3話 復讐者と願い
⚪︎前回のあらすじ
魔物の襲撃で村は滅び、主人公は自分の無力さを突きつけられる。
それでも、少年と“俺”の願いを背負い、物語は次の段階へと進み始める。
「よし、必要なものは集めていかないとな〜」
俺は準備をしていた。
ーーー少し前
「俺は、少年の存在を引き継いだんだよな。」
約1週間、意識だけだった俺はその期間、少年とずっと一緒だった。相方のような存在。
その存在はもぅいない。
「このこと、絶対に無駄にはしないからな。」
軽く拳を握る。
決意を改めた俺はまず少年から引き継いだ記憶を辿った。
この世界のことは全く知らない状態。
情報収集に関しては少年の記憶頼りになっていた。
俺は目を閉じて少年の記憶を探る。
……
……
「なるほどな。」
ある程度把握した俺は情報を整理していた。
スキル、これは内容によって区別されている。
N→R→S→U
矢印に行けばいくほど強くて汎用性の良いスキルということらしい。
「少年の記憶だと、俺のスキルは“R”らしい。
Nの上で、まだ上がある……ってことか。」
スキル間の差はかなり大きいみたいだ。
例えば、N5つ分=R1つに匹敵する。
ただスキルの内容によって数字は上下する。
「あのシステムみたいな声で進化って言ってたな。記憶を探ったけど、スキルが進化する類のこと何も分からなかった。」
「もしかしたら、まだ知らないだけかもしれない。進化するための“条件”があるのかもしれない。」
少年の体になる直前、NスキルからRスキルに進化した。という言葉を聞き、思い出していた。
この世界は人以外にも様々な種族が存在する。
森や山などには基本、ゴブリンやスライム、オークと言った魔物は存在する。
知性を持つ魔物は村を作っていることもある。
そして何より気がかりなのが、
スキルが“魔物化”するということだった。
生物がこの世を去った時スキルだけが取り残される。
すると、主人だった肉体を糧にして魔物へと変貌する。
特徴として普通の魔物よりも強い。
スキルが常時発動している。
そして、“自我が無い”ため、意思疎通が難しい。
これからそんな魔物と愛対すると思うと、怖い、、、
手は震えていた。
怖くても誰かが止めないといけない。
「・・・ん?」
恐怖の中、気になるところを思い出していた。
「あの魔物、自我を持ってるようには見えなかった。ただ目の前にいる敵を倒す。物を壊す。をしているだけだったよな。」
襲撃した魔物の姿を目の当たりにした時、感じとったことだった。
「あれがもし、俺みたいにスキルにも意思があった、けどそれとは別に暴れているのだとしたら?」
村の人たちや少年に手を差し伸べられなかった。
そして何もできなかった。
だが、それでもーーー
「仮にスキルの意思が戻ればなんとかなるんじゃないか?」
自身の境遇も踏まえた上で考えた結果だった。
「うん。なんとかなるかもしれない。」
そう思ったのは、スキル進化の際に加わった機能を俺なりに解釈し、その通り上手くいけば、、と思ったから。
確信は無かった。
だが、あの魔物には村を壊滅された恨みもある。
何より少年を手にかけた。今でも怒りが込み上げる。
それでも、対話が可能になれば分かり合えるかもしれない。
少年の願いは倒すことじゃなく、守ることだったはずだ。
頭の中では葛藤していた。
正直、争いたくない。
それが俺の本音だ。
だが、村を壊した元凶を放っておくわけにもいかない。
誰かが止めなければ、また同じことが起こる。
スキルが魔物になる時、自我を失うという。
なら――
俺は結論を出した。
ーーーそして今に戻る。
「今更だけどスキルの使い方、分かってなかったな。どうしたらいいんだろうか?」
色々模索をしていた。
「本気で向き合うには、まず止めるしかない」
そのためにも、今の俺の現状の知恵や技術では勝つことはできないし、動きを止めることすらできない。
なら、打破するためにもスキルは必要不可欠だった。
「試すか」
目の前の木剣をまず出し入れしてみようと試みてみる。
「ん〜、こういう時、なんていうんだろう、よし、」
気合を入れて呼びかける。
「アイテムボックス!」
・・・
「あれ?おかしいな、何も起きないぞ?」
ピクリともしない木剣を前に唖然としていた。
「収集!回収!、、、、何も起きないな。」
「どうしようか、開始早々行き詰まったぞ?」
現在、俺はスキルの使い方が分からず悩ませていた。
「あ、そういえば少年が物を消したり出したりしてたな。あれを思い出せばなんとかなるかも?」
あの時の少年の動きと思考を思い出してやってみる。
手を前に出し、意識を集中させる。
すると、目の前にあった木剣は消えた。
「よし!うまくいったぞ!」
その流れで出す際も意識を集中させることで出すことができた。
「よし、これで理屈は大体分かった。これでここにある必要なもの全部持つことができたな。」
予め使えそうなものは集め終えていたため、全部スキルで回収した。
「他の機能については、練習とか実験することができなかったから本番一発勝負にはなりそうだな。」
「俺の前世での知識とかも活かしながら戦うしかないな」
前世の知識を参考に、魔物が進んだであろう凹凸のある道や木々に落とし穴やロープ等を使った罠を巡らせていく。
元々大人だったのもあり子どもの体に慣れてはいなかった。
罠を張っていく際にも細かい作業が難しいと感じていた。
「父親から稽古をつけてもらっていたし、ある程度は動けると思っていた。まだ、体では思うように力が入らない。」
この状態で魔物と愛対すると思うと、足がすくむ。
異世界に来て日が浅い上に、大人より大きい犬型の魔物を初めて相手にしないといけない。
罠を作っている中、現実に向き合い、恐怖する。
手は震えていた。
怖くても誰かが止めないといけない。
そして、今止められる存在。つまり俺だということ。
「正直、俺であの魔物の相手になるのかな。」
魔物のもとへ向かう時間も迫ってくる中、怖気ついていた。
吠えた時の威圧感。
人とは比べものにならない存在感。
睨まれた時の鋭い眼光。
この世は弱肉強食
「嫌なこと思い浮かべちゃったな」
俺は気持ちや緊張をほぐすために両の頬を思いっきり叩く。
頬が痛い。ヒリヒリする。
手もジンジンと反動がくる。
だが、気合いは入った。
「そうだ!ビビってたら何も始まらない。」
「俺はあの魔物を倒すんじゃない。スキルの意識の確認、そして希望があるかもしれない。だから行くんだ。」
その奥に、まだ残っているものがあるなら、
俺はそれを確かめたい。
罠の設置を終えて、スキルの扱いにも慣れた。
復讐者としての熱も宿し、森へ向かう。
同時に、願いを聞く者として。
「もし、苦しんでいる人がいるのなら、次こそ手を差し伸べて掴むんだ。」
「村の人々や少年は助けられなかった。けど、今の俺なら、できるはずだ。」
だから俺は進む。
あの魔物のもとへ。
最後まで見ていただきありがとうございます!
前作から続けて見ていただいてる方、今回初の方、いろんな方に見ていただき嬉しい限りです!
前回、少しストックに余裕が出てきたので、、とお伝えした通りなのですが、予定としては6話くらいが今月に出せるかも?と思われます!
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次回4話もよろしくお願いします!




