26話 双星!
⚪︎前回のあらすじ
ある程度仲間たちの実力を把握するため、模擬試合を行うネクスたちだった。
その中でもラピスの力に面々が驚かされていた。
後日に模擬戦の続きを行おうとしたその日、魔王ポルが突如姿を現す。
仲間たちは危険を承知で戦いを挑む中、ネクスにはある作戦を実行するため、ポルに提案するのであった。
ーーー水玉の中
ラピスにシャボン玉のようなものに入れられ、飛ばされたネクスは、突如現れた魔王ポルに対し、作戦を考えていた。
「ん〜、どうするか、解析鑑定だと、手を抜いて俺の10倍以上の力を持ってるんだよなぁ、正直勝てる可能性は0に近いだろうな。」
水玉の中であぐらをかき、腕を組んで悩む中、あることを思いつく。
(いや、待てよ、圧倒的な力があったのに、ポルっていう魔王は戦いで応じようとしなかったな。どちらかと言うと何か用があって来た感じだったな。)
「ふぅ〜.....よし、とりあえず、やってみるしかないか!」
ある作戦を思いついたネクスは、水玉から一瞬にして、魔王ポルの元へワープをするのであった。
---魔王ポルのいる現地へ
「ネクス様!なぜ戻ってきたんですか!」
シャドウウルフの1匹、ウグレがネクスの姿を見た時、直ぐに声をかける。
「早かったね〜、ネクス様、何か考えてくれるだろうと思ってちょっとだけ時間稼ぎをするために、水玉で早々に飛ばしたんだから。」
ネクスを見たラピスに関しては、戻ってくることはお見通しだったらしく、ニコニコしていた。
「さーてと、じゃあ、遊び相手になるつもりはないけど、1つ俺とゲームをしないか?」
魔王ポルに対して、ゲームを持ちかける。その反応が返ってくるのをネクスは内心焦りと緊張を感じていた。
「お?ゲームとな?やるやる!やってやるのだ!」
存外にも乗り気な様子で、違う意味でビビっていた。
「やる」と言ったポルはワクワクで胸いっぱいの様子だ、まるで色んな出来事に興味津々な子どものようだった。
「分かった。じゃあ、簡単にルールは2つ。」
「1つ、君と俺たちでは戦っても俺たちが絶対に負ける。だから、戦いではない。」
「2つ、俺が君に何かする。それに対して君が、1度でも驚いたり、凄いと思ったら負け。これでどう?」
「あと、このゲームは俺だけが君に挑戦するから安心して欲しい。」
仲間たちには被害を与えず、かつ、可能な限りこちらにとって平等なルールの元で勝負をする。
「うむ!何となく分かったのだ!びっくりしたり、凄い!って思ったら負けなのだな!」
両手をグッと握り分かった合図を出す。
その後、あっ!と言って話を続ける。
「ネクスよ!このゲームに負けたら、分かっておるな?」
チラッと視線をネクスの方に向ける。
先程言った負けたら軍門に下る話だとネクスは理解していた。
「あぁ、分かっている。負けたらそっちの仲間になる。って話だよな?だけど、俺からも、」
負けた時のデメリットがあるなら、勝った時のメリットがあってゲームが成立する。
「もし、俺が勝ったら、今後、俺たちの村と村の仲間たちには手を出さないって約束してくれるか?」
この条件を飲むか飲まないか、それによって、話が変わる。そう思っていた。
「んむ?そんな事でいいのか?全然構わないぞ?」
(よし、案外すんなりと飲んだな。これで対等以上にこっちが有利になったし、何とかなるかもしれないな)
「さて、やるとは言ったけど、正直、俺の思いつく策は1つ。本気の状態でないと出来ない技だ。」
ゆっくり歩き、ある一定の距離まで近付く。
一方のポルは、今か今かと両手を腰にあて、目をキラキラ輝かせて待っていた。
「さぁ!ネクスよ!びっくりするようなこと!楽しみにしておるぞ!」
「ふぅ〜、よし。」
クロやセンたちの中で緊張が走る中、
ネクスは酷く冷静だった。
身体中をビリビリという音を立てる。
その様子はラピスとの模擬戦で見せたものと同じだった。
「限界突破・ギア1(アインス)」
身体中に電流が流れ、一定になり落ち着く。
その姿を見たポルは、表情を一切崩さず、微動だにせず、ずっと脱力している状態だった。
