37話 嫉妬、そして理解
〇前回のあらすじ
初クエストを終え、無事に都市へと戻ったネクスたち。
また、新たな仲間?を迎えることとなった。
そして、宿を借り、落ち着く頃、クロが少しご機嫌ななめなようで...
「クロ?なんでそんな悪い顔になってるんだ?」
「いや、それを言うなら顔色だから」
「はあ」とため息をつきながらネクスの言葉にツッコミを入れる。ネクスは、素で間違えていたことに少し恥ずかしさを感じていた。
「で、どうした?」
話を進めていくと、クロが口を開く。
「いや、ずるいなあって」
(...ずるい?なんのことだろ)
思い当たる節がないネクスは少し考えを巡らせる。
「いや、だって、レイさんたちとは楽しくクエスト受けてたし?新しく仲間もできたし?私抜きで楽しそうだなあって」
(あ〜、そういう事ね。寂しかった感じか)
都市に着いてからというもの、今の今までずっと影の中にいたクロは退屈していた。
「悪かったよ。そこまで考えが回らなかった。明日からはクロもクエスト参加ってことで紹介するからそれで許して」
両手を合わせてクロに謝罪をするネクス。
それを見たクロは尻尾を振りながらも嬉しそうに返す。
「分かった。そういうことなら許すよ!」
すぐに仲直りをする。
その様子を一匹がじっと見ていた。
「きゅう!」
一角ウサギが、今までの会話の間、暇だったのか、ネクスに飛びつく。
「うおっと、危な。急に飛びつかれたらベッドから落っこちるじゃないか」
嬉しそうな表情を浮かべながら、一角ウサギを受け止める。
「ねえ、ネクス?その子だけど、名前とか付けてあげたらどう?確か、一角ウサギは懐きにくい分、一度懐くと離れることはないって聞くし。」
「名前かあ...あ、そうか、俺のスキルで一度どんなスキルがあるのか見てみるのもありだし、関係値が出来てるなら名付けによる進化も出来るかもしれない」
一角ウサギの方をじっと見つめ返す。
そして、ネクスは意識を集中させる。
「回答。個体名一角ウサギから回収出来るスキルが1つしかありません。」
「どういうことだ?複数ある内の1つしか分からなかったし、回収出来ないってことか?」
「返答。その通りです。」
「詳細。回収出来ないスキルはレベルが高いため出来ません。またそれらの細かいところも分からないです。」
(ん〜だとすると、できるところはやって、名付けって感じかな?懐いてくれてるっぽいし出来ると思いたいな)
「よし、じゃあ、回収を頼むよ。」
「承認。個体名一角ウサギからスキルを回収及びコピーし付与します.....成功しました。これによりRスキル(俊敏)を手に入れ、付与も施しました。」
無事にスキルのコピーと付与をし直すことができたネクスは、クロと一角ウサギの方を見て、スキル関係は終わったことを伝える。
「じゃあ次は名付けだね!どんな名前にするか決めてるの?」
首を傾げてネクスに問いかける。
(なんも考えてない。なんて言えないなあ。かと言って強がれば期待される。どうしようかな)
悟られないように考えていると、
「まあ、ネクスのことだし名前でつまづいてるのは分かってるよ?」
(あ、うん。普通に悟られてたんですね)
クロには考えていることが筒抜けだったことに、今更ながらに感じていたネクスだった。
(少し名前のことは考えることにするか。)
「ん〜一角ウサギで、色が薄紫色。難しいなあ。」
(ウサギって、確か因幡みたいなのを聞いたことがあるな、それに薄紫.....)
