30話 約束、会議そして、、、
〇前回のあらすじ
双星の魔王が帰った後、
ネクスに会いに来る人型の姿があった。
それは、以前、出会った冒険者であり、約束を果たしに来たことを話す。
ネクスはそのことを聞き、経験とある目的のために行動するのであった。
---次の日の朝、ソンウの家にて
「で?どうするんですか?ネクス様は、あの冒険者方が約束を果たしに来られた以上、決められるのはネクス様自身ですよ。」
ネクスは、簡易的な会議を設け、都市へと向かうその約束、目的について、ゴブリン村長であるソンウに相談を持ちかけていた。
「俺は行ってみたいと思っている。目的は色々あるけど、一番の理由は、人材不足の補充と、俺自身の経験値のためだな。」
この場にはソンウとネクスの2人しかおらず、2人の声だけが響く。そんな中、互いの言葉にしっかり耳を傾けて、互いの意見を交わしていた。
「ネクス様にはネクス様なりの考えと、目的があるようですね。そこは理解しました。」
「で、肝心なところをお話しましょうか。」
コホンと咳払いをして、ソンウは話し続ける。
「誰を連れていきますか?」
肝心なことと聞いていたネクスにとって、元々一人で都市へ向かう予定だったこともあり、意表をつかれる。
(誰かと同伴かあ、俺一人で行こうと思ってたんだけどなあ。でもソンウ側の気持ちになると、誰かを向かわせるのも分からないでもないな)
「...分かった。誰か連れていくことにする。」
そうして、ソンウとの会議は終え、ネクスは連れていくメンバーを絞るのであった。
---数時間後、
「ってことで、ザック、悪いんだけど、同伴として一緒に向かうことになった。」
そう言って、連れてきた魔物をネクスは紹介する。
「前に会ったよね!クロだよ!よろしく!」
「あ、あぁ、よろしく頼む。」
(このクロって確か、Bランク上位、確かに会ったことあるが、久しぶりだからか、つい構えそうになるな)
ザックは一緒に連れていく魔物がクロだと知り、魔物の脅威度について思い出していた。
「クロさんって、子どもっぽくて可愛いですよね」
シルアがクロの自己紹介を聞いてすぐにそんなことを話す。
「え?子どもっぽい?」
そんなシルアの言葉にクロが反応し、聞き返す。
「純粋っぽいところとか、話し方とか、子どもっぽくて可愛らしいって意味ね!気に触ったらごめんね」
クロのそんな言葉と疑問の表情を浮かべた様子を見たシルアはすぐに謝罪をするが、それに被せるようにクロも続ける。
「子どもっぽいと、いうか、なんて言うか、私、こう見えてまだ子どもなんだよね...」
「え?」
一同、全員が同じ言葉を吐く。
なにせ、クロの大きさは、ネクスと同じくらいか、少し大きい図体をしている。大型犬の2倍くらいありそうな大きさであった。
(クロ、お前、子どもだったんだ、てっきり大人だと思ってた)
なお、驚いたのはネクスもであった。
なんやかんやあったものの、村のみんなから「気をつけて」や「行ってらっしゃい」など、声をかけられながら、都市へと向かうネクスたちであった。
村を出て数分後、探究家と名乗ったフードの男、セキがネクスに声をかけていた。
「所でネクスさん、村のリーダーである貴方が同行に誰かを連れていくのは分かるのですが、なぜクロさんなんですか?」
セキは同行にクロを選んだ理由を聞いていた。
「ん〜理由は2つで、1つは、ザックたちに1度会っているから。もう1つが、そうだな、見てもらった方が早いな。」
そう理由を説明しているうちに、ネクスはクロに合図を出す。すると、クロは近くにあった影の中に入っていく。
「あ、そういうことですね。シャドウウルフという種族は影を利用した技が得意と見たことがあります。」
セキが納得したところに、また質問を被せてくる。
「私からも質問」
軽く胸の前まで手を挙げてレイが挙手していた。
普段から物静かで人見知りという情報を聞いた割に質問を進んでする事にザックとシルアは少し驚いていた。
「ネクスさん、魔法か魔術、使える?」
じっと見る目には何かを探ろうとしているようにも思えたネクスだったが、あくまでも信用できるか否か判断しようとしている。そう考えていた。
しかし、それと同時にネクスは悩んでいた。
(魔法と魔術って、同じ意味なんじゃないのか?)
