表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
63/69

第十二章 ep1

 わたしとヴィーゴが、ピコに乗って国境の森に着いたときには、すでにいくつかの場所で煙があがっていた。火が付いた様子はないから、雷の魔詩による攻撃を受けたのだろう。

 ということは、ヴァルナルのところに届いた伝令の通り、きっとジーク様がきている。

 空にティッパが飛んでいるのを見つけたヴィーゴは、指笛で呼び寄せて肩にとまらせた。

「西の洞窟にいる。助けてくれ」

 ティッパが再現した声は、野太い男のものだけれど、力なく切羽つまったものだった。

 ヴィーゴはここで馬から降り、そのまま野に放した。

 わたしたちは、ノルド・マーリングの軍にみつからないように、森の木々に身を隠しながら、西にあるという洞窟をめざした。

 変なものだ。

 この森を抜けたところに、ジーク様とセラフィナがいる。

 このままヴィーゴを振り切ってそちらに走れば再会できる。それに逃げ出したとしても、きっとヴィーゴはわたしを追ってこないだろう。

 でも、わたしは、逃げようという気持ちはひとかけらもわきおこらなかった。

 ティッパの伝言の通り、少し盛り上がった丘の陰に小さな洞穴があった。

 ヴィーゴは小さく口笛を吹いた。ティッパの鳴き声の真似だ。もし敵がいたときのための用心だった。

 中からも、同じように小さな口笛が返ってきた。

「中にいる。入ろう」

「うん……」

 少し入っただけで、血の匂いがしている。怪我をした人がいるのかもしれない。

「おれだ、ヴィーゴだ」

「ヴィーゴ! こっちだ」

「ガスパールか」

 ヴィーゴが体をかがめながら、奥へと進んだ。わたしもそれに続いた。

 奥の開けた場所には、何人かのギュールズの若者が寝かされていた。中には酷い火傷を負っている人もいるようだった。

 ヴィーゴの元に駆け寄ってきたガスパールも青黒いはずの髪が半分血の色に染まっている。

 そして、その体はヴィーゴよりも二回り以上も大柄だった。

「大丈夫か?」

「こんなの、かすり傷さ。それよりこいつらのほうが……」

 うめき声をあげているのは、ガスパールの仲間たちだろう。

「ヴィーゴ、援軍を連れてきてくれたのか」

 ガスパールがどこかほっとしたような声でそう言ってきた。

 その言葉にヴィーゴの表情が厳しくなる。

「兄貴から何度も、馬鹿な真似はやめろといわれていたはずだ」

「ヴィーゴ、援軍は?」

「あるわけないだろう。おれはおまえたちを止めにきたんだ」

 ガスパールは、大きな体を乗り出して、ヴィーゴの胸倉をつかみあげた。

「何を言ってんだ、こいつらの怪我をみてみろ。ギュールズの仲間がこんな目にあってんのに黙ってろって言うのかっ!」

「おまえたちは、それ以上のことをノルド・マーリングの騎士団にやらかしたんだろう。すでに兄貴のところに報告がきて知ってるんだ」

「……おれにどうしろと」

「このまま、退却しろ」

明日も7:10より、怒涛の2時間更新を予定しています!

ぜひお楽しみくださいね!


面白いと思ったら、下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援お願いします!

これからも、毎日更新の励みになります!

よろしくお願いいたします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