35話 初クエスト!声の主?
〇前回のあらすじ
ある目的のために、冒険者となったネクスは、ザックたちと離れて初めてのクエスト受注へと向かう。
そんな中、採掘科であるレイと、新たにガイという青年からの申し出により、3人による即席パーティーを組むのであった。
ガイからの申し出により、パーティーを組んだすぐのこと、ネクスはレイを連れてクエストを受けるため受付まで足を運んでいた。
「ネクスさん、どう思う?」
張り出されていたクエストの紙を受付のミアに渡してから、レイはネクスに問いかけていた。
「どう?って言うと、ガイのことか?」
「うん。私が進めておいてなんだけどさ、なーんか、モヤモヤするんだよね。」
先程パーティーに加入したガイのことで思い悩んでいる様子だった。初対面でパーティーを組みたいと言うからには裏に何か考えがある。そうレイは警戒していた。
「ん〜、簡単に説明すると、ガイさんは立ち回りがサポート特化になると思うんだよね。で、実際戦う味方がいなければランクを上げにくくなる。って感じ」
「それって、どういうこと?」
ガイのことをよく知っているかのような口ぶりに思わず首を傾げる。
「レイ、ここだけの秘密にして欲しいんだけど、強さで相手が格上ではない限り、俺には相手の能力がある程度分かるんだ。」
「そうなの?」
ネクスは、ガイを仲間にしても問題ないと判断した理由をレイに伝えた。
ガイが声をかけてきた段階で解析していたこと。
その内容も一部伝え、それを聞いたレイも渋々納得する。
「なるほどね。だけど、すごいね。解析ができるなんて、採掘家やってる身としては喉から手が出るくらい欲しい」
草木も含めて解析出来ることを聞いたレイはその能力を羨ましがっていた。
ネクスはなんだか、申し訳なさそうに思ってしまう。
「あ、だけど、ギルドマスターであるカルラさんも解析関係のスキル持ってたね。」
「え?もしかして、意外と解析関係のスキルって色んな人持ってるの?」
私には才能がないのか、と思わせるような表情でテンションを下げていた。
「いや、俺は気になった相手にだけ解析しているけど、現状俺の知る範囲では3人だけだな。」
「それに、見れたとしてもどう扱うかまでは分からないし大まかな情報だけしか分からない。だから、採掘家としての情報網はレイがダントツですごいと思う」
軽くフォローを入れたつもりだったが、思いの他褒められたことが嬉しかったレイは、少し照れていた。
「お待たせいたしました。受注承りましたので、お気をつけて行ってきてくださいね。」
受付のミアが戻るとそうネクスたちに伝える。
そうして、ネクス、レイは入口付近で待っていたガイに声をかけてギルドを後にした。
「じゃあ、ガイさん、クエストに向かいがてら簡単に俺達のこと話させてもらうよ。俺はネクス。でこっちにいるのが採掘家のレイだ。」
「ネクスに、レイだな!改めてガイだ!俺は基本サポートに回るから、前衛は任せたぞ。よろしくな」
都市から出る前に簡単な自己紹介をする。
そうして、簡単に話を進めて門へと向かううちに、今回のクエストの話をする。
「受注の内容だけど、今回は2つ。1つ目は一角ウサギを6体。2つ目が癒し草をひと袋分だね。」
受付から、一角ウサギの角を入れる袋と、ペットボトルが数本入るような大きさの袋の2つをレイが見せる。
「分かりやすいなあ、これに一杯入れればいい訳か。」
ガイも袋を見て目標の目処が立ったことを理解する。
そうして門での外へ出る手続きを終え、外へと向かう。
(案外手続きって簡単だな。まさか冒険者のプレートを見せるだけで素通りとはね)
3人分のプレートを見せるだけで、簡単に外出の許可が出たのであった。
そうして目的地へと移動を行う。
「ここからそう遠くないし、周りには数パーティーいるから、何かあっても安心だと思う」
レイが移動している間に所々説明を入れてくれる。
「で、あそこだね。」
指で指し示すその場所に顔を向けると、平原であり、よく見ると、所々に角の生えたウサギがいるのを視認できた。
「へえ、思ったより遠くないんだなあ。ま、これはこれでありがたい。」
ガイがそう話しかける。
それと同時にネクスは周りを見渡していた。
(確かに、レイの言う通り、俺たち含めてこの広い平原にパーティーが3ついるな)
「で、あれが一角ウサギか。」
周りを見て情報を掻き集めるネクスだったが、ふと思い出す。
「そういえば、癒し草だっけ?採取しないとダメなんだよな?それってどれの事だ?」
一角ウサギがいるのはわかったが、癒し草がどこにあるか分からないネクスは長い道のりになるかもと考えていた。
「あ、それなら、一角ウサギが癒し草を主食として好んでいるので、周りにあると思いますよ?」
そう言われ、目をこらすと、確かに小さめの葉が見えなくも無い距離にあった。
(なるほど、アレか、距離が遠すぎて解析の範囲外で分からなかったな)
そうして、討伐するものと採取するものが明確に分かったため、ネクスたちは3人で1つずつこなしていくことにする。
話し合った結果、それぞれ別れてやるという案もあったが、もしもの時のため固まって動くこととなる。
「さて、じゃあ一角ウサギからやりますか」
ネクスは初クエストということもあり、張り切っていた。
日頃の研究をする時と同じくらいに...
