25話 双星
⚪︎前回のあらすじ
ラピスの種族名やその異質さに興味を持ったネクスは、特訓も兼ねて戦いを申し込む。
しかし、ラピスの技の前に翻弄され、本気を出すことを決意。
そうして奥の手を使うことでラピスの懐へ潜り込み、攻撃を当てることに成功するのであった。
ドォォォン!!
雷の残留を残し、ネクスの攻撃がラピスに当たった瞬間、その勢いで土煙が舞う。
その土煙によって、どうなったか分からない。
そして、徐々に晴れていく中、ネクスの姿が見える。
「攻撃が当たったように見えたけど、どうなったんだ?」
ホワイトウルフ兄妹の兄、リュウが視線を真っ直ぐに向け、決着を見る。
舞い上がった土煙は落ち着き、完全に晴れた時、そこにはネクスの姿しか、なかった。
「あれ?ラピスさん、どこにいったんでしょうね」
リュウの隣で見ていた妹ツキは、疑問を言う。
「なるほど、そう言う避け方があるのですね。」
センは難しい表情で結末を見た瞬間に納得し、素直に受け入れ学んでいた。
---ネクス視点
(確かに、当たった。手応えはあった。)
土煙が舞い上がる中、ネクスは座り込む。
限界突破・ギア2(ツヴァイ)による反動で、疲労がピークに達し、体への負担も限界だった。
そして、晴れていく中、先程までいたラピスの姿はどこにもないことに気付く。
「え?いない、」
先程までいたラピスはそこにはおらず、疑問だけが残る。
(手応えはあったのに、いない。じゃあ、あの手応えは)
「危なかった〜流石の僕でもやられるって思ったよ」
ネクスの真横から、声が聞こえ、視点を横に向ける。
ネクスの顔を眺めながら、微笑み話しかけるラピスがそこにいた。
「はぁ〜、ここまでだなぁ。俺の負けだ。素直に降参する」
(まさか、ラピスがここまで出来るやつだとは、見た目に騙されるなってまさにこの事だな。)
疲れで地の上で仰向けになって大の字になる。
そこに顔を覗き込みラピスが声をかけた。
「いや、でも最後は本当に危なかったよ。」
「僕の技の1つに、僕の特徴から重さ、感触、それらをほぼ本体と近いレベルで生成する身代わり技があるんだよね。攻撃した時に騙されたでしょ?」
先の違和感の正体を簡単に教えてくれた。
(なるほどな、技やそれらの応用も使用者によって化けるってことがよく分かった。参考にするかぁ)
ネクスは目を瞑り、反省と学びを得ていた。
その後も簡単な模擬戦を行う予定だったが、日が沈みだしていたため、後日に回すこととなった。
---次の日
昨日の続きでネクスは、まだ戦っていない、クロ含めた、シャドウウルフ3匹、ホワイトウルフ兄妹2匹、
何故か付いてきたラピスを含めた計6匹と共に同じ場所にて模擬戦を行おうとしていた。
戦う順番を話し合っている間に、ネクスは1つ気になることがあった。
(そういえば、みんなを解析鑑定したけど、これって俺も分かったりするのかな?)
自分に向けて解析鑑定を行う。
「報告。個体名ネクスの種族は人族(神化)、スキルは...」
ネクス自身が知っている内容を知らせる。
(まぁ、知っている内容だな。にしても、人族は分かるけどその後に聞かされた進化って何だ?種族進化したからかな?)
一種の違和感を感じつつ、納得することにした。
「付言。遠くから高エネルギー反応を感じました。高速でこちらに向かってきてます。」
(え?高エネルギー反応?高速で向かってくる?誰だそれ)
不穏な言葉を急に並べられ、意味や理解が出来ないでいた。
(ふとした時、なぜか、スキルの声が自ら話すことがあるけど、まだ慣れないな。)
ネクスは神化をしたことにより、スキルの声がその時から、何かあれば自ら進んで話しかけることが増えたのであった。
「補足。逃げることは無意味です。そのため、待ち構えることを推奨。」
(まじか、逃げられないってどれだけ速いんだよ)
そう思うのも束の間、
ギュィィィィン!!
ドカーン!!!
