7話 朝、そして感謝
⚪︎前回のあらすじ
ゴブリンとの出会いは、敵対ではなく協力という選択をもたらした。
不安と期待を胸に、俺たちは新しい可能性へ向けて動き出す。
朝になり目を覚ます。
「久しぶりによく寝たなぁ〜、色々あって体が痛い。」
体の節々が痛む中、傷口を見ると、深かった傷もほぼ治っていた。傷の治りが早い。
(この体が子どもだからなのか、以前言われた俺が“人間では無い”からなのか)
「まぁ、とりあえず傷はどうにかなったな。」
周りを見渡す。
クロの姿が見えなかった。
外にいるのかと思い向かう。
「クローどこにいるんだー?」
そう呼ぶと、急に目の前に現れた。
「うわ!びっくりした〜クロ、今どこから出てきたんだよ」
クロの足元が僅かに揺らいだ気がする。
質問に答えるように返答が返ってきた。
「それハ、シャドウウルフ、その魔物のもつスキルダ」
昨日案内してくれた女ゴブリンが近付きながら話してくれた
「スキルによる物なのか、でも、この魔物のスキルは、“睨みつける”というNスキルだけのはず、、、」
前にやり合った時に俺のスキル管理で聞いた話だと、このスキルだけのはずだった。
(別のスキル?新しく身につけたのか?)
考えを巡らせてる間に答えてくれた。
「個体のスキルとは別に、種族別だが皆もつ力があル。ソレを“固有スキル”と呼ブ」
「つまり、シャドウウルフという種族固有のスキルをもっていて、それを利用したから今急に出てきたってことか?」
「それで合ってるゾ」
「私たチ、ゴブリン族がもツ、固有スキルは意思疎通。」
(意思疎通。ってことは言葉にしなくてもお互いに理解しあってるってことか。)
「なるほどね。ただ、少し疑問だな。なんでそんなに教えてくれるんだ?」
昨日の今日で話し合える相手になったとは思えない。
なにより俺がこいつらをまだ信用していない。
「協力してくれるんだロ?なら、私たちもできることは協力すル。」
「信用してもらうために自ら情報を明け渡す。ってことか。」
「そうだナ。戦っても負けるのは分かル。だから協力して欲しイ。そのためなら情報を渡ス。」
こいつらも村のために身を焦がしている。
(この世界は理不尽だ。それに抗うために頑張るやつもいる。それはどの種族にも言えることか。)
俺は目をつむり、心の中でポツリと呟く。
ーーー俺は決めた。
ゆっくりと目を開き、女ゴブリンに話しかける。
「これからは俺も、お前たちに協力する。」
「俺は守る力を手に入れる」
「そして、平和な世の中を作る」
「これは俺の根源となる。だから、その目標のために動くがそれでいいな?」
俺の願い。それは少年の願いも含めた2つだ。
これは絶対に譲れない。
だが、それ以外なら俺の判断で協力はできる。
こいつらが村のために尽力しているなら、俺ができることがあるのなら力を使う。
すると、女ゴブリンは目を輝かせて伝える。
「ありがとウ」
瞬間、俺は心の底から初めて必要とされた気がした。
前世でも感じなかったこの感覚。
(ありがとう、ってこんなにも心に響くんだな。)
その後、俺は女ゴブリンのもとで修行することとなった。
女ゴブリンに連れられて家へと案内される。
そして、アビリティオーラの感覚を掴むため、精神統一をしていた。
「目を閉じテ。そうしたら視界が真っ暗になル。」
「その状態を維持しテ、私が今からあなたに触れル。何か感じたら教えテ。」
目を閉じ、意思を集中する。
背中に触れられた。何か暖かい物を感じる。
波打つ波動のような物。
(そうか、この感覚、俺が少年に宿る前の光に包まれた時と同じような気がする。)
お湯に浸かったような感覚。
それが自身の周り全てにまとわりつく。
故に想像は容易かった。
触れられている手から熱を感じる。
(これが他者のオーラの感覚。)
