22話 村の変化
⚪︎前回のあらすじ
ネクスは激闘の末、数日間眠り続けた後、目を覚ます。
起きた時、そこには見たことのない狼型の魔物が眠っていることに気付く。
応戦してくれたことや治療してくれたことへの感謝を伝えるため、村を回るネクス。
しかし、センの家に着くなり、何者かに押し倒されてしまう。
ーーー狼型の魔物視点
エニュート戦の後、狼型の魔物5匹と、額に魔鉱石が埋め込まれている魔物1匹は気絶していた。
その後、センやクロ、村の仲間の助けもあって、数日間の期間で、治療を受けてた。
気絶から目を覚ますことになるが、村の魔物たちは、クロたちの説明も事前に受けており、全員が受け入れてくれていた。
そして、助けてくれた少年に恩を返すため、白い毛並みを持つ魔物の兄妹は、少年の眠る家を探していた。
「ねぇ〜、兄さん、ネクス様?は、どこで寝てるんだろうね〜」
「それが分からないから、探してるんだけどなぁ」
真夜中、柔らかい声をした妹と、そんな妹の相手に疲れを感じている兄の姿がやり取りをしていた。
「あ、ねぇ、兄さん、あそこの家の中、弱いけど、色んな光が見えない?」
妹の視線の先には周りとはあまり変わらない見た目の家だったが、弱々しい光が見えていた。
「確かに、こんな時間に明るいのは怪しいな。」
そうして、家に近付き中の様子を覗き見る。
そこには、頭をこっくりこっくりと動かし、今にも寝てしまいそうな少年がそこにいた。
確認した直後、その少年はベッドの上にバタリと横になり、寝始める。
「なぁ、あの方がネクス様なんじゃないか?」
「お〜、そうだね、ネクス様で間違いないと思うよ?私の記憶が正しければ!」
(いや、お前の記憶は当てにならないんだけどなぁ)
妹の自信満々な意見に対し、溜息をつきながらも渋々、自分との意見と同じことから、家の中に入っていくことにした。
「こんな夜中に目を覚ましてたんだなぁ、きっと、声をかけに行くにも迷惑がかかるから辞めたってところかな?」
「いや〜、兄さん、もしかしたら、魔法使ってたし、研究がしたくて仕方なかった可能性もあるよ〜」
色々話しているうちに、少年の近くに毛布があることに気付く。
「兄さん、この人が私たちの恩人なら、この状態だと風邪を引いちゃうかもしれないし、これ掛けてあげよ?」
そう言って、毛布を掴み、引きずって持ってくる。
「確かにそうだね。風邪を引かせてしまっては、恩を返す云々じゃないよね。」
妹と協力して、毛布を少年にかけることに成功する。
「ねぇ、私たちでさ、温めてあげない?夜は冷え込むしさ」
「え?あ、うん。でもさ、ネクス様ってそれされて嬉しいものなんかなぁ」
妹は乗り気なのに、兄は躊躇してしまう。
「え〜だって、恩人だよ?尽くさないとだよ〜」
「確かに、一理ある?のか?」
(こういう時ってなんでか、突っ張ってくるから、負けるんだよねぇ)
こうして、2匹の兄妹は少年の横で毛布の中に入り、丸まって寝ることとなる。
そうして朝を迎えた。
ネクスと呼ばれる少年との初めてのやり取りを終えた後、まだ眠る妹にそっと毛布をかけ、その場を去る姿を見た兄と、寝たフリをしていた妹は、その優しさに触れ、感動を覚えていた。
---ネクス視点へ
センの家に着いて、急にもふもふした何者かによって、押し倒されてしまったネクス。
「いったーく、ない?、確かに押し倒されたんだけどな。」
恐る恐る目を開けると、そこには、
狼型の魔物なのは間違いないが、先程ネクスの家で見かけた兄妹とはまた違う見た目をしていた。
薄い水色の毛並み、
大きさはクロより少し小さいが、毛並みは倍以上ある。
額には、丸くツヤツヤした石みたいなのがあった。
「あ、もしかして君って、あの時の魔鉱石?だっけ?あれが埋め込まれてた魔物か?」
額には形も色も違うが、エニュート戦で似たようなものが特徴の魔物と対峙した時というのを思い出し口にする。
「そうだよ〜、その魔物で合ってるよ!そういう君が、ネクス様だよね!」
「いや〜、今出会って思ったけど、すごく魅力的な良いにお...あ、間違えた、落ち着くね!」
(ん?今サラッと邪な発言が聞こえたような...気のせいか、それより、やっぱりこの魔物、あの時のか)
ネクスに飛びついたかと思われたその魔物は、急にネクスのお腹に顔を埋めたかと思うと、すーはーすーはーと息をしていた。
「ネクス様が、お困りなので、一度落ち着いて、離れてください。」
落ち着いた声で話しかけるのは、センで、ドアの奥から歩み寄っていた。
「それもそうだね!はしゃいじゃって反省反省、落ち着くことにするよ、」
目の前にいる魔物とセンのやり取りを見ていたネクスは1つ、気付いたことがあった。
(なんか、今更だけど、さっきのゴブチたちやクロと言い、センも強くなってないか?)
