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33話 取引と冒険者

〇前回のあらすじ

ネクスたち一行は、無事に中立都市に着くことが出来た。

その後、都市内を見て周り、ギルドへと足を運ぶこととなる。

不思議と目につく本を手に取り読んでいく中、

ギルドマスターと名乗る女性カルラと会うことになり、話し合いの場を設けることとなった。

一瞬の沈黙の後、カルラから声をかける。


「解析?なんの事を言ってるのかな?」


握った手を離して、解析自体知らないような様子でネクスに話しかける。それでも、ネクスは詰めることにする。


「手を握った時、解析しましたよね?俺のスキルで無効化しましたが...ただそうせざる得ないのは確かだと思う。初対面なんだから、警戒するのは当然だし。」


カルラから目を離さずに、話を続ける。

相手の気持ちにも寄り添い、何故自分を試したのか、その事情を聞くために。


「はあ、本当に子どもなのか?10歳にしては身長高めだし、思考や感情が大人と駆け引きしてる時と変わらない」


見た目とは裏腹に、ネクスのその落ち着いた分析力と判断力に驚かされつつ、諦めた、という意味でもため息をつく。


「そうだね。確かに解析を使った...理由はネクス君。君を試そうと思ったからだね。」


「なにより、異種族の魔物たちを束ねているともザックたちから聞いている。そういうのも込で解析させてもらった。」


両手をぷらぷら揺らし、ダメだったと体で表現しながら続ける。

「結果は君の言う通り無効化されて、何一つ分からなかったけどね」


さて、と声をかけ、ネクスに改めて謝罪をするカルラであったが、そもそもギルドマスターであるカルラ自身がネクスに話をもちかけた経緯を聞くこととなった。


人目に付くということもあって、いくつかある個室の内の1つを借りてその場には、カルラ、ネクス、ザック、レイの4人が揃う。


そうして、ネクスは皆が座ったのを確認して、口を開く。

「ギルドマスターである貴方が直接来るくらいだから、誠意を込めている。そう受け取って貰うための流れだと言うのは把握してる。」


「俺には相手の嘘を見破るスキルがある。だから、嘘偽りなく話してくれると助かる。」


エニュート戦後に獲得したRスキル(見通し)を管理スキルでフル活用することで、相手の言葉や表情、息遣いなどで嘘か本当かを見破れるようになっていた。

(まあ、100見破れる訳じゃないけど、限りなく嘘に近いと判断できるだけなんだけどね)


「分かった。真実を話すよ。」

その事を聞いてもなお、即答で事情を離そうとする。

ネクスがそんなカルラの姿を見て、嘘をつくつもりは元から無いのでは?と、直感で感じていた。


「まず、ザックたちが以前、クエストから戻ってきた際に、受付からの報告で私に伝わってきてね。そこからネクス君たち村の魔物たちのことを把握した。」


「だが、流石に人間と魔物では、“共存出来ない”と、受付も怪しみながら、私に報告してきたものでね。そんな中、都市へ行ってみたいと、次の機会には会えることが分かった」


「そこで、今回、私自ら会いに来た。というのが流れだね」


これまでの経緯を詳しく、短めに話をする。

要は、ネクスという存在が信じられないため、その目で確認しにきた。というのを話を聴きながらもネクスが受け取った答えであった。


「で?俺に会ってみてどうだった?信じられないって、今も思ってるってことかな?」


率直に聞く。ネクス自身は嘘か誠かなど、正直どうでもよかった。本題は、もっと別の何かだと感じていたから。


「うん。ちょっと興味が出てきたかな。」


手の上に顎を乗せて、そんなことを呟く。


「正直、俺が魔物の村を束ねているかどうかじゃなくて、本題を聞こうか。」


長い話を聞いてるほど、ネクスには時間の余裕は無かった。理由は単純、都市でやることが多かったからであった。


「すまない、では!、本題だ。」


「率直に言わせてもらおう、ネクス君、冒険者にならないか?」


「・・・はい?」


まさかの発言に思わず、声が出てしまう。

(え?なんか、要求されるとか、デメリットでしかないものを押し付けられるとか、面倒事だと思ってたのに、なぜに冒険者なんだ!?)


