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40話 村へと...

〇前回のあらすじ

不気味な視線に気付いたネクスは、その視線の先にいる者に接触をしていた。

その時に出会ったのは都市に着いてから食べ物を分けた獣人の子たちであった。

急遽、その子たちからの依頼で囚われている獣人の仲間を助けることとなる。

ネクスは念話を通してクロ、イサキに共有し、救出へと動き出す。


日が完全に落ち、建物の灯りが照らされる夜、

ネクスは、獣人の子たちに誘導してもらいつつ、捕まっているであろう場所へと到着していた。


(ふう、身体強化してるからついてこれたけど、獣人って身体能力高くないか?)

獣人の動きに合わせて移動するのに、素のままでは追いつけないことを悟ったネクスは、身体能力を強化させ必死について行っていた。


(っていうか、身体能力高いのに、人間に捕まるってそいつの体はどうなってるだか)

獣人の身体能力はついて行く時に体感で感じ取っていた。腕力は未知数だが、俊敏な動きについてはとてもじゃないが人の手には追えない。そう感じていた。


(でも、ここ異世界だしなあ、俺の考える人という枠組みで考えない方がいいな)


「ねえ、お兄さんどうしたの?」

屋根上で待機している中、考え事をしていたネクスを、ここまで案内した3人のうちの1人が声をかける。


「ん?いや何でもない。獣人って身体能力高いんだなあって思って、」

それとなく会話を続けていくネクスに、念話で話しかけられる。話しかけたのはクロだった。


「うん。分かった。とりあえず、そのまま待機で、俺が突入したら同時に頼む。」

ネクスがクロとやり取りをした後、ネクスは、「さてと、」と軽く切り替える。


「じゃあ、俺は行くけど、もしもの時は避難してくれよ。」

そう言うと、小屋の中へと、入っていった。


小屋の中はごく普通の机や椅子、その他もろもろの家具があるくらいでめぼしいものは無かった。

しかし、獣人の子たちの情報を頼りに探っていく。


(確か、ここら辺に...お、あったあった)

棚を少しずらすと僅かに風を感じる。

その先へと向かうと、床がすり抜け階段があることを確認する。


(なるほどな、幻影ってやつかな、それで階段を隠していたと、都市も色々厄介そうだなあ)

心の中で呟きながら、ネクスはスキルを使用する。

それは、道中でスキルを3つ入れ替えたものであった。


3つのうちの1つが、先程の念話であり、残り2つが...


「よし、スキル使うか」

小さな声で言うと、スキルを2つ発動させる。


「サイレント、潜伏」

自身の立てる音を無くす“サイレント”

周囲に溶け込み存在を隠す“潜伏”


ネクスは複数人相手にすることを前提に考え、自分の存在を知らせないようにするためスキルを二重で発動させる。


「さて、とりあえず、潜入は出来たけど、バレないでやるなら、心拍センサーは使えないな。相手に感知されないとも限らない。と、なると、」

囚われている獣人がどこにいるのか分からないネクスは、探索するための方法を模索しながら道を進んでいた。


すると、声が聞こえる。

「なあ、獣人の数が合わないんだって?」


「そうなんだよ。なんでも、数日前から合わないらしくてな、都市の警備隊に捕まればやべえってのに、」

話し声が聞こえたネクスは、勘づかれない位置まで移動して、様子を見ることにする。


「ボスにバレたらやばいな。とりあえず、顔は分かるんだよな?」


「ああ、このエリアで捕まえた獣人リストはここにある。」

そう言って男らしい人影が、2枚の紙をもう1人と共有する。


(なるほどな、あれが恐らく、ここだけで捕まえた獣人たちのリストか)


そのリストには名前のようなものが記載されており、距離が離れていることもあったため、ネクスは見えなかった。


「ま、探す方法は思いついたからそれを頼りにしたら、ほぼ見つかるだろ」

そう言ってネクスは暗い影の中へと姿を消した。


---同時刻


「とりあえず、言われた場所はここでいいのかな」

クロは念話でネクスに言われた頼み事を実行していた。

人気のない場所、かつクロから見てAO(アビリティオーラ)が複数あって人よりも一段と強い所で待つように言われていた。


「にしても、ネクス様は優しいなあ、見ず知らずの獣人を助けるなんて」

初めて合ってから色々あったものの、都市についてからのネクスの変化を感じていたクロは、それを思い返し口に出していた。


「それはさておき、2つ目の準備をしなくちゃだね」

そうして、クロは自身を中心に影を広げていく。


一方、イサキはと言うと、ネクスの指示がよく分からずにいた。と、言うより理解出来ていなかった。


「キュゥゥ...」

なんて言っていたのか分からないことに頭を抱えている現状、イサキは、あの言葉を思い出す。


(“マインド”から“早熟”になりました。)


システムのような声がそう頭の中で答えた。それは進化をした際に自身のKスキルがそうなった。

その言葉は分からなかったが、不思議と理解はできた。

その理解が正しいのなら...


