたまま固まった。まだ握りしめたままの拳が、これまでの恐怖の行き場を失っていた。
「行き先ぐらい言ってくれてもよかったのに」レオンが静かに指摘した。
「言ったら驚きにならないだろ」マーティンは照れくさそうにぼやいた。
フィンが突然、緊張の解けた笑いを爆発させた。一日中最悪の事態を恐れていた人間が、暖かい毛布を手にしたときの、あの安堵の笑い。
「お前は本当に手に負えないやつだな」彼はマーティンを抱きしめた。マーティンが呻くほど強く。
「離せ、疲れてるんだ、恋しかったわけじゃない」
だが彼は、その抱擁を解こうとはしなかった。