(これだけじゃあ驚かないよな。ここまでは予想通りだな。)
そして、意識を強めていき、電流の勢いがさらに強くなっていく。
「ギア2(ツヴァイ)」
本来の電流の流れを2倍にする。
身体中のリミッターが外れていき、潜在能力を底上げする。強行手段ということもあり、ネクス自身にも負担のある技だ。
「ほお〜自分に電流を流して強化したのか!面白いことをするのだな!私の仲間にも雷系を使う魔物もおるが、そのように使うのは初めて見たぞ!」
さらに、テンションが上がっていた。
そのせいか余計に、この作戦で上手くいくのか心配になるネクスだった。
「さて、正直にいうと、この程度じゃ、魔王ポルさんをびっくりさせるに至らないのは重々承知してるから、無茶するしかないな」
そう言うと、ネクスは、覚悟をした表情になり、2つスキルを発動させる。
「重なるチカラ(スタックパワー)」
身体中を魔力の補強により、本来より強く頑丈にする。
「ギア3(ドライ)」
電流の勢いがさらに増し、ギア1(アインス)の3倍になる。
体がバチバチと音を鳴らしながら、電流の余波が大きくなる。
「ネクス様!それは良くないです!」
ホワイトウルフのツキがそう叫ぶ。
そんな様子をネクスは横目に大丈夫と合図をする。
表情は険しく、体への負担を誤魔化すように拳を握りしめ、唇を噛んでいた。
「お〜!お〜!すごいのだ!これ程の電流の余波を感じることなんて久しぶりなのだ!ネクスとやら〜、なかなかやるではないか」
ポルはその様子をみてご満悦の様子だった。
(俺の体、1分、1分だけ耐えてくれ。そしたら、勝ち筋が見えてくる。)
体への負担は外野で見ている魔物たちが想像しているよりも1段階上の苦痛をネクスは受けていた。
戦いを始める前から身体中が悲鳴を上げ、体の一部は感覚がおかしくなり、魔力の消耗は激しい。
「報告。現状の力量では45秒が限界です。」
(マジかよ。1分ギリ無い感じか。っていうか、そんなことまで分かるのか。凄いな)
1分という最低限の時間さえ今の自分では作り出せないことを聞き、内心焦っていたネクスだが。やることは決まっていたため、直ぐに冷静になる。
「よし、落ち着いてきたな。そろそろ行くぞ!」
電流の流れを一定に保つことが出来た時、魔王ポルに向けて合図をする。
「お〜いつでもいいぞ!ドンと来い!」
手を挙げて返事をし、その後、胸を貸してやる!と言わんばかりに自分の胸にポンと挙げた手で軽く叩く仕草を見せる。
(言ってもこの形態の姿になったのは昨日の夜、ラピスとの戦い以降に開発したばっかりで、不安定な部分も多い。だから、確実に出来る技、1つしかないけど、これにかける)
ネクスは、昨日の戦いをヒントにまた試行錯誤を繰り返した上で、限界突破・ギア3(ドライ)を編み出していた。
「ネクス様、大丈夫かな、昨日よりも、負担の大きい技を初めから使うなんて、」
強化技を使う姿を見たクロは、心配でならない様子だった。
「大丈夫だよ。クロさん」
そこに声をかけたのはラピスだった。
「ネクス様は、可能な限り負荷を軽くさせつつ、持続時間を伸ばそうと質量や回転する速さを安定させようとしてる。僕の推測が合っていれば、だけどね!」
隣で見ていたラピスは、ネクスの使う技や行動を見て、自身で憶測を進める。
昨日の模擬戦で、直で戦ったからこそ想像に容易かった。
(昨日の模擬戦で、俺はヒントを得た。確実な技を出すためにはその舞台が必要となる。)
ポルとネクスのいる場所が、ビリビリと音を立てて広がっていく。
やがてその音が一定に保たれ、雷のエフェクトだけがフィールドを包んでいた。
「発動までに時間がかかるのが難点ではあったからさ、戦いじゃなくて良かったよ。」
その一言を最後に、
ネクスは動き出した。
最後まで見ていただきありがとうございます!
前作から続けて見ていただいてる方、今回初の方、いろんな方に見ていただき嬉しい限りです!
よろしければ評価・ブックマーク等していただけると励みになります。
次回27話もよろしくお願いします!




