28話 実は人気者?
⚪︎前回のあらすじ
無事?に魔王とのゲームへ決着をつけたネクス。
しかし、その直後、魔王ポルとカルを村へ迎えることになってしまう。
一難去ってまた一難。
ネクスたちの緊張は、まだ解けていなかった。
「楽しみだな〜楽しみだな〜、ネクスよ!色んな魔物たちがいるのは本当なのだろうな!」
ウキウキで村へと着いてくる魔王ポルは、以前見かけた情報を元に、他種族が共存する村に対して強く興味を持っていた。
「う〜ん。そうだな。ゴブリンにスライムといった種族がほとんどだけど、色んな魔物がいるのは間違いないかなぁ」
ネクスは分析をしていた。
双星と言われる兄妹魔王である、兄カルと妹ポルについて。
特に重要なのは仲間に危害を与えるのか、味方側として見ていいのか、頭をフル回転させていた。
(ポルは見た目通り、純粋で表情が出やすいタイプ。子どもだなって感じだな...ただ、カルが分からない。少し話しただけでも、計算高い、見た目に反して回転が早いって感じだな。)
村へと向かう間、ポルとカルとの関わりを進行形で、考える。ポルは見たまんまの性格でわかりやすい反面、カルについては、難しいと感じている。
「先に言っておくと、僕たちは君たちの敵じゃない。あくまでも中立な立場だから安心して欲しい。」
そんな考えをしていると、着いてきていたカルが隣に来て、話しかける。ネクスの考えを見通すような言葉にネクスは内面驚いていた。
「中立であると助かるな。今はとりあえず、敵じゃないだけありがたい。」
警戒していることを悟られないように、継続する。
「まぁ、急に信じて。って言う方が難しいと思う。だけど、ポルはあんなだろ?で、僕はポルに足りない頭脳担当みたいなものでね。ネクス君の感じている苦労や未知の相手に警戒するのは共感もてるんだ。」
その言葉を聞き、ネクスは少し警戒を緩める。
(こいつらは俺の知ってる魔王とは違うし、1度信用してもいい気がする。人間相手にしている訳じゃないし、今後仲良くしてメリットはあると思うしな。)
魔王像や前世での経験を思い出し、警戒していたネクスだったが、この世界に来て学んだことを第1に、考えを改めることにする。
「あ、そうだ、言い忘れてたんだけど、そのAOもっと抑えられる?村の魔物たちがそんな圧を受けてしまうと混乱を招いてしまう。」
「分かった。抑えることにする。お〜い、ポル?お前もAO抑えろよ。」
「なんでだー?隠さない方が強そうに見えるではないか!」
「村の魔物たちが怖がるからだ。これを守れないなら、先に帰って留守番でもするか?」
「え?それは困るのだ!守るのだ!」
村の魔物たちのために、頼み事をするが、それをすんなりと受け入れるカルの姿を見たり、ポルとのやり取りをずっと見ていると、本当に魔王なのか疑ってしまう。
そうしているうちに、村に到着する。
「さぁ、ここが俺たちの村だ。」
村に着くと、ポルが前に出る。
「お前たち!双星の魔王ポルがやってきたぞ!ありがたく思うがいい!」
腰に手を当て、ドヤ顔を披露する。
そんな様子にセンやクロ、その他の魔物たちに俺を含め、連れてきた連中は顔を引つる。
隣ではカルが、手を額に当てて、あちゃ〜、といった様子で困り果てていた。
その声につられて、近くにいたゴブリンの村長、ソンウが出てくる。
「ネクス様、ご無事で何よりです。所で先の声はなんですかな?“魔王”と聞こえたような気がしましたが」
と話を進めていくソンウに、近付く姿があった。
「私のことだぞ?」
ソンウの肩をツンツンと触れた後、魔王と名乗った張本人が話しかける。
その声の方向に振り返ったソンウは、顔をしかめていく。
「ネクス様...もしやこの方は、双星の魔王のポル様、それに、その隣にいるのはカル様では、」
驚きながらガクガクと体を動かしてネクスに確認をとる。
「あぁ、そうだよ。他種族で暮らすこの村に興味があるとかで、この村に、え〜と、遊びに?来たらしい、よ?」