イサキは今までのクロやネクス、冒険者仲間に、街の人とのやり取りを思い出す。

そうしてしばらくの間考えることに全集中させ“学び”へと変えていく。


自身が未だかつて触れてこなかった世界へ、1歩1歩着実に、尋常ではない速さでそれを身につけていく。


そして、しばらくして、イサキは更なる力を身につけ、適合し、“ネクスの指示を思い出し”動き出していた。


---ネクス視点へ

ネクスは捕まっている獣人を探し出すべく、視力に力を集めて集中して見ていた。


(あくまでも今までの経験上だけど、人と獣人とでは、一回り程度ではあるが、獣人の方がAO(アビリティオーラ)が高い。なら、そこに僅かに残っているAOの痕跡を追っていけばいい)


自身の気配を悟らせないように意識しつつ、目に力を集中させていたネクスは、ふたつの力を同時に扱うことで負荷を追いながらも目的へと近づいていた。


「.....」


(何か聞こえるな)

僅かにだが、声がした方向へと向き直る。

少しずつAOの力が強まっていたため、迷うことなく進めていたネクスは、捕まっている獣人たちではないか?と考え歩みを進める。


(この感じ、恐らくだが、獣人だな、ただ、違和感もある。)

これといった確信を持てないでいたが、ネクスは怪しんでいた。ここまで何も無く“順調すぎる”ということに


「とりあえず、戦いは避けながら、助けることを優先だな」

周りに警戒しながら、獣人たちへと近付く。


すると、牢屋のような鉄格子に囲われた廊下へと着く。近くにある鉄格子を覗くとそこには、獣人の子たちが捕まっていた。特に若い子たちがほとんどであり、1番若い子でも小学生並み、大きい子なら20過ぎたくらいの見た目ばかりだった。


「誰かいる?」

近くの鉄格子を覗いていたら、そこにいた獣人の1人が気付き、こちらへと近付く。

すると、目を見開き、話を続ける。


「この匂い、もしかして助けに来てくれたのか?」


(ん?この匂い?...ああ、もしかしてあの3人の匂いのことか、獣人だし鼻がいいんだろうな)

匂いと言われて最初にラピスを思い出してしまったが、直ぐに直近で出会った獣人3人の事だと切り替える。


「ああ、助けに来た。だけど、騒がれると助けられないから、静かにして欲しい」

それを聞いて了承したと言うように首を縦に振る。


そして、鉄格子に触れてこじ開けようとするが、その時、先程の獣人の子が話しかける。


「その鉄格子、俺たちでもどうすることも出来ないんだ」

触れた瞬間、自分の力が少しずつ抜けていくことが分かった。何かしら逃げ出せないための何かがあるなと直ぐに考え手を離す。


(まあ、こうなるかもと思って、設定してたから問題は無いんだけどね)


すると、ネクスは影の中に入り、鉄格子の中へと移動していた。まさしくそれは、クロがよく使っている影の中に入る。それだった。


その姿に鉄格子の中にいた獣人は驚いていたが、ネクスに言われた通り騒がないように最低限守っていた。


「時間が無い、さっきも見かけたが、見回りが数人いる。手早く終わらせる」

ネクスは、自身の法則改変のスキルと、影移動のスキルを使って意識を集中させる。


(......よし、正直、出来るかは賭けだったが、なんとか繋がったな)


「よし、外にいるお前たちの仲間3人の所に繋がっているはずだ、この影の中に入るんだ」


ネクスの指示を受け、順に影の中へと入っていく獣人たち。

顔を見せた瞬間は同じ人間として敵意を向けていたその視線は、獣人3人の匂いをきっかけに信用していた。


順に鉄格子から鉄格子の中へと移動し、影の中へと誘導していく。全員で16人ほど、最後の一人を救出し終えた瞬間、自分も中に入り、外へと脱出する。


目の前には獣人たちがいる。外で待機するように話し合った獣人3人も一緒だった。


そして、クロもその場にいて、こちらへと向かってくる。


「ネクス様、これで全員?」


「ああ、ここに捕まっていた獣人はこれで全員だな」

クロはある程度の事情を聞いていたこともあり、情報を共有する。そして、その後すぐにイサキから念話が入る。


「ご主人!頼まれたこと、2つとも終わったからやっていいよ!」


「分かった。」

そうして、ネクスは念話先のイサキのいる場所を把握するため、探索スキルを発動させる。本来、丸く広がっていく探索スキルだが、ネクスは予め伝えた方向に向かったイサキの方一直線に突出させ探索範囲を広げ、距離を稼いでいた。


「見つけた、イサキがいるのはそこか、想定よりかなり遠くまで行ったんだな。早すぎるだろ」

イサキの移動距離に驚きつつも、イサキ周囲にある景色を思い出し、ゲートを作る。


影でのワープを実現させて、外に出た直後、続けてそのゲートへと入るようにネクスは獣人たちに指示をする。


入っていったその先には、ネクスたちが築き上げている村が見える、山の中であった。

最後まで見ていただきありがとうございます!

前作から続けて見ていただいてる方、今回初の方、いろんな方に見ていただき嬉しい限りです!


よろしければ評価・ブックマーク等していただけると励みになります。

次回41話もよろしくお願いします!

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