6話 接触と気付き
⚪︎前回のあらすじ
新たな仲間と共に、壊滅した村を後にした主人公。
だがその行く手を阻むように、ゴブリンの集団が現れる。
彼らは何かを抱えている様子で――。
クロを隣にゴブリンたちの後を追う。
「どこに向かってるんだ?」
行き先を聞いてない俺は先ほど話してくれた女のゴブリンに問いかけた。
「今向かってるのハ、私たちの村だゾ。」
即答だった。
(何かを企んでいるのか?いや、あの様子はまた別の何かな気がする)
聞きたいことは山ほどあった。
この道中、気まずい空気なのはよくないと思い、会話を続けようとする。
「あのさ、気になったんだけど、君のことはなんて呼べばいいのかな?名前があれば教えて欲しいんだけど、、」
「私の名前?名前は無いゾ。仲間たちで呼び合うことも無イ。別の魔物からは“ゴブリン”と呼ばれル。だから、気にしたことないゾ。」
質問に対して淡々と答えてくれる。
騙すような雰囲気ではない。
前世で騙してくる相手の目線。話し方。雰囲気。
嫌ほど身に染み付いている。
それをゴブリンたちからは感じられはなかった。別種族である俺たちを、ただ警戒している。そんな感じだった。
「さっきから君しか話してくれないけど、他のゴブリンたちは?何も話せないのかな?」
道中、話しているのは俺と女のゴブリンだけで、他のゴブリンたちは一言も話さずに付いてくるだけだ。
「違う。話せない訳じゃなイ。私は色んな種族と話すためのスキルがある。だから話せるんだゾ。」
「スキルを使って話をしているってことは、互いの言葉を翻訳してる感じかな?」
「大体そんな感じだゾ。」
色々聞くことができて助かるが、
このゴブリン、色々話し過ぎな気もするな。
一応、俺たちも他種族なんだから、もっと警戒した方がいいのでは、、、
「なんで村に連れて行く必要があるんだ?」
「まだ言ってなかったナ。」
「村についてから、私たちの話を聞いてくレ。」
この場で話せない内容?らしい。
とにかく、情報が欲しいからついていくことにした。
しばらくして、それっぽい所についた。
村というにはボロボロだった。
木の柵が作られており、
家もほとんどが草木でできていた。
そんな中、村の中にいたゴブリンと、先頭で歩いていたら女ゴブリンが話している。
正直、聞き取れない言葉を使っているため何を言ってるのか理解できなかった。
すると、話し終えた女ゴブリンが話しかけてくる。
「今から長に会ってもらウ。ついてきて。」
言われた通りついていく。
その間、クロも隣で一緒に行動をしていた。
さっきまでとは打って変わって、臨戦態勢ではなくなっていた。
すると、長がいるであろう、家?に着き、女ゴブリンと共に中へと入っていく。
外観から予想していた通り、作りが甘く、木々には隙間があり、雨漏りなどを防ぐためなのか、藁が屋根にある作りだ。
女ゴブリンが間に入ることで翻訳をする流れのようだ。
長の見た目は先ほど武装していたゴブリンたちよりは年をとっている。
人間が歳をとったときに出てくる特徴と同じだった。
「あなたが、魔物を抑えてくれたのカ。まずは礼を言ウ。」
「いえ、今回はたまたま運がよかっただけです。運がなければ今頃、俺もやられていたと思います。」
翻訳してくれてるとは言っても、間に入ってもらってると思うと、ちょっとやりずらいな。
「ここまで、来てもらったのには、あなたの力を見込んで頼みがあるからダ。」
対面している長の目が薄らと力強くなる。
「私たちに力を貸してはくれないカ?」
予想していなかったことに一瞬呆然となってしまった。
唾を飲み込み。返答する。
「話をお聞きします。」
すると、真剣な表情となっていた顔が少し曇っていく、
「今、ゴブリン族は、この山では数が少なイ。それで、スライムやオークといった他種族に襲われることがあるんダ。」
「だから、我々ゴブリンに力を貸して欲しイ。」
その目には、諦めたくないという感情が宿っていた。
周囲のゴブリンたちも、息を潜めるように黙り込んでいる。
だが、俺にも疑問があった。
それは、少年の記憶によるもので、、、
「事情は分かりました。ですが本来、魔物と人とは間に大きな溝があることは知ってますよね?なぜ、人間である俺に協力を申し出たんですか?」
大きな疑問点。
初めてゴブリンの集団と会ったときも、恐れることなく話し合いに応じてきた。
長年に渡って睨み合ってきたはず。なのに、なぜ頼ってきたんだ?