「体の周りが暖かい。それに、君の手からもそれとは別の温もりを感じる。」
「分かっタ。じゃあゆっくり目を開けテ、自分を、そして私の方を見てくレ。」
言われた通り、目を開け自分を見る。
黄、緑、青色の湯気みたいなものが見える。
目線をゴブリンへと向ける。
俺より小さめだが、オーラを放っていた。
茶、緑色の湯気が見えた。
「俺にも、君にも、霧みたいなものがまとわりついているな。これがアビリティオーラってやつか?」
「そうダ。見えたみたいで良かった。このオーラの大きさ、色の濃さでその者の強さが分かル。」
こうして知る機会がなければずっと、知らないままだった。
そう思い、感謝をつげる。
「ありがとうな。知ることができてよかった。」
女ゴブリンは表情は変わりはしなかったが、
礼を言われたことにびっくりしていた様子だった。
そして、口を開く。
「礼を言われるなんテ、思わなかっタ。」
「伝え忘れていたガ、そのオーラを抑えることデ、実力を読ませないこともできル。」
「私はできなイ。けど、あなたならできるかモ?」
なるほど、出し戻しができるようになると便利だな。
「……つまり、強さが見えてしまう、ってことか。」
やり方を聞くと、意識をさらに高めることで、自身のオーラに強弱を付けることができるらしい。
それは合間を見てやることにした。
ある程度の修行を終えて、外に出ると夕日になっていた。
「かなり時間が経ったなぁ、にしてもオーラに、固有スキル、分かったことが多いし、興味深いな。」
とりあえず借りてる家に戻ったら整理だな。
瞬間、背後から強いオーラを感じた。
(なんだ、このオーラの強さ、俺のオーラと同じくらいか、それより強い。)
汗が滲み出る。
咄嗟に前に行き、その反射で背後へと振り向く。
すると、そこにいたのは、
「ーーーえ?クロじゃないか」
クロだった。
今の俺はオーラが見える。だからこそ改めて知った。
(クロ、お前かなり強いな。)
オーラは俺の倍近く大きく、
色も赤、青、黒の3色でかなり濃い。
目を丸くしていると、クロは勘付いたのかオーラを完全に“消した”。
オーラを自由自在にできることに驚きを隠せなかった。
「クロ!お前すごいな!オーラの強さもだけど、それを操れるんだもんな。それ俺の目標に頑張ってみるわ。」
「ワフっ!」
頑張れと言わんばかりに返事してくれる。
(いや、こうしてみると普通に可愛いオオカミなんだよな)
そうして、部屋へと戻って行った。
(スキル、、、ね、俺の“管理”スキル、もっと知る必要があるな。)
俺は再びクロとの戦闘を思い浮かべる。
手に意識を集中。
スキルの回収したという知らせ。
改善という言葉。
俺は目を閉じて自身の胸に手を当てて意識を集中させる。
「承認。Rスキル(管理)が応じます。」
またこの声だ。クロのスキルを回収、改善した時にでた声と同じ。
「君は何者なんだ?」
「拒否。その質問には答えられません。」
答えられる物には縛りがあるってことか。
「じゃあ、俺のスキルの詳細はなんなんだ?」
「回答。大きく分けて4つ。」
「1つ(回収)生命以外の物を回収できます」
「2つ(保存)回収したものをコピーし保存します」
「3つ(改善)あるべき姿へと戻します」
「4つ(付与)スキル関係の物を付与できます」
、、、ややこしいし長いけど、大体分かった。
「誰か分からないが、助かった。ありがとう。」
「了。ではまた。」
(声が聞こえなくなった。)
自身への意識を強く持つことで、今のシステム的なやつが反応してくれる。
理屈は分からないが、かなり役に立つな。
何より興味深いのも聞けた。
明日また、試してみるか。
ーーーそうして俺の1日は終えた
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