36.5話 主のいない日常
ネクスが都市へと向かう中、村では異変があった。
帰りを待つ魔物たちだったが、あることを提案され、皆が頷くとそれを決行する。
信頼するあの方のため、今日も村はわちゃわちゃです。
ネクスたちが都市へと向かって行ったその後、
村にいた魔物たちは、ネクス達が早く帰ってくることばかりを思って生活をしていた。
そんな中、ある村の魔物が代表に対して提案をもちかけていた。
「ねえ、マルドさん。こうしてネクス様の帰りを待つのもいいと思うんですが、どうせならびっくりさせたくないですか?」
スライム代表である“マルド”に提案する者がいた。
擬態を使って人と言われても信じてしまうくらいに化けている。
名をスラニー。
見た目は青年であり、背が高く、髪の毛は短めで色は緑が特徴だ。性格は穏やかだが、ネクスに名付けてもらって以降、ネクスのために様々な考えを巡らせているようだが、その内容はまだ誰にも分からない。
「例えばどんな方法がある?」
質問に対してマルドは深堀りするように聞き返す。
「そうですねー、どうせなら種族問わずみんなでやってみたいことがあって...」
と、その中身についてマルドに伝える。
それを聞いたマルドは、急遽代表同士での会議を開くことにした。
---数十分後
「集まってくれてありがとう。」
「話というのは、ネクス様が戻られる間、私たちで特訓しないか、という提案です。」
代表として集まったゴブリンのソンウ、スライムのマルド、シャドウウルフはクロに代わりウグレ、ホワイトウルフと水狼の代表としてラピスを含めた4人?で行っていた。
「提案は分かりましたが、何を特訓されるのですか?」
片手をそっと挙げて問いかけたのはソンウであった。
他の魔物たちも特訓と聞いて何をするのか、それぞれ分からない状態であった。
「はい。そこで“戦い”の特訓をしてみるのはどうかな?と、以前ネクス様が自身のスキルで解析が出来ると聞きました。なので、強くなって驚かしてやろう!ということで...」
周りを見渡しながら発言するマルドに一同は視線を交わす。
「ん〜いいんじゃないかな!僕は賛成。」
ラピスが声高らかに賛成の色を示す。
「こちらとしても賛成だな。魔王幹部であるエニュートに歯が立たなかった事もセンから聞きましたので、今後強くなってネクス様のお役に立てればと、」
ゴブリン代表のソンウも賛成の意を示した。
そんなこんなで、代表するメンバー全員の合意の元、明日から特訓開始となるのであった。
---次の日
日毎の交代制で特訓する組と村で留守を任される組とで別れる。子どもたちに関しては、特訓という体で、村で遊ぶ流れとなっていた。
大きく開けた平原へと向かう。
そして、大人たちは戦う前の準備を終えた者から、実力が同程度の相手と組み模擬戦を行っていた。
そんな中、ある1匹のもふもふが浮いていた。
「ん〜どうしようかな。僕と似たような実力を持つ相手かあ」
(思いついたのはクロとセンかなあ。だけど、それは1対2なら同じくらい出しなあ)
実力があまり離れていない相手を考えていると、そんな相手が身近にいないことに気付くラピスだった。
「ねえ〜ラピスさ〜ん」
しかし、そんなことを考えているラピスに対して近付く影があった、そののんびりとした声の持ち主に聞き覚えがあったラピスはその方向に視線を送る。
「スム?あ、そっかいつも寝てばかりだからたまには体を動かしなさい!ってセンさんに言われてたね」
センの計らいもあり、寝てばかりいたスムを連れて模擬戦の場所へ連れてこられていた。
「んまあ〜、そうなんだよねえ。」
「実はセンさんは、全体の監督として見回っているらしくてねえ、サボれないんだよお」
あからさまに肩を下ろしガッカリするスムにラピスは「あはは」と返していた。
「でさ〜ラピスさん、良かったら私と模擬戦してみない?」
「え?スムって戦えるの?」
戦いを申し込むスムに対してラピスは大丈夫か心配になっていた。それもそのはず、戦っている姿を見たことがなかったからである。
「大丈夫だよお〜やってみれば分かるさあ」
あくびしながら返答する。そのやる気のなさにはラピスも気がそれそうになる。
「分かったよ。」
そう言って、戦闘態勢に入る。
対するスムはそのまま眠そうな状態のままで構えをしない。
「さて、じゃあお手並み拝見だね。水玉フィールド」
ラピスを中心に水玉が様々なところから丸い形でふわふわ浮き始める。
(さて、僕もネクス様を見て学んだあれをぶっつけ本番でやってみますか)
水玉フィールドで有利になるように立ち回ったラピスは、後に自分に意識を集中させる。
「よし...水の加護」
ラピスの体の周りを青いオーラが囲んでいく。
やがて全身に巡ると、目が青く強い色に変わる。
(できた。けど初めて実践したから、まだ安定しないな)
その姿を見ていたスムはと言うと、相変わらずでじっとラピスの様子を伺っていた。
「水の槍!」
先に動いたのはラピスで大きく大木のような大きさで槍を作り出すと、スムへと飛ばす。
技が直撃したあと、水溜まりが出来ていた。
(スム、大丈夫かな?)
その後の動きがないか見ていたラピスだったが、違和感を感じる。
(スムがいない)
「ふわあ〜凄い威力だねえ、避けないとダメだねえ」
その声を視線で追うと、木の上にスムはいた。
「凄い!だけど、これならどうかな?」
広がる水玉に意識を広げる。
やがて、球状になっていた水玉は瞬時に形を変えて、水の槍となる。それも1つではなく、何本も...
「わあ〜凄いなあ、スムには出来ないなあ、ちょっと本気出さないと避け切るのは難しいかもお」
「いくよ!スム!」
その日、本気に近いラピスの攻撃を避けきるスムであったが、被害が大きく、実践訓練が終わると、戦いよりも片付けに手こずる魔物たちであった。
また別日にも戦っていない魔物たちを中心に訓練が行われることになった。
ある一部の魔物が戦うことでそれは訓練の度が超えたことは言うまでもなかった。
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