そうして、帰ってきた答えは俺の想像を変えてくる物だった。
「だって、貴方は“人間ではない”から。」
(え?)
見た目も声も何もかもが人と同じ。そのはずだ。なにせこの体は元々少年の物だった。その体を俺に貸してくれたんだ。冷や汗が止まらなかった。
「ど、どういうことだ?俺は人間だ。」
「いえ、あなたは“人間”ではなイ。だが、魔物でも無い。よくわからない存在。」
(人間でもなく、魔物みたいな存在でもない。どういうことだ?確かに俺の体は人間だし、その自覚もある。)
その後、言われた言葉によって考え方がひっくり返った。
「分からない。って様子だナ。答えは、あなたの周りに出ているアビリティオーラ。だヨ。」
「それってなんなんだ?聞いたことがない。」
少年の記憶にもなかった。
まだ知らないだけなのかもしれない。
「スキル、技量、魔力。
それらが混ざって、体の外に漏れ出したものダ。
それを、“アビリティオーラ”と呼んでいル。」
なるほどな、アビリティオーラ。これによっては相手の力量がわかってしまうってことか。
「普通の人間ならアビリティオーラは目に見えてもそこまでオーラは強くなイ。」
「だが、あなたは違ウ。人間が放つものとは全くの別物。」
(そんなに違うの!?どんな感じに見えてるんだろうか。)
「君たちから見た俺のアビリティオーラってどんな風に見えてるの?」
興味本位からだった。
「普通の人間の4倍強いオーラ。本来、そのオーラは強い魔物が持っている物ダ。」
「仮に私たちが束になってかかったとしても、勝てなイ。と判断した。」
アビリティオーラってだけで、そこまで分かるらしい。
(けど、すごい過大評価してるなぁ。全員でこられたら間違いなく負けます、、、)
内心そう思っていた。
「それってさ、魔物ならみんな見えてるの?人間にも見えてるの?」
正直、身につけられるなら教わりたいとさえ思った。
ゴブリンたちから協力を申し込まれている。ならこの機会にでも学べるものは学びたい。
「基本魔物なら見ることできル。人間の中には感知できるものもあるだろウ。」
それを聞いた途端、俺でもスキルだけじゃなく学べるものがあれば自分を守れる。
そして、仲間を助かるきっかけにも繋がる。
俺は、少し考えた後、協力に関しての返答を告げる。
「分かった。君たちの協力、俺からもお願いするよ。」
返答を聞いた途端、安堵するゴブリンたち。
すかさず俺は言葉を続ける。
「だけど条件が1つある。
倒す。倒される。そんな争うだけの関係は嫌いだ。だから、俺は君たちとは別方面からの協力する。」
これは、俺がゴブリンたちと話してみて1つの可能性を感じだから出した条件だ。
「よく分からない条件だガ、協力してくれるなラ、問題なイ。よろしく頼ム。」
話を終え、俺たちはその場を後にした。
女ゴブリンが案内役となり色々話してくれる。
クロを加え、俺たちを客人として迎え入れてくれた。
一部反発していたゴブリンもいたが、いずれ治る。と言う。
「ねぇ、頼みがあるんだけど、アビリティオーラ。それのやり方を教えてくれないか?覚えたいんだけど、」
「分かった。今日はもぅ遅イ。明日の朝やってみよウ。」
この子はすごく素直なんだろうな。
そう思う。
そして、俺は寝床に戻った。
「なぁクロ、急にこんなことになって、びっくりしたよな。」
クロがその声を聞いて俺を見上げる。
「だけど俺、勘違いしてた。スキルが使えるって分かって、出来ることが増えた。そう思っていた。明日、ゴブリンたちから学べることは全部学んで、俺たちの願いのために頑張るぞ。」
俺は自分の力を過信しないように心を改める。
「クロ。お前の力も貸してくれよな。」
そのまま、俺は少しずつ眠りに入る。
「ーー任せて」
深い眠りに入る瞬間、聞こえた気がした。
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