どう伝えるか迷った挙句、とんでも人物を連れてきてしまったことに対して、目を泳がせる。
「まさかネクス様、この方たちと、知り合いなのですか?」
「知り合いだね。ついさっき知り合って、仲良くさせてもらっている。大事な客人だから無礼の無いように頼むよ。」
その事を伝えると、村長は今までに見た事のないような反応を見せる。
「本当ですか!!いやぁ、双星の魔王お二人と仲良くしていただいてるなら、この村も安泰ですな!」
(なんか、すごく喜んでるぞ)
魔王は恐れられる存在であり、魔物たちからすると、パワハラじみた存在だと思っていたネクスは、その反応を見て、全くの真逆の反応に驚きを隠せないでいた。
そんなやり取りをしているうちに、他の魔物たちも集まってくる。そこには、ソンウの掛け声もあり、
「あれは魔王ポル様!?本物!?」
「あの方はカル様では?やったー!」
と言った、歓迎の声がほとんどだった。
すると、センが思い出したかのようにネクスに伝える。
「思い出したんですが、双星の魔王は、均衡を守る統率者として動いているらしいですね」
「また、双星の魔王は、性格も温厚で、他の魔王たちと違って無意味な争いを好みません。差別もしないため、一部の魔物たちから尊敬され、中には崇める者までいるそうです。」
「え?魔王ってそんな平和的象徴なのか、」
(魔王って、世界を我がものに〜、って感じじゃなかったか?ゲームや本の中だと、そんな感じなんだけどなぁ)
そうこう話しているうちに、周囲の魔物たちは双星の魔王の噂を聞きつけ、村の魔物たちが集まっていた。
「ふっふっふ〜、この私が、双星の魔王である、魔王ポルなのだ!皆の者!よろしく頼むのだ!!」
魔物たちがポルを見て、尊敬の眼差しを向けている。
「あ〜悪いね。僕たちのことを悪く思う者がいるのは分かるんだけど、均衡を保っている関係上、逆に、尊敬してくれることもあるんだよね。」
ネクスにごめんね。と手で表現する。
この場を落ち着かせるのに、数十分かかっていた。
ネクスは思った。
(魔王って、恐れられるから魔王じゃないんだな。人気者として存在する魔王もいるってことは分かるけど、まさか、ここまでとはね)
ネクスの中の常識が覆される。そんな場面を目撃し、納得せざるを得ないと分からせられた。
こうして、魔王が来た村は、いつもより賑わうこととなり、夜には歓迎会をするように、滅多に取れない食材などを使った宴のようなものを開催することとなった。
「お〜どうだ?ネクスよ!楽しんでいるか?」
片手に骨付き肉を持ち、ポルは近寄ってくる。
「え?あぁ、うん。楽しんでるさ。今までにないくらい盛り上がってるしね。」
「あはは」と言いながらも手で楽しんでることを表現しつつ、返事をする。
その姿を見たポルは「そうかそうか!」と言って、中央の広場に戻って行った。
「重ね重ね申し訳ない。」
ゆっくり歩みより、カルがネクスに声をかける。
飲み物を手に、もう片方には串に指した肉を持っていた。
「ポルは昔からわがままでね。1度言ったら聞かないんだ。止められなかった僕にも責任はあるけど、もしかしたら、今後もまた、お邪魔するかもしれないけど、その時はよろしく頼むよ。」
さらっとまた来ることを残してその場をカルは軽く手を振ると、その場を後にした。
(いや、なんでまた来ること前提で去るんですか、カルさん、君は俺の味方だと思ってたのに)
手助けをしてくれたと思っていたカルがまた来るという遠回しの宣言を聞き逃さなかったネクスは、心の中で裏切り者め!と叫んでいた。
ある者は、食事に夢中になり、
また、ある者は話に花咲かせたり、
宴は夜遅くまで盛り上がり、
皆がその場で倒れるように寝てしまい、
一日を終えた。
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