表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
GATEKeePer−世界にその価値はあるのか−  作者: 大福


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/33

第2話 救いたい

「次の人。」

リディアが声を掛ける。

怪我人が前へ出る。

腕がない。

足がない。

泣いている子供。

治療所は戦場より静かだった。

だから余計に苦しかった。

悲鳴が聞こえる。

すすり泣きが聞こえる。

助けを呼ぶ声が聞こえる。

終わらない。

何も終わらない。

「リディア!」

兵士が駆け込んでくる。

「西側に重傷者がいる!」

リディアが立ち上がる。

だが、

別の兵士が叫ぶ。

「待て!」

「東側の子供が先だ!」

「たった一人でも。」神代は黙っていた。遠くで境界が揺れる。空が軋む。世界が悲鳴を上げる。神代は知らない。この言葉が、未来の自分を壊すことになるなんて。リディアも知らない。

次の日は珍しく静かな日だった。

空は赤い。境界は割れている。

世界は相変わらず終わりに向かっている。

それでも今日は、悲鳴が少なかった。

「平和だな。」神代が言う。

リディアが笑う。

「戦争中に言う台詞じゃないよ。」

「比較の問題だ。」

「それはそう。」

二人は崩れた街を歩く。

生き残った住民へ物資を届けるためだった。

子供が走る。

老人が笑う。

誰かがパンを焼いている。

不思議だった。

世界が終わろうとしているのに、人は生きている。

「ねぇ。」リディアが空を見る。

「戦争が終わったらどうする?」神代は少し考える。

「寝る。」リディアが吹き出す。「夢がないなぁ。」

「三日くらい寝たい。」

「それは分かる。」

「私は海。」

神代が見る。

「海?」

「見たことないんだ。」

「本当に?」

「うん。」リディアは笑う。

「世界が終わる方が先だった。」

神代は空を見る。

割れた空。

崩れた雲。

赤い世界。

「終わらせよう。」

リディアは頷く。

「うん。」

壊れた世界。

それでもその瞬間だけは、戦争を忘れられた。

遠くで鐘が鳴る。

警報だった。

空気が変わる。

兵士が走る。

「第七門反応!」

「境界震度急上昇!」

「神代隊出撃命令!」

神代が立ち上がる。

戦士の顔になる。

剣を取る。

リディアは立ち上がる。

何かを言おうとして、やめた。

神代が振り返る。

「行ってくる。」

リディアは笑う。

「いってらっしゃい。」

神代は走る。

黒い背中が遠ざかる。

リディアはその姿を見つめる。

見えなくなるまで。

ずっと。

まだ誰も知らない。

この約束が、数千年後まで続くことを。

そして、あの日からずっと、彼が一度もその手を離していないことを。


「ここまでお読みいただきありがとうございます!毎日定時更新を継続中です。失踪せずどっしり書き進めてまいりますので、続きが気になる方はぜひ【ブックマークに追加】をポチッと押して、最初の1件目の応援をいただけると物凄く励みになります!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