内心驚きながらも、表は冷静でいようと、表情を変えずに返答する。


「なぜ、冒険者に誘ってくるだ?メリットがお互いないと思うけど?」


そんな質問に対して、またしても即答で返事が返ってくる。


「ネクス君、君さ、この都市のこと、知りたいんじゃない?」

(あれ?見抜かれてるな)


薄々、都市へ来た理由の1つが、ばれてるのではないか?と感じていた。

ザックたちから事情を聞いている。なら、事情も何となく察しているだろうと思っていた。


「冒険者になれば、その活動を経験出来るし、お金も稼げる。そうなると、都市内でのやりくりなども自分の目で確認できるでしょ?」


ごもっともな意見を並べられてしまい、その通りだと感じてしまう。だが、そうなってくると、カルラ側のメリットが無い。そのため、聞くことにした。


「俺に対するメリットは分かった。だけど、カルラさん側のメリットは無いのに、なぜ冒険者を進めるんだ?」


「私たちのメリットは、君がクエストを受けて達成することに意味がある。そう答えておく。詳しい話は追々させてもらう事にするよ。」


理由をはぐらかされてしまい、不完全燃焼じみた感じになってしまった。しかし、ネクスはまた直感ではあるが、今の“タイミング”では聞くのは避けた方がいい。そう判断した。


「さて、ネクス君、君はまだここに来て間もない。とりあえず、冒険者になって不都合ということはないと思う。改めてどうかな?」


再度冒険者として活動することに誘われる。事情が事情ということもあり、受けることにした。


そうして、話が終わり、個室から出てくるネクスたちを見て、シルアとセキが駆け寄る。


「大丈夫だった?なにか変なことされてない?」


「おいおい、私をなんだと思ってるんだ。」

シルアの言葉にカルラはツッコミをいれる。


「とりあえず、今からネクスの冒険者登録をする。私の勘だが、1つまずいことになる可能性がある。だから、私も付き添いで登録に向かう。ザックたちも来てくれ。」


そして、受付まで足を運ぶ。

すると、服を整えカウンターに座る、女性が見えた。


「いらっしゃいませ。本日の受付を担当いたします。ミアと申します。カルラ様から話は伺っております。冒険者登録ですね。早速ですが、この紙に必要事項の記入をお願いいたします。」


スっと出された紙とペンを渡される。

それに記入を始める。

(しかし、なんでだろう、本を読んだ時もそうだけど、何故“日本語”として、読み書きできるんだろうか。)


書かれている内容、聞く言葉、全てが日本語として理解できている。その現象は気になるものの、これも、異世界なら有り得ることなんだろうと無理やり飲み込むこととする。


記入を終え、受付の女性に紙を渡す。


「えーっと、ネクス様、年齢が10歳、、、」


記入した内容を読みながら漏れや誤字がないか確認をする。そうして、1分も経たないうちに、読み終え、次にと話を進める。


そうして、何かを持ってくる。


「それでは、ネクス様、こちらの石に触れてみてください、すると、その者の魔力の強さによって輝きが変化します。それを元に冒険者カードをお作りしますので」


青白い大きめの石を用意され、目の前に置かれる。指示された通りに手を置いてみる。

すると、


激しい輝きを放つ、色は白と黒の光が交差するように放たれる。それは、眩しくないのに、強い光だと視認できるほどであった。


「やっぱり、こうなるよね。」


そうして、聞き取れない口調で何かを唱えると、5秒ほど輝いていたその光はピタッと無くなる。


「い、今のは一体...」

受付のミアは、今までに見た事がないと言いながらも、この方は、といいたげな表情でいた。


そして、何かを唱えていたカルラは口を挟む。


「ミアさん、悪いのだけど、今のは見なかったことにして欲しい。あと、ネクス君の冒険者ランクは本来Fランクからだけど、権限でDランクからスタートさせるいいね?」


そう言って、話を進める。

(恐らくだけど、さっき唱えたのは、視認阻害系かな。石から出てた光を相殺して消したんだ)


ネクスは、カルラが言っていたまずいことが起こるの1つがこれの事だと悟っていた。


そのまま冒険者登録を終え、名前とランクの記載されたプレートを貰うこととなる。


「へえ、Dランクからなんだ。今の光からして、そんな、低ランクはありえないけどなあ...」

(見た目は子どもだけど、使えそうね)


その様子をたまたま遠くから見ていた者がそう呟くのであった。

最後まで見ていただきありがとうございます!

前作から続けて見ていただいてる方、今回初の方、いろんな方に見ていただき嬉しい限りです!


よろしければ評価・ブックマーク等していただけると励みになります。

次回34話もよろしくお願いします!

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