答えようにも答えにくい質問に対して、頭を抱えていた。
そこで、ネクスは素に戻ることにする。
「ごめん。魔法と魔術の違いがよく分からなくてさ、教えてくれないか?」
レイに謝罪しつつ、教えを乞う。
その様子が予想外だったのか、レイは少し目を見開き驚いていた。
(ザックさんたちが、利用されてるだけだと思ってた。魔物のリーダーだから、何かあってもいいように対策した。けど、)
やがて、レイは少し笑みを浮かべた後、直ぐにいつもの表情に戻ると、魔法と魔術についての違いをネクスに教えることとなった。
「魔法は、外から力を蓄えて行使する方法。魔術は自身の単純な魔力だけを行使する方法。」
「本来、どちらも行使するには特訓と研究、極めるには長い時間を有する故、難しいとされてる。」
(なるほど、自分の力を使うか、外から吸収して使うかってことか)
レイが話しをしている間、少し空気が和らぐのを感じていた。それに加え、話し方も少し長くなり、彼女自身も自分を頼ってくれていることが嬉しそうに、シルアは感じていた。
「あと、最後、」
ここから少しややこしいけど重要。とだけ、伝えて、魔法と魔術についての説明を最後に伝えようとする。
「魔法と魔術、それぞれ“同時に”行使すると、相乗効果で効力が増す。だけど、誤った行使をしてしまうと自爆する。私の知る限り、それが出来るのは都市でも数人。」
かなり分かりやすく説明してくれるレイに感謝しながらも、魔法と魔術について、学ぶべきところがかなりあると話を聞いていてネクスは思った。
「おい、話は一旦終わりだ、デケーのが来るぜ!」
ザックが全体に声をかける。
そうして出てきたのは、2体の熊のような魔物であった。
ガサガサと音を立てて出てきた熊のような見た目の魔物は、周りにある木々に引っ掻きキズを作りながら、ネクスたち目掛け距離を縮めていく。
「ザック、どうする?珍しくないとはいえ、Dランク中位の魔物相手だけど、」
シルアがザックに伝えると、「ん〜」と少し考えネクスに話しかける。
「よし、ネクス!ここは、お互いの実力を知るいい機会だ。片方は俺たちがやるから、片方任せたぞ!」
そう言うと、ザック、シルア、セキ、レイの4人は構え迎え撃つように熊の魔物に先制攻撃を入れに行く。
(なるほどな、お互いの実力を図るにはちょうどいいってことか、じゃ!)
「クロ!久しぶりに2人でやるぞ!」
クロを呼びかけると、木の影からクロが出てきて、「任せて!」と返事をする。
大男であるはずのザックより図体は大きく、鋭い爪を見る。
(やっぱ、異世界だなあ。あんな鋭い爪つけた熊なんて見たことないし、俺の知ってる熊よりデカイな。)
思わず、考え込んでしまうネクスだった。しかし、
「クロ。あいつらに比べたら、全然脅威に思えないよな!」
「ん〜そうだね。天と地の差があるからか、大きいけど、怖いって思えないね。」
クロとネクスは1度出会っている“魔王”という存在を、その圧倒的なAOの量。長年培われた知識に佇まい。それらを比べてしまい、大したことない相手だと判断していた。
「クロ、俺さ、思いついた事があるんだけど、俺に向けてクロの得意な技、なんでもいいから打ってくれ。」
魔術と魔法を同時発動させることで相乗効果を生むことを覚えていたネクスは、思いつき、クロに提案していた。
「何するのか分からないけど、打てばいいんだね!」
そう言うと、クロの足元から、黒くて丸いものが複数現れたかと思うとそれは一定の高さで漂い、圧縮していく。
「いくよ!ネクス様!黒い星 (ダークスター)」
技を言うと、複数あった黒い球状の物は勢いよくネクスに向けて放たれる。
(よし、実験開始だな)
ネクスは軽く笑みを浮かべていた。
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