「じゃあ早速始めますか」
そう言うと、ネクスは唱える。
「風の戯れ(ウィンドモア)」
風の鎧を纏うと、腰かけている剣に手を伸ばし、構える。
剣に風を纏わせて圧縮させていく。
ぼんやりと白い光が目に見えるくらいに風が圧縮されるのが、レイとガイには見えていた。
圧縮し終えたと判断したネクスは、その剣を一振りする。
纏っていた風は白い光の様な形で飛ぶ斬撃のように静かに一角ウサギへと飛んでいく。
しかし、一角ウサギへと飛んでいったその斬撃は、避けられてしまっていた。
「あれ?なんで当たらなかったんだ?」
飛ぶ斬撃は近寄らずに当てて倒すだけなら問題ないと踏んでいた。音もなく飛んでいったはずなのに避けられたことに不思議に感じる。
すると、ガイが口を開いた。
「一角ウサギはその角で周りの僅かな変化に察知する上、人より少し目がいい。そこに野生の勘も相まって避けられたんだと思うぞ?」
目がいい所や、野生の勘など、事前に知らなかった情報にありがたいと感じるネクスは、「ありがとう」と一言伝え、少し模索する。
「俺の前のパーティーでも一角ウサギの討伐をしたが、なんせ動きが早い。さらに目がいいと来た。見てから避けるだろうし、魔法や魔術なんかだと避けられるだろうな」
顎に手を当てて、ガイも過去の経験を元にどうするか、考えていた。
「...あっ」
そんな中、ネクスは思いつき手をポンと叩く。
「ちょっと試してみる。」
すると、ウィンドモアを再度発動させ、剣に圧縮させていく。
「ん?さっきと同じ方法で遠くから狙ってもまた避けられるだけだぜ?」
ガイがその様子を目にして言葉にする。
しかし、先程とは異なり、明らかに変わっている点が2つあった。
圧縮している所が剣全体から、剣先のみに変わっている。
圧縮量が調整され、光がほとんどない無色透明になった。
これらを目にしたガイとレイはネクスの思いつきに感心していた。
そして、今だと思ったネクスは剣を今度はゆっくりと縦ではなく横に一振りする。
目には見えない極細の線が一角ウサギへと向かっていく。
色も背景と同化しており、放ったネクスさえも見失ってしまうレベルであった。
「キュっ!!」
遠くから小さな悲鳴が複数聞こえ、命中したのが分かった。
すぐに駆け寄ると、一角ウサギが4匹倒れていた。
「よし!上手くいった!」
「え?どうやったんだよネクス!凄いなあ」
後にどうやったのかを細かく聞かれたが、ネクスは簡単に見えなければ大丈夫。背景に溶け込むように調整したことを伝えた。
同じ要領で行い、一角ウサギはすぐに終えた。
癒し草に関しては採掘家であるレイに見分け方や質のいいものを選びぬいて袋に入れていく。
「ふう、とりあえずこんだけありゃ十分だろ!」
ガイが、汗を拭って声をかける。
「そうですね。」
初対面は苦手なのか、初対面のときのネクスと同じような反応をレイは見せる。
すると、遠くの方で微かに音が聞こえる。
ある程度2人から離れた場所で採取していたネクスは聞き取っていた。
「なんの声だ?なんか苦しんでいるような気がする。」
そうして近寄っていくと、一角ウサギだった。
しかし、その姿は3人で討伐していたものとは異なり、白ではなく、薄紫で、横たわっていた。
(所々傷ついてるな、縄張り争いとかで怪我を負ったのか)
一角ウサギは既に討伐数に達していることもあり、助けることにするネクスであった。
最後まで見ていただきありがとうございます!
前作から続けて見ていただいてる方、今回初の方、いろんな方に見ていただき嬉しい限りです!
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