「よし!今日からお前はイサキだ。」
数十分ほど考えた末に出た名前に、名付けされた一角ウサギは喜びを表現するかのように飛び跳ねる。
「嬉しそうで良かったよ。」
「さて、とりあえず、今日は初クエストで色々あったからな、休むことにしようか」
そうして、ネクスたちは、それぞれ眠りにつくのであった。
---次の日の朝
「ん〜〜、重い。」
ネクスは寝ていると、うなされているかのように声を発する。
何者かに乗られているような、息苦しさ。それを感じていた。
「ネクス?大丈夫?おーい、ネークース!」
クロが寝苦しそうにしているネクスを揺らしたり、前足で顔を叩いたりして起こそうとする。
そして、顔面にヒットした瞬間に、ネクスは「痛っ!」という声と同時に目を覚ました。
「あれ?クロか、おはよう。」
「ネクス、うなされてたけど大丈夫なの?」
心配し、ネクスに声をかけ、大丈夫なようでホッとする。
「なんか、寝ている間に俺の上に何か重たいのが乗っかってきたんだよな。それに身動きが取れなかったから...」
と、続きを話そうとするが、ネクスはあることに気付く。
「いや、クロ、今気付いたんだけど、今も重たいまんまだわ...」
そうして、クロは重たい原因は布団の中にあるのではないかと、布団をめくって確認する。
「え?誰かいるんだけど」
その視線の先には、薄紫色の一角ウサギに“見える”存在がそこにいた。
見た目は変わっており、一回り大きくなり、一本角から二本に変わっている。また、目がほんのり赤くなっており、精霊かと思わせる見た目になっていた。
「えっと、もしかしてイサキ?」
ネクスが確認をとると、イサキと思わしきウサギは、こくりと頷く。
「変わりすぎじゃない?あのうさぎを象徴するような見た目から人形っぽいというか、精霊っぽさがあるというか」
手を顎に乗せて呟くネクスに、クロが話しかける。
「まあ、進化したってことで見た目が変わったんでしょ?ほら、元村長だったソンウだって、若返ってたし」
ゴブリン村だったころの村長であるソンウを例に出す。ネクスは「確かに」という反応でこんなこともあるかと、状況を受け入れることにする。
そして、ネクスはイサキがどう変化したのか少しでも分かればと解析を行う。
「報告。個体名イサキは“一角ウサギ”から分岐進化により“一角ウサギ(特殊変異)”になりました。それにより、特有スキル(Kスキル)“マインド”が“早熟”になりました。」
(つまり、周りとは違う個体で育ちやすいウサギってことね。あれ?でもウサギって元々育ち早かったよね?...気にしたら負けか)
簡単に進化の部分を聞いたネクスはまとめる。そんな中、未だ解析部分では分からないことも多く、詳細は一旦省くことにした。
「よし、じゃあギルドへ行こうと思うんだけど、クロは一旦影の中に入っててくれないか?」
「え?なんで影に戻らないとダメなの?」
ギルドに向かいクエストを受けられるとワクワクしていたクロは、突然のことに疑問を抱く。
「テイマーとして登録してあるけど、実際、このイサキしかいないことになってるはずだから、一旦そのままクエストに向かってまた戻る時にクロをテイマーしたって事で話そうかなって思ってるんだ。」
「あ〜そういうことね。私って人から見たら脅威?らしいし仕方ないね。」
軽いため息と残念がるクロだったが、直ぐに切り替え、「また呼んでね。」と言って影の中に入っていった。
ネクスは準備を終えると、イサキを両手に抱え、ギルドへと向かった。
ギルドに着くと、先にガイがいることを確認する。
レイがまだいないため少し時間を潰すことにした。
「よお!ネクス、レイはまだみたいだな。」
辺りを見回しながら、ギルドに入ってきたネクスに声をかける。
「そういえば、ネクスは都市の外から来たんだろ?なら、知らないこともあると思うし、レイが来るまでの間、簡単に教えてやるよ。」
そう言うと、ネクスの背中を押して、近くにあった机に向かい、対面に腰掛ける。
(ガイって優しいけど、ちょっと強引だなあ。前世でも知人にいたなあ...)
「おーい、ネクスいいか?まず、俺たち冒険者っていうのは.....」
そんなこんなで勉強会のようなものが始まった。
ある程度の知識を持っていると思っていたネクスだったが、教わった内容を照らし合わせ、学べたものが大きかったと感じることがあった。
冒険者のこと、この都市のこと、スキル関係のこと等、
(学べた部分は多かったけど、何よりでかいのはこれだな)
スキルの種類はN→S→Uまで、種族特有のスキルでKスキルがあるというのがネクスの知ってる範囲だった。しかし、ガイからの教えにより、Uの先にLがあるということ、さらに、スキルには細かい分類があり、それぞれ3段階に分かれている。
「お待たせ。」
教え終わったと同時にレイが声をかける。
「昨日は低めの依頼を受けてどんなのか経験してもらったけど、今日は少しレベル上げるからね。」
そうして、クエスト掲示板の元へと3人は向かうのであった。
最後まで見ていただきありがとうございます!
前作から続けて見ていただいてる方、今回初の方、いろんな方に見ていただき嬉しい限りです!
よろしければ評価・ブックマーク等していただけると励みになります。
次回38話もよろしくお願いします!