「ネクス様、私の顔をじっと見て、どうかされましたか?」
じっと見ていたネクスの視線に気付いたセンは問いかける。
「あ、いや、なんかみんな強くなったように見えたからさ、」
見ていた理由を正直に話すと、センは返答する。
「私たちが強くなった原因の1つは、ネクス様が進化されたからだと思います。」
「え?確かに進化はしたけど、村のみんなに影響あるものなの?」
システムの声で神化したことを聞いていたネクスは自信にだけ起きた現象だと思っていたため、他の魔物たちも関係するとは考えていなかった。
「あ、じゃあセンと話していた事だし、僕から話をするよ」
割って入ったのは、目の前にいるもふもふの魔物だった。
「はい、私より説明がお上手なので、よろしくお願いします。」
(センのお墨付きですか、じゃあ、聞くしかないか)
「よ、よろしく頼むよ。」
「おう!任された!」
そうして、説明を受けることとなった。
「簡単に説明するとね、僕たちはネクス様と関わったことで強くなったんだよ」
「強い存在と縁を持った魔物は、その恩恵を受けることがあるんだ」
「それを恩恵って呼ぶんだよ」
「へぇ〜なるほどね、確かにそれなら、納得。」
腕を組んで話を聞いていたネクスは、簡潔に聞いた話を頷きながら飲み込む。
「ところでさ、さっきの白い狼の魔物兄妹と言い、君と言い、なんでそんな馴染んでるんだ?」
気絶した後の記憶が無いネクスにとって、知らない魔物が何故か、うちの村で平然としている現状がよく分かっていなかった。
「それについては、ワシが話そう。」
そうして、歩み寄って出てきたのは、ゴブリンの長“ソンウ”だった。
横から声をかけられたネクスはその勢いで、ソンウの方に振り向く。すると、その変化に気付く。
「なぁ、ソンウ、若返ってないか?」
人間で言うところのご老人方の見た目だったが、髪の毛は整い、顔にあったシワなどはほぼ消えて、筋肉も少し付いていた。
「それはワシが恩恵の効果で若返ったからじゃな」
(う、うん、さっき話してた恩恵が関係しているのは分かったよ)
内心同様していたネクスは引きつっていた。
こんなことが有り得るのかと、
(いいや、ここは異世界だ!こういうビフォーアフターがあるんだな!うん。)
現状を飲み込んだ。
ソンウが続けて説明を行う。
聞いた話をまとめると、
クロとセンがエニュート戦の後、倒れていた魔物たち6匹を村の魔物たちと協力して、村へ運んだこと。
数日後には目を覚ました6匹だが、今までの記憶が無いことを聞き、事情が事情のため、村で共存することになった。
「なるほどなぁ、話は分かった。仲間が増えるのは大歓迎だ。同じ狼型の魔物も増えて、クロも良かったな」
隣にいるクロに視線を送る。
「そうだね!私も嬉しいな」
(表情は笑顔なのに、なんか、怖いよクロさんや)
目が笑っていなかった。
そうして、話していくうちに、分かったことは、
ネクスは進化による変化を知り、
村には新たな仲間が加わった。
さらに恩恵によって皆の力も底上げされている。
また、エニュートとの戦いを経た今、それぞれが課題を見つけていた。
最後まで見ていただきありがとうございます!
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