音と共に空いた広場に勢いよく降りる。
衝撃で、地面は凹み、ひび割れクレーターが出来ていた。その勢いで砂煙が舞い上がる。
「ネクス、、、とは、お前のことだな?」
少女の声が聞こえる。
少しずつ砂煙も無くなっていき、声の主が現れる。
身長は中学生程。
目や髪色は赤色で、髪をサイドテールにまとめ、長さは肩につくくらいだった。
天真爛漫という言葉が似合いそうな雰囲気を出していた。
周りが静まり返る。
ネクスは身に覚えがなく、誰か分からなかった。
しかし、周りにいる魔物たちの表情を見る。
「嘘、なんでこんな所に、」
ホワイトウルフの妹側、ツキがやばい!と言いたげな表情をしている。
ネクスに思念でクロが話しかけていた。
「ネクス様、今からでも遅くはないから、早く逃げてください。私たちでは、10秒すら、稼げるか分かりませんが、精一杯頑張るから。」
(おいおい、なに冗談言ってるんだ?なんで、逃げる必要があるんだよ)
返答するも、クロの表情と声のトーンから、冗談ではないとネクスも捉える。
「で?ネクスってお前で合ってるみたいだな!潜在能力諸々、他の魔物より強いし、見たまんまだからすぐに分かったぞ!」
ニコニコ笑顔で話しかけるその姿は無邪気そのものだった。
だが、仲間の表情はずっと険しいものになっていた。
ネクスを守らないといけない。
逃がさないといけない。
ネクスを除く6匹共が同じ考えに至っていた。
「あ!しまったのだ。こういう時、自分から自己紹介した方がいいと、言われてたんだった。」
「改めて」といって、コホンと咳をした途端に、自己紹介を始める。
「私は最古の1人!、双星の魔王であり、統率者の1人。ポルなのだ!よろしく頼むぞ!」
腰に手を当て、胸を張る。
その動作にネクス含め、周りの魔物たちはポカーンとしていた。
「えっと〜、その魔王であるポル...さん?が俺に何か用ですか?」
とりあえず、魔王ということを聞き、地雷を踏まないように言葉を探る。
そのついでに解析鑑定も行っていた。
「否定。個体名ポルの解析結果は測定不能です。」
(は?どういうこと?)
今まで出来ていた解析鑑定が出来ず思わず、勢いで聞き返していた。
「回答。大幅に強い者の解析鑑定は弾かれます。なお、個体名ポルの力は手を抜いている状態で、個体名ネクスの約10倍以上。」
(あの見た目でそんなに強いのか。ギャップが凄いな。っいうか、普通にまずいよな)
「ん?私の用か?...そうだな、私の用は〜」
ポルが話を続けようとした瞬間。
「水玉フィールド!」
今いるこの場に複数の水玉を浮かばせる。
「闇の陣!」
方や、広範囲に及ぶ影を作り出す。
それぞれ出したのはラピスとクロだった。
「今です!ネクス様!早くお逃げください。」
ホワイトウルフの兄リュウが先陣をきって、一言ネクスに伝える。
そして、ラピスが大きなシャボン玉のようなものを作ると、そこにネクスを入れて、村の方へ向けて飛ばす。
「おい!待てって!」
そのまま飛ばされてしまい、先程の場所から距離がどんどん遠くなる。
一方、
残った魔物たちは、ポルに向けて攻撃をしていた。
ホワイトウルフの兄リュウが先陣をきる。
「くらえ!ロックブレイク!」
土や岩などで自身の腕を作り上げ、相手にぶつける。
「まだだ!シャドウボム!」
シャドウウルフの1匹、ウセが、クロの作り出した闇の陣を利用し、足場の影を爆発させる。
「なんだ?私はネクスに用があるのだが」
全員が連携を取りながら攻撃をするが、ポルは顔色どころか、何かされた。だが、気にするほどでもない様子だった。
「お前たち、私に遊んでほしいのか?」
くすりと、微笑みを浮かべながら話しかける。
その様子に、全員誰しもが、勝てるビジョンを全く持てないでいた。
「おいおい、ラピス。急に飛ばすなって。俺には俺なりの考えがあったんだからさ。」
そう言うと、ラピスの背後から歩いて来たのはネクスだった。
「何も言わずに飛ばすんだもん。びっくりしたよ。すぐにワープしたから、戻れたけど。」
「ほぅ、戻ってきたのか、ネクス。今度はお前が私の遊び相手になってくれるのだな?」
「これも何かの縁なのだ。この遊びに負けたら、ネクス、お前は私の配下になるのだ」
(なるほど、このポルとかいう魔王、確かに強い。ただ、負けたら配下に誘ってくるあたり、俺たちを倒すことが目的ではないみたいだな。)
ポルと戦うことは、負けを意味する。
そのため、ネクスはある作戦に出ることになる。
最後まで見ていただきありがとうございます!
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